11/04/03 19:45:42.06
東京電力・福島第1原子力発電所の事故処理に向けて、フランスのアレバが
全面支援に乗り出す。原子力産業を推進する仏の国策によって生まれた同社は、
核燃料から原子炉の製造まで手掛ける世界最大の原子力技術会社。放射性物質で
汚染された水の処理や施設の冷却・解体でも優れたノウハウを持つとされ、
米国スリーマイル島原発などの事故処理にも関わった。原子力メジャー、
アレバの実力を探った。
「世界中の原発で安全性を強化する動きは出てくるだろうが、(各国における)
原子力エネルギー政策はまったく変わらない」―。3月31日、東京都内で
会見したアレバのロベルジョン最高経営責任者(CEO)は、記者団から今回の
事故の影響を聞かれ、こう断言した。「福島の事故には多くの人がショックを受け、
大きな連帯感を持っている。反原発の動きがあるのも事実。まずは原発の状況を
安定させ、この経験を将来に生かす」。地域住民らに配慮して言葉を選びながらも、
従来と変わらず原子力ビジネスを推進する構えを示した。
深刻な状況が続く福島第1原発の事故を巡ってにわかに注目されているアレバ。
世界最大の原子力総合企業で、仏政府や同国原子力庁など政府関連機関の持ち株が
9割を超える事実上の国営会社だ。
早くから国策で原子力開発に熱心に取り組んでいた仏には、原子炉製造の「フラ
マトム」と、原子力庁傘下で核燃料を製造する「コジェマ」があった。欧州での
原発受注が一巡した後、仏政府は日本や米国勢との競争を優位に進めるため両社を
統合。さらに独シーメンスの原子力部門も買収して01年にアレバが誕生した。
今や欧州を代表する企業の1つであり、原子力分野を基幹産業と位置付ける仏の
世界戦略の要になっている。2010年の売上高は09年比6.7%増の91億400万
ユーロ(約1兆900億円)、純利益は同60%増の8億8300万ユーロ。原子炉
プラントの製造に加え、ウラン鉱山の権益も多数保有しており、核燃料の供給から
核廃棄物の処理まで一手に引き受けられることを強みとしている。世界での原発
推進の流れを受け、サルコジ大統領による欧州諸国や新興国へのトップセールスで
業績を伸ばしている。
それだけに原発の安全神話が大きく崩れた今回の事故に対するアレバと仏政府の
動きは素早かった。
東日本大震災発生から5日後の3月16日。アレバは提携先の三菱重工業を通じて
東電に、「支援の用意がある」ことを伝えた。しかも「世界最大級の輸送機(アン
トノフ)に必要な資機材を満載し、25日には成田空港に到着できる」という具体的
な提案だった。
さらに28日、ベッソン仏産業・エネルギー・デジタル経済担当相が朝のラジオ番組
に出演し、事故対策に国を挙げて技術支援する意向を示した。「東電から支援要請が
あった。仏政府はこれを歓迎し、アレバをはじめとする企業や原子力庁が協力する」
(ベッソン担当相)。31日にはサルコジ大統領、ロベルジョンCEO、さらに放射性
廃棄物処理の専門家が緊急来日した。(※続く)
●アレバのロベルジョンCEO(左)と握手する海江田経産相
URLリンク(alp.jpn.org)
◎URLリンク(www.nikkei.com)