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焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」で4人が死亡したユッケ集団食中毒で、富山、
福井両県警の合同捜査本部は6日午後、業務上過失致死容疑で、チェーンを運営する
「フーズ・フォーラス」(石川)の本社や富山、福井県の店舗、東京都内の食肉卸
業者などを家宅捜索する。同社の勘坂康弘社長(43)は2014年度までの東証
マザーズ上場を目指してビジネスを拡大。有名ホテルを手本にした経営理念を掲げた
ものの、急成長に肝心の安全管理がまったく追いついていなかった。
ユッケ用の生肉は、東京都板橋区の食肉卸業者がチェーン店側に販売した。合同捜査
本部は卸業者らから詳しく事情を聴くとともに、肉の流通経路などを調べ、集団食中毒
の全容解明を進める。
これまでに富山県砺波市の砺波店や福井渕店(福井市)でユッケなどを食べた男児ら
4人が亡くなったほか、神奈川、富山両県で34人が入院。うち21人が重症となって
いる。神奈川県警も5日、業務上過失致死容疑で捜査本部を設置した。
「本当に申し訳ございませんでした」
5日、同社の勘坂社長は報道陣の前で路上に土下座し、こう声を震わせた。「生食用
として市場に流通している牛肉はありません!」などと声を荒らげて弁明した2日の
会見以降、まるで豹変したかのように神妙な態度を貫いている。
勘坂社長は1968年、富山県高岡市生まれ。金沢経済大(現・金沢星稜大)在学中の
アルバイトはディスコの黒服。卒業後、高岡市内の商社に入るも2年で退社した。
関係者は「そこから独立に向け、派遣社員の給料で月30万円ずつ3年弱の間に
1000万円ためた。当時の貯金術を『とても簡単。使わなければいい』と語って
いた」と証言していた。
98年に同社を設立。社名は「FOOD FOR US」に由来し、「幸せの実現」
を企業理念に掲げた。石川など北陸3県で足場固めをした後、昨年、横浜への出店で
首都圏進出。2010年末までに北陸で16店、首都圏で4店を展開。業界関係者に
よると、勘坂社長は2014年度までの東証マザーズ上場を目指していたという。
「店では名門ホテルのザ・リッツ・カールトンが掲げる経営理念を参考にした礼儀
作法の『6大行動規範』などを徹底。自らの性格については『石橋を3回たたいて
渡るほど慎重』と評していた。夢は『日本一の伝説に残るレストランチェーン』を
築くこと。2020年ごろまでに全国300店が目標だっただけに、当面の課題で
ある上場を焦るあまり、安全面の管理がおろそかになったのではないか」
同社の急成長ぶりは注目を集め、バラエティー番組「人生が変わる1分間の深イイ話」
(日本テレビ系)でも取り上げられた。4月18日の放送では、低価格を維持する
経営方針などを出演者のタレント・島田紳助らが絶賛。死亡した男児は同17日に
福井渕店でユッケを食べていた。
「日本一の伝説に残るレストランチェーン」が目標だった同社。食中毒で4人の死者を
出し、日本一注目されてしまったのはあまりに皮肉だ。
●土下座して謝罪する勘坂康弘社長
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●4人の犠牲者を出した「焼肉酒家えびす」のユッケ
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◎URLリンク(www.zakzak.co.jp)