10/12/22 14:10:12
レアアース(希土類)だけではない。粉ミルクでも中国との通商摩擦が顕在化している。
2010年4月、日本で発生した口蹄疫の伝播を防ぐため、中国政府は日本産粉ミルクの輸入を中止した。
9月中旬にいったんその解除を宣言したものの、関係者によると、いまだ税関で差し止められている
という。
中国では08年のメラミン事件以来、粉ミルク市場の約70%を外資が占め、外資主導で価格を
つり上げていることなどが、政府の懸念材料となっていた。
明治乳業、森永乳業、和光堂など日本の粉ミルクメーカーは、中国市場で売り上げを伸ばしてきた。
売り上げ全体に占める海外の比率はまだ10%程度だが、たとえば明治乳業は中国向け製品の
生産ラインを新設するなどして急激に拡大する需要に対応した。
農林水産省の調べでは、09年の日本から中国への粉ミルクの輸出実績は2044トン、
金額にして17億4400万円だ。07年と比較すると、約5倍にも増えている。
事実上の禁輸を受けて、明治乳業は中国向けの生産を停止した。輸出用製品の在庫は余っており、
このままでは11年度の生産計画も見直さざるをえない。
被害は輸出品だけではない。
日本を訪れた中国人観光客が購入し持ち帰る“土産”も、中国税関に押収されているというのだ。
その額は莫大で、「輸出分に匹敵するほどだ」(業界関係者)という。
たとえば、和光堂にとって粉ミルクは、全売り上げの約4割を支える重要な収益源だが、
「10年の粉ミルクの売り上げは09年実績を10%ほど下回る見込みだ。土産需要の減少が効いている」
と、ある幹部は明かす。
中国との通商リスクは、ここにも存在していた。
(「週刊ダイヤモンド」編集部)
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