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東京電力ってどんな企業だろうか。超のつく優良安定企業だ。役所とほとんど同じだ。
企業のイメージを一つの指標で語るのは難しいが、社長の出身でみてみよう。東電の
清水正孝社長は慶応大学出身で、私立大学出身の社長は東電では初めてのケースだ。
ところが、これまでの東電社長の出身大学学部を見ると、東大法学部・経済学部
ばかりだ(東洋経済新報社「役員四季報」1989~2010年調査)。
他の電力9社では、理系出身者の社長が目立つが、東電だけは現社長の清水氏を除き
東大文系ばかりだ。もちろん東電にも理系出身の役員はいるが、取締役に占める
比率は低く、しかもせいぜい副社長止まりだ。
この構造は、霞が関の役所とそっくりだ。主要官庁では国交省を除いて理系出身の
事務次官はほとんどおらず、文系、それも東大法学部・経済学部出身の事務次官が
多い。その東大文系官僚が多くの幹部ポストを占めている経産省から東電への
天下りが続いていたが、それも東大文系での同窓気分かもしれない。
今年1月1日付で、東大法学部卒で前資源エネルギー庁長官の石田徹氏が顧問
として天下りした。顧問で天下って、その後副社長になるのが「お約束」だ。
これで1962年以来ほぼ切れ目なく文系天下り官僚が東電役員になっていた。
そういえば、経産省原子力安全・保安院で記者会見を担当していた西山英彦審議官も
東大法学部卒だ。
このように東大文系がトップになる企業は、銀行などでも見られる。共通している
のは規制業種であることだ。規制業種の場合、監督官庁の意向が企業業績に大いに
影響する。となると規制官庁の情報を入手している者が社内でも影響力を持つ。
監督官庁が東大文系官僚である場合、出身大学学部が同じであれば同窓のよしみで
接触しやすいので、結果として、東大文系が企業のトップになる可能性が高くなる
のだろう。銀行において、大蔵省から情報入手を目的とする大蔵省担当(いわゆる
MOF担)が経営トップになるのはよく見られたパターンだ。
ところが、このような東大文系トップは平時の監督官庁からの情報入手に強いが、
想定外の事故処理が下手で危機対応時に弱い。銀行でも1990年代の不良債権
処理を放置したまま、90年代後半の金融危機でうまく対応できなかった。
文系は理系に必修の実験をやらず机上の議論が多い。その典型例はペーパー試験に
強い東大文系官僚だ。彼らは前例のあることには強いが、未曾有の事態の対応は
苦手だ。容易な問題ばかり処理して、難易度の高い問題をスキップする能力が
ペーパー試験人生で身につくようだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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