11/04/23 15:23:52.69
「原発事故以来、中国人商人たちの客足がパタッと止まりました。今年の初めまでは、
一人で1億円以上も買い込むお客様がいるなど大盛況だったのですが・・・」
そう嘆くのは都内で美術品の売買を行う本郷美術骨董館の館長・染谷尚人氏だ。
同館は中国人富裕層向けの美術品オークションを主催しており、一時は北京市内から
100人以上もの中国人が毎月のようにツアーを組んでやって来るほど賑わっていたが、
東日本大震災以降はピタリと客足が途絶えてしまったという。中国国内において
「日本製品離れ」が進んでいることは前回述べたが、福島第一原発の事故による
放射能汚染の影響は、日本製の高級品市場にもじわじわと広がりつつある。
不動産業界も危機に直面している。山東省の大手経済紙『山東商報(シヤンドン
シヤンバオ)』が3月23日付の記事で「原発事故の影響を受ける地域の不動産は
下落する」「中国人の〝日本買い〟はストップせざるを得ない」と報じているように、
日本の土地を投機対象から外す動きが顕在化しつつあるのだ。
都内を拠点に中国人富裕層向けの物件を多数扱う(株)ユーエスマネジメンツ代表の
上島透氏が、日本市場の現況を語ってくれた。
「震災前は、中国人旅行客への需要を当て込んだ中国人富豪が、富士山近辺のホテルを
買収する案件が複数ありました。どれも億単位の案件です。けれど、原発事故により
すべて見送られました。現在やって来る中国人のお客様は、『日本での資産を手放し
たい』と売却の相談をされる方がほとんどです」
震災が起こるまでは、中国人富裕層による不動産投機は過熱の一途を辿っていた。
'10年2月には中国の主要70都市の住宅価格が前年同期比で10.7%も上昇するなど、
土地の賃借権(建て前上、中国では土地はすべて国家のものであり、人民は土地を
借りる権利のみを売買している)価格が異常に高騰していた。投機バブルは海を越えた
日本にまで及び、都内の高級マンションや郊外のリゾート物件、高級美術品などを
買い漁る中国人富裕層が急増していたが、その動きも原発事故を契機に止まって
しまった
強引な投機を行った中国人の中には、こんな珍トラブルに見舞われた人もいる。
都内の不動産会社に勤務するA氏が匿名を条件に最近の実例を教えてくれた。
「北海道の別荘地を購入しようとした中国人がいたのですが、原発事故後は『キャン
セルさせてくれ!』と大騒ぎ。キャッシュで受け取っていた手付け金の数千万円を返金
することになりましたが、今度は送金方法で大モメです。もともと際どい方法で現金を
持ち込んできていたことが判り、ややこしい問題が生じたのです」
その中国人客は、母国からの通貨持ち出しによる課税を回避するため、中国国内の
闇両替で日本円を調達。その後、北京の自宅から空港の手荷物検査が緩いマカオを
経由して、日本まで〝現ナマ〟をリュックに入れて運搬してきたのだという。そこ
まで苦労して北海道の土地に唾を付けたまではよかったが、契約解消となり、返金を
求める段になってトラブルが発生した。
「銀行経由での合法的な送金はアシがつくのでやめてほしい。だが、放射能に汚染
された日本に自分が取りに行くのも嫌だと言うんです。東京は安全だと何度も話した
のですが、『カネも惜しいが命も惜しい!』の一点張りで、聞く耳を持ってくれないん
です」(※続く)
◎URLリンク(gendai.ismedia.jp)