10/11/12 13:29:12
今月に入り、試乗会用の「はやて」が続々と乗り入れる新青森駅。
駅構内の工事も8割ほど進み、12月4日の開業に向けた準備は最終段階に差しかかった。
しかし、駅の周辺に青森市が整備した区画はいまだほとんどが売れ残り、閑散としたままだ。
「降り立った乗客はきっと、何もなくて驚くに違いない」。
誰もが気をもむ中で、青森の新しい玄関口は開業日を迎える。
更地のままの区画を囲むように立ち並んだ住宅街。
「周りに何もないから風が吹き付けて冬は厳しいわ」。その一角で暮らす加賀谷キヨさん(79)は、
苦笑して辺りを見渡した。
区画整備の予定地に所有していた畑の仮換地として3年前、今の場所に家を構えた。
「買い物も楽になるし、にぎやかになる」。期待を膨らませ、40年近く住んだ三内から夫婦で
越してきた。「でも、土地はいつまでたっても眠ったきり。これなら山の中に駅を建てたのと
一緒じゃないの」。恨み節も漏れる。「初めて来た観光客はどう思うかしら」。
市が整備したのは、約3・9ヘクタールで計18区画。
しかし、これまでに売れたのは、レンタカー会社の事務所とオフィスビルの2区画にとどまってきた。
「残念ながら土地が売れ残って空き地のままなので、にぎわいを作り出すための準備をしなければ」。
鹿内博市長は今年4月の記者会見で焦燥感をにじませたが、開業まで1か月を切った今も、
進展はない。市が先月15日に始めた8回目の募集も、応募があるか分からない。
売却が進まない背景には、大型商業施設の出店を規制したことがある。
市は現在のJR青森駅前を街づくりの核とする「コンパクトシティ構想」を前提に、新青森駅周辺の
開発方針を定めた。「中心市街地と競合しない規模の商業施設や宿泊施設を誘導する」。
新青森駅周辺は言わば、「ほどほどの発展を」というスタンスだ。
ただ、売却した2区画は全体の約2割に過ぎない。
鹿内市長は取材に、「企業は、どれだけ人の流れがくるか様子見の状況。人が来ると分かれば
売却できる」と期待をつなぐが、仮に来年1月までの募集期間に売れても、建物などが姿を現すのは、
来年の夏以降になる。
「新幹線が止まるほかの駅と比べて、はるかに寂しい。リピーターがいなくなる」。
観光関係者らも眉間(みけん)にしわを寄せる新駅周辺。今月、「新青森延伸記念」と銘打った
県内巡りの旅行を売り出した近畿日本ツーリストの本社広報は、「今、JRを中心とした宣伝効果で、
青森への注目が集まっている」と指摘した上で、不思議そうに言った。
「駅は次の目的地に向かう中継地。電車やバスの待ち時間に、青森の特色を楽しみながら
買い物できる店があってもいいし、足湯もいい。アイデアは色々とあるはずなのに……」
ソースは
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売却が進まず、空き地が広がる新青森駅の東口周辺
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“新青森駅周辺の土地区画整理事業の売却状況”という地図は
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