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-続きです-
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◆皮肉な展開
マイクロファイナンスで融資するのは「麻薬販売に似ている」と話すのはインドの格付け会社
マイクロ・クレジット・レーティングス・インターナショナルのマルコム・ハーパー会長(75)だ。
マイクロファイナンスなどのテーマで20余りの著作のある同会長は
「アンドラプラデシュ州の読み書きのできない女性たちに融資する業者はもっと責任を持つべきだ」と言う。
業者が女性たちをどう説得して借金させたかを調査しているカカティア大学の
K・ベンカト・ナラヤナ教授(経済学)は「マイクロファイナンスは女性の力を高めるはずだったが、
業者が社会や経済の進展を逆行させ、融資を受けた女性を結局、奴隷のようにしてしまった」と指摘する。
インドで急拡大するマイクロファイナンス・ビジネスは世界的な現象の一部にすぎない。
慈善事業として元来始まったマイクロファイナンスはここにきて成長や高リターンを求める民間資本を
引き付けている。
メキシコの元非営利団体(NPO)で現在は貧しい労働者向け融資で最大の銀行である
コンパルタモス銀行は07年に約4億6700万ドル規模の新規株式公開(IPO)を実施した。
10年8月にはインドのマイクロファインナンス最大手SKSマイクロファイナンスが
163億ルピー規模のIPOを行っており、著名投資家、ジョージ・ソロス氏のファンドも
SKSに出資するなど同業界への関心は高まっている。
◆誤った方向
アンドラプラデシュ州の事態はマイクロファイナンス事業の先駆者で06年にノーベル平和賞を受賞した
グラミン銀行創業者のムハマド・ユヌス氏(70)のビジョンとはかけ離れている。
元経済学教授のユヌス氏はバングラデシュで銀行融資を受けられない貧しい人々に小口の事業資金を
貸し付ける事業を1976年に開始。それ以来、98億7000万ドルを融資して87億6000万ドルを
回収した。833万人の借り手のうち女性は97%を占めるという。
ユヌス氏はマイクロファイナンスで利益を上げることに反対しないとしながらも、貧困層の支援という
本来の目的からそれて大もうけを狙う業者を厳しく非難している。
バングラデシュの首都ダッカから電話インタビューに応じたユヌス氏は「商業化は誤った道だ」と述べ、
融資金利の目安は資金調達コストに10%上乗せした水準だろうと語った。
インドのマイクロファイナンス業者は銀行から平均で13%以上の金利で資金を調達し、貧困層に
貸し付けているが、業界団体マイクロファイナンス・インスティテューションズ・ネットワークの
アロク・プラサドCEOによると、融資金利は36%まで上がることもあるという。
◆乱用で曲解
一方、ユヌス氏によると、バングラデシュのグラミン銀行の金利は教育ローンで5%、住宅ローンで8%。
物乞いには無利子で貸し付けており、主な融資金利は20%が上限だという。
ユヌス氏は「マイクロファイナンスが乱用され曲解されている。これは私が作り出した
マイクロクレジットとは違う」と嘆いた。
(ブルームバーグ Yoolim Lee、Ruth David)
-以上です-
マイクロファイナンスの犠牲となった両親の遺影を抱える兄弟と祖父母
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