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>>1のつづき
■現地で働く日本人を求めて、突撃!ハイアール本社
日本で行き場を失い、中国に職を求めた技術者はいま、どんな思いで働いているのか。追跡
チームは中国・青島(チンタオ)にあるハイアール本社をめざした。
東京ドームの30倍という敷地に26棟の工場が立ち並ぶハイアール本社。撮影が許されたのは
、本社の敷地が一望できる最上階と商品展示スペース、工場の外観だけ。「急成長の秘密は、
中国人の技術力が格段に上がったことにある」と広報担当者が語る。事前に申請していた日本
人技術者への取材をお願いすると…、
「無理です。答えられる立場の人が忙しく対応できません。それに、ここにはそれほど日本
人はいません」
日本のハイアールと違い、日本人技術者については口が重いハイアール本社。中国国内では
、日本人が開発したことをあまり表に出したくないのかもしれない、そう感じた。
その頃、国内の追跡チームは、1週間前に成田空港で見送ったAさんを再び訪ねてみた。
中国メーカーでの最終面接の結果を尋ねると、思いがけない答えが返ってきた。
「担当する業務の内容や考え方、組織のあり方をレポートしてください、という宿題があり
まして…」
面接と思っていたAさんに待っていたのは、レポートの試験。1週間以内に、ヒット商品を
生むノウハウをまとめて提出するよう言われたのだ。
大手電機メーカーで30年、CDプレイヤー、プラズマテレビなどヒット商品を次々と企画
してきたAさん。去年、部門の廃止に伴い会社を早期退職、いまだ国内で採用してくれる企業
は見つからない。現在51歳。下の子どもはまだ小学生、家のローンも抱える。もはや、30年間
で培ったノウハウをすべて中国メーカーにさらけだすしかない。
「最悪の場合、採用されず、ノウハウだけが中国に知られてしまう」
戸惑いを抱えるAさん、レポートの提出期限は5日後に迫っていた。
■ほしいのはトップレベルの技術者のみ。中国メーカーのしたたかさ
中国のメーカーのほしがる人材が変わり始めている―。 追跡チームに、新たな情報が飛
び込んできた。向かったのは大阪。中国の大手電機メーカーに直接日本人技術者を紹介して
いる男性が取材に応じてくれた。中国メーカーはどんな人材を求めているのか。大手電機メ
ーカーから届いたばかりのメールを見せてもらった。
「液晶テレビの技術者たちをチームごとほしい」
なんと、液晶テレビを開発しているチームをまるごと引き抜けないかと打診していた。
中国メーカーの要求は年々高まり、それに見合う人材を見つけることは極めて難しいという
。中国メーカーが力をつけ、トップレベルの技術者以外、興味を示さないというのだ。人材
紹介業の男性は語る。
「日本の方はあまりにも甘い。行きゃなんとかなるとか、日本人はもう少し値打ちあるとい
う感覚。5、6年前やったら赤いパスポート、日本人だというだけで値打ちはあったんですけ
ど、もうそういう時代でもなくなってますから」