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東京電力福島第一原発の事故をめぐり、朝日新聞が全国の10電力会社などに安全
対策に関する調査を実施したところ、大半が事故前、長期間の電源喪失など第一
原発レベルの事故に対応する態勢をとっていなかったことが分かった。第一原発で
被害を拡大させた疑いがある安全設計上の問題を同様に抱える原発が多数あった
ことも判明。各電力では、津波対策などに乗り出している。
調査対象は、国内の17商業用原発で54基の原子炉を運転する計10電力と、
高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)を運転する日本原子力研究開発機構。
福島第一原発事故前の(1)炉心溶融などの過酷事故の想定や訓練(2)全電源
喪失時のバックアップ態勢(3)非常用ディーゼル発電機や海水ポンプの設置状態
―について調べた。
(1)では、10電力のうち東京、東北、中部各電力など7社と同機構が事故の際、
非常用バッテリーが動く5~8時間で外部電源などが復旧すると想定。第一原発事故
で起きたような数日間にわたる長期全電源喪失への対策や訓練はなかった。
(2)では、福島第一原発事故の前は、関西電力を除く9社と同機構は、原発内や
付近に、外部電源などの喪失に備えた電源車を配備していなかった。
また、(3)では、福島第一原発で、非常用ディーゼル発電機が水密性の高い原子炉
建屋内に設置されていなかったことや、海水ポンプが建屋内に収容されていなかった
ことが、津波を受けた後の電源喪失事故に至った主要な原因ではないかと東電内で
指摘されている。これらの点について、四国電力伊方原発(愛媛県)や九州電力川内
原発(鹿児島県)など12カ所の計31基で、ディーゼル発電機が原子炉建屋では
なく、タービン建屋内などに設置されていた。海水ポンプも、関西電力美浜原発
(福井県)や九州電力玄海原発(佐賀県)など11カ所の計34基で、屋外にほぼ
むき出しの状態で置かれていた。
各電力は事故後、(1)については長期間の電源喪失を想定した緊急訓練を実施。
(2)の電源車も急きょ配備を進めている。(3)については、「想定した津波より
高い位置にあり、安全性に問題はない」(関西電力)との見方もあるが、非常用
ディーゼル発電機が置かれた建屋の扉を水密性の高いものに取りかえたり、海水
ポンプの周囲に防護壁を設置するなどの対策が進められている。
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