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総額およそ5億円。これほどの大金が、東京電力から東京大学大学院の工学研究科に寄付口座
としてだけでも流れ込んでいる。これは、東大の全86寄付口座の中でも、単独企業として
あまりに突出した金額だ。その内訳は、以下のとおり。
建築環境エネルギー計画学 ・・・ 単独で1億4000万円
都市持続再生学 ・・・ 14社で1億5600万円
ユビキタスパワーネットワーク寄付口座 ・・・ 3社で1億5000万円
核燃料サイクル社会工学 ・・・ 単独で1億5000円
低炭素社会実現のためのエネルギー工学寄付研究ユニット ・・・ 単独で1億5000万円
出典 URLリンク(www.u-tokyo.ac.jp)
東大だけではない。東工大や慶応義塾大学など、全国のあちこちの大学の大学院に、東京
電力は現ナマをばらまいている。これらの東京電力寄付講座の内実は、2002年の長崎大学
大学院で暴露された。そもそも東京電力が、自分の管区とはほど遠い長崎大学に手を伸ばし
たことからも、手口の異様さがわかるだろう。
長崎大学医学部は、戦前の官立六医大の一つという伝統を誇り、その大学院医学研究科を
2002年4月から医歯薬学総合研究科へと発展させることになった。ここに突然、東京電力が
、9000万円で講座を寄付したい、と言い出した。テーマは、低線量放射線の人体影響。その
うえ、その趣意書からして、原発推進とも受け取れる表現が踊っていた。これに対し、当時
の学長、池田高良(まさに被曝腫瘍が専門)は、趣意書の書き直しのみで、カネの受け入れ
を強行しようとした。
このため、学内外から猛烈な反対論が沸き起こり、夏には混乱の学長選となった。おりしも
、東京電力は、福島原発第一のユニット3で炉心隔壁にひび割れがあったにもかかわらず、
97年にむりにその交換を行い、2000人近い作業員がかなりの被曝をしていたにもかかわらず
、その後も十数年に渡って隠蔽し続けていたことが、ようやく2002年の夏に発覚した。そし
て、斎藤寛(公害問題が専門)が学長に当選。長崎大学は、9月に臨時教授会を開き、東京
電力の寄付講座受け入れを取りやめ、すでに大学側に振り込まれていたカネ全額を東京電力
に突き返した。
1956年に水俣病が発見された際、地元の熊本大学は、ただちに現地調査を行い、有機水銀が
原因であることを特定し、チッソに排水停止を求めた。ところが、日本化学工業協会は、
東大教授たちに水俣病研究懇談会、通称「田宮委員会」を作らせ、連中が腐った魚を喰った
せいだ、などという腐敗アミン説をでっち上げ、当時のマスコミも、この東大教授たちの
権威を悪用した世論操作に乗せられて、その後も被害を拡大し続けてしまった。
いままた、同じ愚を繰り返すのか。「核燃料70%の損傷」を、燃料棒292本の7割、204本の
それぞれにほんの微細な傷があるだけ、などという、アホな詭弁解説をまともに信じるほど
、いまの国民はバカではない。なんにしても、テレビで口を開くなら、まず、東京電力から
受け取った黒いカネを、全額、返してからにしろ。
テレビもテレビだ。公正、中立、客観を旨とする以上、解説を学者に頼むなら、原発賛否
両方の学者を公平に呼べ。調べるプロなら、連中のウラ事情ぐらい調べておけ。
(純丘曜彰教授博士 大阪芸術大学)
ソース:アゴラ
URLリンク(agora-web.jp)