10/12/18 23:15:49
昨日、農協は、戦時体制としてはじまった食管制度の実行部隊としての役割を果たし、戦後の
経済成長期においては、消費者を犠牲にして、生産者と一体となって利益をあげてきたという
点で、1940年体制の1つであると書いた。
今日は、なぜ農協が問題だと考えているかについて書きたい。
1.現在の農協
農協は、食糧管理制度を基盤に成長してきたが、その食糧管理制度は、1995年に廃止された。
現在の農協は、具体的には以下のような事業を行っている。
農畜物の販売、出荷、代金回収の請け負い
肥料・農薬・資材などの販売
ガソリン・ビニールハウス用の重油などのエネルギーの販売
車・トラクター・各種農業機械などの機械の販売
貯金やクレジットカードなど、農協系の金融サービスの提供
各種保険などの農協共済の提供
戦後しばらくは、車が普及していなかったため、農作物を出荷し、重い肥料・農薬を配達して
くれる農協は、農家にとって便利な存在だった。また、売上代金も農協を通じて農協の口座に
振り込まれるため、取りっぱぐれがなく、事務手続きが不要で、使い勝手がいい。
さらにコストを引き下げ、農家の負担を軽減するのであれば、これは日本の農業になくては
ならない必要不可欠な組織であるといいたいところだが、そうはいかない。
私が、農協を問題だと考える理由は3つある。
1.よそ者を排除し、農家の自立を阻んでいる
2.農家のニーズに対応しきれていない
3.兼業農家主体の圧力団体として国政を歪めている
以下、順に説明したい。
2.問題点1-よそ者排除
農協への批判でよく指摘されるのは、農協が組合員のためでなく「役職員を養うための組織」
になっているという点である。農協は、地域において独占的な地位を占めていたため、農家の
自由な意思決定を阻んできた。
農家は、農機具を買うときや設備投資を行うときに、補助金や低利融資を利用することが多い
。こうした補助金等は、複数の農家や農協が共同で利用する施設・機械などにのみ交付される
ものが多く、農協がその受け皿の役割を担ってきた。また、個人が使えるケースでも、農協が
独占的にその申請窓口となってきた地域が多い(今では変わってきている)。農家が、価格の
安い民間企業から資材を購入せずに、農協を通して購入したのは、こうした縛りがあったからだ。
また、いくつもの農協が、組合員の事業活動を不当に制限していると公正取引委員会から警告
を受けている。
ソース
URLリンク(news.livedoor.com)