11/04/23 22:27:32.78
5月大型連休後の最大の焦点は、東日本大震災の復興財源問題である。
4月19日付『読売新聞』(朝刊)が一面トップで「復興財源 消費税3%上げ検討
―政府、3年限定」と報じた。2011年度第2次補正予算案の財源として償還財源の
裏付けのある「復興再生債」発行以外に消費税増税案が現実味を帯びてきている。
民主党の玄葉光一郎政調会長が述べているように、被災地住民については負担増を
避けるため、税率費引き上げ分の納税額を後から還付するスキームを整えるというのだ。
同紙報道によると、政府は消費税を早ければ2012年度から3年間限定で3%引き上げ、
8%にする方向で検討に入ったという。
しかし、筆者が財務省関係者から聞き及んでいるところによれば、同紙報道とは
やや違う。12年4月からの消費税率引き上げ案は同じだが、2年間限定で3%引き
上げか、3年間限定で2%引き上げのいずれかの検討段階にあるというものだ。
いずれにしても、消費税1%引き上げによって年間約2兆5000億円の税収が期待できる。
税率3%アップで約7兆5000億円を確保でき、2年間で約15兆円。一方の税率2%
アップでは約5兆円が確保でき、3年間で同じ約15兆円になる。
だが、「復興再生債」の発行額が約10兆円としてもトータルで約25兆円、これは
大震災による最大経済損失額とされる25兆円と同額だ。
取り沙汰されている所得税と法人税の臨時増税を、仮に各1%の引き上げたとしても
両方で約2兆円である。また、09年民主党衆院選マニフェストの子ども手当、農家
個別補償、高校無償化の全面的見直し、高速道路無償化の凍結を実施したとしても
捻出できるのは、せいぜい約2兆5000億円にとどまる。
東日本震災の全面的な復旧・復興には最低でも5年間、総額約35~40兆円という
気が遠くなるような金額と時間が必要だとされる。では、残る財源はいかにすれば
調達できるのか。その答えを見出すうえで参考となる政府の組織が、最近、設置
されているのだ。
まさに大震災の前日の3月10日夕、首相官邸で「経済情勢に関する検討会合」が、
菅直人首相も出席し、与謝野馨経済財政担当相主導のもとで開催された。そこで
同会合の下に「実務者検討ユニット」の設置が決まった。
将来の消費税増税工程表作成、直近の11年度予算案の見直しと補正予算の財源問題
などについての具体案を策定するのが、同ユニットに与えられたミッションだった。
ところが、大震災が発生。そしてそのミッションに復旧・復興のための財源確保問題が
加わったのである。(※続く)
◎URLリンク(gendai.ismedia.jp)