10/11/16 10:30:14
ソースはDIAMONDonline
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最近、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関する議論が白熱している。
わが国の将来に大きな影響を与える重要な問題について、様々な意見を持った人が議論を戦わせることは、
悪いことではない。
しかし、TPPについて無視できない懸念がある。先日政府は、農業分野を含めた原則関税撤廃を目指す
協議開始の基本方針を閣議決定したが、現在の民主党政権がしっかりした政治のリーダーシップを発揮して、
明確な解決策を国民に示すことは、難しいと言わざるを得ない。
ひとことで言えば、現政権にこの問題に対峙する十分な能力があるとは考えにくいのである。
この問題については、おそらく積極推進派の産業界と、絶対反対を唱える農業関係者の狭間で、
しっかりした方針を打ち出すことができず、うやむやのうちに何らかの妥協案で落ち着く可能性が高い。
国内の議論が迷走を続けている間、世界の趨勢は自由貿易の方向に向かっている。
その流れに乗り遅れ始めているわが国は、今回のチャンスを逃すと取り返しのつかないほどの
ハンディキャップを背負うことになりかねない。
国内の農業改革を先送りする一方、産業界の競走力をすり減らす。その結果、わが国は徐々に国力を落とし、
世界の一流国からドロップアウトする。そうした「悲観的なシナリオ」が、現実味を帯びてくる。
■政府にTPPに対峙する能力はあるか?「自由貿易のバス」に乗り遅れてはならない
現在、情報・通信技術の発達によって、世界経済のグローバル化は一段と加速し、物理的な国境の垣根は
著しく低下している。そうした流れに呼応して、世界の主要国は貿易の自由化の流れを促進している。
貿易自由化によって享受できるメリットの方が、
それによって起きる国内産業へのデメリットなどよりも大きいと認識されているからだ。
わが国の経済は、工業品の原材料などを海外から輸入し、それを加工して技術集約度の高い部材や
完成品にして海外に輸出するという、基本構造を持っている。
その基本構造を勘案すると、自由に海外から様々なものを輸入できる一方、製品を低コストで
輸出できることは、経済全体にとって大きなメリットがあるはずだ。
問題は、賃金水準の高い先進国に共通する農業部門だ。海外から安価な農業製品が入ってくると、
高コスト構造の農業部門が耐えられなくなる。
特にわが国では、伝統的に農業部門に対する保護政策が定着しており、TPP参加によって、
国内の農家の多くが淘汰されることが、大きな懸念材料になっている。
いまだ農業部門からの反対意見は強力で、民主党政権内にも根強い反対意見がある。
わが国経済全体から考えると、自由貿易のバスに乗り遅れることは得策でないことは、論を待たない。
バスに乗り遅れることは、わが国の経済的な衰退を加速することも考えられる。
問題は、いかにして農業関係者から出ている問題を解決するかにかかっている。
短期的には、農業保障制度を作って、農家が淘汰されることを避けつつ、時間をかけて農家が生き残れる
状況を作ること、つまり「農業改革」が必要だ。
-続きます-