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東京電力の経営責任を問う声が米国内で強まっている。東日本大震災で事故を
起した福島第1原子力発電所への対応処理、情報開示の遅さに対して、エコノ
ミスト、大学教授からウォール街関係者まで批判的だ。東京電力が昨年9月に
実施した公募増資では米国の投資家も東電株を購入しており、海外発で株主代表
訴訟が起きる可能性も出てきた。
「誠に残念ですが、日本は貧しい国になるでしょう」。米国家経済会議(NEC)
前委員長のローレンス・サマーズ米ハーバード大学教授が23日、ニューヨーク
市内の講演で断言すると、会場が静まり返った。
米国では、震災後の落ち着いた日本の社会秩序が評価される一方で、経済の先行き
が懸念されている。
米国のエコノミストは第2四半期(4~6月)の日本の国内総生産(GDP)が
前年比約3%減るとみているが、減少率の半分、1・5%分が東電「発」による
ネガティブ要因。放射能漏れや停電が都心部の経済活動を妨げ、消費の低迷に
つながるという見方だ。
経済への影響だけではない。コロンビア大学が22日開催した日本セミナーでは、
出席した法律、経済、政治の専門家3人が口をそろえて、「東電には経営責任が
ある」と主張した。
会社法を教えるカーティス・ミルハウプト教授は「原発の安全監督など内部統制
ルールに従っていない場合は取締役責任を問える」と指摘。日本政治研究の
ジェラルド・カーチス教授も「昨年メキシコ湾で原油流出事故を起こした英BPと
同じ構図だ」とする。
経営責任はあくまで相対的な基準で問われる。大津波よりも高い場所に設置された
東北電力の女川原発や、日本原子力発電の東海第2発電所が原子炉を安全に停止
できたのに、福島第1原発だけで被害が拡大した点が問題視されている。
原子力損害賠償法に従って、数兆円規模に上るとされる周辺地域への補償などを
国が負担すれば、東電は事実上の国有会社となる可能性が高い。巨額赤字に伴う
無配はもちろん、経営トップが退陣を迫られるのは必至だ。
しかも、東電は昨年秋に4千億円超を株式調達したばかり。取締役が経営のプロ
として通常期待される「善管注意義務」を果たしていなかった-として国内外の
株主から代表訴訟を受ける可能性がある。
清水正孝社長が昨年9月の記者会見で述べた「社会的貢献と収益の両立」が
とも倒れとなった今、「(東電の)公益会社としての経営責任の果たし方、
企業統治のあり方が問われている」(米公認証券アナリスト協会のロビンソン博士)
という声が高まっている。
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