10/12/02 08:36:14
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世界の人口増や新興国の経済発展で肥料の需要が増え、原料のリンやカリウムをめぐる国際的な争奪戦が
起きている。鉱物資源なので採れる国が偏っているうえ、供給側が寡占化し価格決定に力を持つ。
とくにリン鉱石の産出量は中国がトップでレアアース(希土類)と似て輸出制限を強める。
日本も農業は縮小傾向とはいえ、肥料は欠かせず、安定確保が課題だ。
中国は1日、リン酸アンモニウムなど化学肥料の輸出関税を31日まで110%に引き上げると発表した。
ここ数年、国内の肥料の需要期に高関税を課したことはあったが、突然の表明。
実質的に輸出が止まることになりそうで、大手商社で肥料を扱う部署の幹部は
「レアアースと状況が似てきた。中国は長期的には国内分を確保するつもりだろう」と漏らした。
実は「中国が来年から年を通じて輸出関税を30~40%にするのでは」といううわさが業界を
駆けめぐっていた。リン鉱石を原料とするリン酸アンモニウムの場合、直近の税率は数%で、
業界は輸出規制の強化に身構えていた。
リン鉱石の産出量は中国が世界の3割を占める。レアアースと同じく、中国は肥料原料の輸出を
絞ってきた。
事は中国にとどまらない。
肥料は今や、レアアースや鉄鉱石と同様に、国益に通じる戦略物資になりつつある。
食料の生産には肥料が不可欠だ。世界の人口は50年には91億人に達すると予測され、
同じ面積で多くの作物を作る必要が高まる。肥料需要はこれから爆発的に増える。
これだけでも肥料価格は高騰する素地があるが、資源の偏在も拍車をかける。
窒素、リン酸とカリウムは肥料3要素とされるが、工業的に製造できる窒素肥料以外は、鉱山が頼り。
リンとカリウムの上位3国の世界産出量のシェアは、それぞれ6割余りに達する偏在ぶりだ。
リン酸アンモニウムの国際価格は06年以前の水準から、穀物が高騰した08年春には4倍超に。
今も06年の2倍という高値圏にある。
資源メジャーが目を付けないはずはない。
英豪資源大手のBHPビリトンは今夏、カナダ肥料大手に約400億ドル(約3兆3500億円)規模の
敵対的な株式公開買い付け(TOB)を仕掛けた。カナダ政府は国益に反するとして国内法に基づき
TOBを拒否した。
米国はすでに1990年代後半からリン鉱石の輸出を徐々に止め始めた。
資源の囲い込みを図る「資源ナショナリズム」がうごめく。
-続きます-