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※長文のため前略
今回の事故で浮き彫りになったのは監督体制のお粗末だ。2000年の省庁再編時
からいわれていたことであるが、原子力安全保安院が経産省の植民地であり、文系
経産官僚のステップアップポストでしかなく、原子力の専門家がトップにいない
という致命的な欠陥が露呈した。
原子力安全保安院が東電をきちんと監督できないのは、東電が経産省から歴代天下り
を受けているからだ。元旦付けで、経済産業省資源エネルギー庁の石田徹前長官
(58)が退官して4カ月余りで、東京電力顧問になっていた。
こうして規制企業が被規制者を取り込んで規制を歪めるのは、1982年にスティ
グラー教授(シカゴ大)がregulatory captureといって理論化していたが、日本で
しっかりと実践され、東電福島第一原発事故になった。
事故解明・再生は、経産省の影響力が及ばない独立組織で、資源エネルギー庁を
解体するように行う必要がある。と同時に、送電線網の解放を行い、事実上地域
独占を見直す電力の自由化が必要となるだ。
といっても、東電は解体するとしても電気事業は継続しなければいけない。となると、
破綻金融機関をいったん国有化する金融機関の再生プロセスが参考になる。
■JALや金融機関の破綻例を見ればわかる
そのための第一歩として、東電の財務状況を見てみよう。これは当面の東電株価を
見るにも役に立つ。東電株主の4割弱は個人株主だ。これまでは安定業種として
長期保有に向くといわれてきたので、株価の行く末が気がかりな人も多いだろう。
原子力事故については、原子力損害賠償法があり、その第3条で「原子力事業者が
その損害を賠償する責めに任ずる」となっているが、「ただし、その損害が異常に
巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない」
と免責されている。、東電関係者が「想定外だった」と強調しているのはそのためだ。
もっとも免責範囲は明らかでない。政府のさじ加減一つであり、東電にはかなりの
責任がかかるだろう。
そのうえで、東電の責任を負うべき範囲を考えてみよう。それは東電資産の毀損のみ
ならず、事故の基づくもろもろの補償まで含まれる。まず原子力損害賠償法で、東電
は原子力損害賠償責任保険に加入する義務がある。福島第一原発では東電は1200
億円を負担し、それでカバーできない範囲については、国が東電を相手として原子力
損害賠償補償契約を結んでいる。これは2010年度予算で1兆6960億円だ。
東電の責任範囲がこの合計の1兆8160億円以内なら、東電の持ち出しは基本的
にはない。しかし、今回は、とてもその範囲に収まるとは思えない。
そこで、東電がどれだけの負担に持ちこたえられかというと、純資産額の範囲だ。
昨年3月末の東電の純資産は2兆1607億円である。となると、東電の責任範囲が
3兆9767億円以内ならば、東電は破綻をまぬがれる。もしそれ以上なら、東電は
破綻する。
その場合、電力供給事業を止められないので、100%減資し、社債権者も含めた
債権カット、さらには経営者責任が追及されたうえで、一時国有化されるか、関係
業界で出資が行われるしかない。(※続く)
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