11/04/21 17:33:17.65
「仲間の間では、『次は原発』というのが常識になっている。具体的な作業を始めて
いる人もいるし、ウチもそろそろ準備しないと・・・」
こう漏らすのは、多重債務者の過払い金返還請求で名を売り、それなりの報酬も得た
弁護士である。
「次は原発」とは、事故を起こした福島第一原発の賠償請求を指す。
原発事故被害者は、原子力賠償請求法に基づいて賠償請求が認められる。その指針を
作るのは文部科学省の「原子力損害賠償紛争審査会」で、4月15日に初会合が開かれた
ばかり。今後、賠償指針を7月中に決め、それに従って被災者が東電に被害請求、
賠償交渉が行われて、合意に達すれば和解金が支払われ、合意不成立の場合は、
簡易裁判所の民事調停や裁判所の民事訴訟で決着をつけることになる。
唯一の先例が1999年、茨城県東海村で発生した臨界事故。避難対象は半径350メー
トルで屋内退避が半径10キロ圏。避難要請解除まで2日間で、今回とは比較ならない
規模だが、それでも賠償額は7000件で150億円。解決までに11年を要した。
■仮払いは100万円だが、実際には
本格交渉に至るまでには時間がかかることから、政府は東電に仮払金の支払いを要請、
これを受けて東電は、1世帯当たり100万円、単身世帯には75万円を4月中に支払う
ことを決めた。対象は約5万世帯、約500億円となる。
もちろん、家を離れ、家畜と農地をそのままにし、工場や事業所を閉鎖してしまった
被災者の補償が100万円で済むわけはない。指針が策定され、それによって請求が
始まれば、積算額は1世帯あたり数千万円になるだろう。一家が生存権を断たれ、
いつ家に帰れるかわからず、帰ったとしても家畜は死に、田畑は荒れ、工場は顧客を
失い、マイナスからのスタートである。我が身に置き換えれば、1億円の請求でも
おかしくはない。
指針の決定はまだ先だが、文部科学省のホームページには、「賠償請求にあたって
見込まれる手続き」が紹介されている。
身体障害、財物障害、避難費用、検査費用、休業損害、営業損害と賠償の項目は多く、
また休業証明であれば、休業証明書、所得証明書、納税証明書、確定申告書などを
用意しなければならず、事細かい。
それに、今は、恭順の意を表している東電だが、賠償交渉となると、窓口は慇懃無礼、
顧問弁護士が居丈高に補償額を削ろうとするのは目に見えている。法的知識を振り
かざし、書類の不備をあげつらって切り込んでくる東電サイドに、被災者が個人で
戦うのは、とても無理だ。仲介役は原子力損害賠償請求審査会だが、膨大な数の請求
に対応できるはずはない。
そこで弁護士が登場。成功報酬で代理人を務めることになろう。しかも賠償請求は、
5万世帯分にとどまらない。
■「東電への対応はマニュアル化できる」
これまで出荷制限を受けた農家だけで8万4000戸に達し、風評被害は東北から関東
一円に及ぶ。避難指示の出ている地域には、約8000社の事業所があり、約6万人が
働いていた。東電が海に高濃度汚染水を撒き散らしたおかげで、東北から茨城にかけ
ての魚は売れず、工業製品ですら輸入規制の動きがある。風向きによって放射線が
撒き散らされるため、福島の観光客は激減した。(※続く)
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