11/04/09 14:45:37.00
東京電力福島第1原発で高い放射線量と戦う作業員の被ばくを防止する切り札として、
遠隔操作できるロボットの投入に取り組んでいるのが、政府と東電の事故対策統合
本部に設置されたリモートコントロール化プロジェクトチーム(リモコンPT)。
しかし、日本は「ロボット先進国」と言われながら、放射線に汚染された環境で
動かせる機材がほとんどなく、原発事故を想定してこなかった「安全神話」が、
事故後の対応をも阻む形になっている。
■チームに危機感
リモコンPTは統合本部事務局長の細野豪志首相補佐官が統括。民主党議員や東電、
大手ゼネコン関係者に米政府も協力して無人化作戦の具体化を急いでいるが、検討
作業は遅れ気味だ。メンバーの一人は「作業員の被ばく量は徐々に増えており、
このままでは現場で働ける人がいなくなってしまう」と危機感を募らせる。
同原発では原子炉冷却装置の復旧や、高濃度の放射性物質に汚染された水の処理が
難航。作業員の被ばく線量の限度を従来の100ミリシーベルトから250ミリ
シーベルトに引き上げる措置がとられたが、8日現在、同原発で働く352人のうち
21人がすでに100ミリシーベルトを超えている。
PTはこれまでに、原子炉建屋周辺のがれき撤去や注水のため、1キロ以上離れた
場所から無線で操作できるブルドーザーなどの重機やポンプ車を投入。雲仙・普賢岳
の火砕流災害で実績のある大手ゼネコンの大成建設などが作業員も派遣している。
今後はさらに、放射性物質の放出を止める「遮蔽(しゃへい)」など、原子炉に
近づいて複雑な作業ができる精密機材の投入が必要となるが、そのハードルとなる
のがやはり放射線だ。
放射線はIC(集積回路)に使われるシリコンを劣化させるため、ICを鉛の板など
で覆わなければ誤作動や故障を起こす恐れがある。遠隔操作に必須のカメラの受光
装置も放射線の影響をうけやすく、「通常の災害用ロボットはあっても、原発災害用
なんて国内には皆無」(政府関係者)という状況だ。
放射線に対応した軍事用ロボット「タロン」の提供を米国から受けたが、無線の
周波数帯が日本の通信方式と合わず、対策の検討が始まったばかり。遠隔操作の
方法には無線と光ファイバーケーブルが検討されているが、無線ロボットを原子炉に
近づけるには、建屋周辺に死角がない形で中継基地を設置しなければならない。
光ファイバーの場合も建屋近くまでケーブルを引き込まなければならず、結局、
被ばくの危険がある人力の作業が必要となる。
災害対策に詳しい国土交通省の関係者は「東電も研究機関も経済産業省も『原発
災害なんて起きるわけがない』と考え、対策を研究してこなかったのだろう」と指摘。
経産省原子力安全・保安院は「(原発災害用のロボットを)国内で開発する話は
聞いたことがない。『想定していなかった』としか言えない」と認める。
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