【コラム】菅政権の成長戦略はまったく戦略がない--リチャード・カッツ[10/11/11]at BIZPLUS
【コラム】菅政権の成長戦略はまったく戦略がない--リチャード・カッツ[10/11/11] - 暇つぶし2ch2:やるっきゃ騎士φ ★
10/11/12 11:29:38
-続きです-
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■創造的な破壊 破滅的な破壊
米国の研究によると、ITはしだいにソフトウエア集中型になっている。この分野は日本企業にとって
弱い分野である。しかしNTTドコモがソフトウエアの分野で世界をリードできるのに、どうして
ほかのIT企業やITユーザーにそれができないのだろうか。

同研究は、よいソフトウエアは最高の能力を持った人材だけでなく、日常的なプログラミングの作成に
従事する普通の“コード戦士”が不可欠であると述べている。
アメリカは、多くのソフトウエアエンジニアを海外から受け入れることで人材不足を克服してきた。
事実、大学の卒業生よりも、毎年移民で入ってくるソフトウエアエンジニアのほうが多い。
その一方、日本は移民を制限している。

01年のOECDの研究では、労働者の生産性と資本を結び付けたTFP(全要素生産性)の向上の
半分は、自らの技術や生産方式を改善している既存の企業によってもたらされている、と指摘されている。
残りの半分は、ほかの生産性の劣る企業からシェアを獲得した生産性の高い企業、生産性の低い企業の倒産、
さらに同じ産業分野や異なった産業分野で生産性の低い企業に取って代わった生産性の高い企業によって
もたらされている。ダーウィンの進化論と同じように、企業も生没を繰り返す。
しかし、日本はOECD加盟国の中で企業の新陳代謝が最も低いのだ。

競争がなければ企業の生産性は高まらない。ところが、日本政府は逆の方向に進もうとしている。
2月の経済産業省の「日本の産業を巡る現状と課題」と題する報告書は、直接的ではないが、
サムスン電子の成功のカギは韓国国内市場の支配にあったと指摘し、主要産業での企業数減少を求めている。
同社は売り上げの90%を海外市場で上げている。キヤノンやトヨタ自動車などの日本のトップ企業と
同じように世界市場で最も優れた企業と競争するため、サムスン電子は効率的にならざるをえなかった
のである。

企業や労働市場を変えることなく、創造的破壊を起こすことなく、単に資金を使うだけでは成長率を
高めることはできない。日本の問題は、制度が硬直的であるため破壊が破滅的なものになってしまうこと
である。職を失った中堅ビジネスパーソンが同等の待遇の別の職を得ることは難しい。
そのため、日本の労働者は現在の会社で現在の仕事を守ろうとする傾向が強い。

これとは対照的に、本誌の08年1月の特集記事で記されているように、スウェーデンでは労働者が
新しい仕事を得るための支援を受けている。同国の制度では、成長によって社会的セーフティネットのための
資金を確保する一方、優れたセーフティネットによって人々は創造的破壊に耐え、歓迎さえしている。

日本はセーフティネットなく創造的破壊をしようとした“小泉主義者”と、創造的破壊なしで旧態依然たる
セーフティネットを維持しようとする“菅主義者”の間で身動きが取れなくなっている。
(リチャード・カッツ =週刊東洋経済2010年10月30日号 撮影:今井康一)
※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

RichardKatz
『The Oriental Economist Report』編集長。
ニューヨーク・タイムズ紙、フィナンシャル・タイムズ紙などにも寄稿する知日派ジャーナリスト。
経済学修士(ニューヨーク大学)。

-以上です-


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