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【4月19日 AFP】米格付け機関スタンダード&プアーズ(Standard and Poor's、S&P)が
史上初めて米国債の長期格付け見通しを引き下げた。
このことは、米国が債務不履行に陥る危険性があることを示唆しており、専門家たちは、
この警告自体が米国や世界に劇的な変化を及ぼす可能性があると指摘する。
長期格付け業界で「AAA」は最高の信頼の証。AAAと格付けされた国や企業は、極めて低コストで
資金を調達できる。逆にAAAの格付けがなければ低コストな資金調達はできない。
それゆえに、スタンダード&プアーズが18日に、米国の長期格付けが2年以内に3分の1の確率で
引き下げられる可能性があると警告したことは大きな衝撃を持って受け止められた。
この発表について投資会社Meeschaert Capital Marketsの
グレゴリー・ボロキン(Gregory Volokhin)氏は「炭鉱のガス爆発のようだった」と表現した。
影響は即座に株式市場や債券市場、為替市場にあらわれた。
だが、最も大きな影響は、これまであり得ないと考えられていた「米国債の格付け引き下げ」が、
実はかなりの確率であり得ることだと、認識されたことだろう。
■ドルの「途方もない特権」喪失か
S&Pの警告が大きな衝撃をもたらしたのだとすれば、
それは実際に米国債引き下げが起きたときの衝撃が大きいとされているからだ。
米国みずほ証券(Mizuho Securities US)のチーフエコノミスト、スティーブン・リッチウト
(Steven Ricchiuto)氏は「準備通貨としてのドルの価値が非常に深刻に損なわれることになる」
と語る。
かつて「途方もない特権」などと呼ばれたドルの準備通貨としての価値は、コンサルティング会社
マッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)が2009年に発表した報告書によると、
米国に年400億~700億ドル(3兆3000億~5兆8000億円)ほどの利益をもたらしている。
米国資産が外国の投資家から魅力的だったのは、安定していて、常に需要がある米ドルで
価格がついていたからだ。このことによって米国の政府、家計、企業は低コストな資金調達が
可能だった。
仏投資銀行ナティクシス(Natixis)のエコノミスト、Inna Mufteeva氏によると、米国の家計にとって
米国債の格下げは住宅ローン金利の上昇をもたらし、すでに悪化している住宅市場にさらに打撃を及ぼす。
一方、企業にとっては、「資金調達コストが増え、生産的投資の妨げになる」という。
また、米国と、米国債の主要債権国である中国や日本、欧州との関係も変化するだろう。
AAA格付けを失うことで、米政府の資金調達コストが大幅に上がり、米国の財政赤字削減は
より困難になる。
「アイルランドやポルトガルで起きたことをみればわかる」と、リッチウト氏は語る。
2009年、アイルランドは財政赤字が膨らむ中、国債のAAA格付けを失った。結果、資金調達コストは
2倍に跳ね上がった。
-続きます-