11/01/19 10:57:00
日本の若者の「内向き志向」に企業が頭を抱えている。
円高による製造業の海外移転や貿易自由化の流れから、海外で活躍できるビジネスマンの重要度は
高まっているが、海外に留学する学生は減っている。グローバル企業で海外勤務を敬遠する若手社員も
おり、産業界には国際競争力が失われる危機感が広がっている。
◆拒否反応◆
「若い社員が海外に行きたがらない」
富士重工業の森郁夫社長は嘆く。
海外の関連会社で実務を経験しながら研修を受ける海外研修員制度の応募が減っている。かつて、
社費留学や海外研修が幹部への登竜門とされていた時代とは様変わりだ。
大手石油元売りでも、海外勤務への「拒否反応」が強いという。
中東勤務は、産油国との折衝など花形のポストだが、「日本で平凡に暮らしたい」「時差がある海外で
忙しく働きたくない」などと赴任を断るのだという。
産業能率大の調査では、2010年春の新卒者の49%が「海外で働きたいと思わない」と回答した。
01年調査を20ポイントも上回った。背景には、「仕事と私生活を両立させる考えが定着した」(メガバンク)
ことや、「共働きが増え、海外に赴任すれば家族が離ればなれになる」(大手商社)という事情があるとみられる。
海外に留学した大学生などの数も08年は約6万7000人で、ピークだった04年より2割も減っている。
◆危機感◆
産業界は、若者の内向き志向に危機感を強めている。日本経団連の米倉弘昌会長は、「資源がない日本
を支えるのは技術力と国際貿易で、グローバル人材の育成が極めて重要だ」と指摘する。
産業界は、円高などに対応するため製造拠点の海外移転を進めている。08年度の国内製造業の海外生産
比率は17%と、10年前より5ポイント上昇した。ホンダやトヨタ自動車、ソニーのように、売上高の大半を海外
で稼ぎ出している企業も多い。
加えて、TPP(環太平洋経済連携協定)参加などで貿易自由化が進めば、アジアなどで日本製品を製造
したり売り込んだりする人材がこれまで以上に必要になるが、人材は先細りの状況だ。
(2011年1月17日01時34分 読売新聞)
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