10/11/06 13:16:37
--最近の景気低迷をどうみる
「不況の根本原因は、景気循環ではなく、日本の歴史の中で初めて経験する『2千年に1度
』の生産年齢人口減少にある。消費を支えるこれらの世代の減少で、内需が減少しているから
だ。日本全体の景気という総論ばかりが注目を集めるが、地域経済と人口減少という各論を
見つめる必要がある」
--改善への具体策は
「企業はモノが売れないのを景気の悪化のせいにしがちだ。コスト削減の結果、若者の賃金
を削ってしまってはいないか。消費意欲の高い若者にカネが回らないと、モノを買わない高齢
者の蓄財が進んでしまう。講演で訪れる地方の企業経営者には『若者の賃金を上げないと内需
は回復しない』と言っている。10社か20社でも給料を上げれば地方景気は上向く」
--地方経済の疲弊で余裕のない企業も多い
「市街地活性化や観光振興などに関する具体的なアドバイスを行うため全国各地を歩いて
いるが、所得や物価水準を総合すると、地方より首都圏の生活が苦しい実態が見える。数字を
見れば、内需低迷が深刻なのはむしろ首都圏だ」
--急激な円高が続く。企業はどう対応すべきか
「大企業は、円、ドル、ユーロ、人民元の4通貨で、ドルが変動しても差損が少ないように
為替リスクを低減している。円高が景気悪化のすべての原因ではない」
「中小企業の中でも、円高に強い構造はできている。例えば、岐阜の繊維産業は、米国以外
にも中国へ輸出先を多様化した。他国製品より多少高くても、高付加価値化で売り上げを守
っている」
--株価も低迷している
「円高なら株安になるという議論も短絡的すぎる。輸出が空前の伸びを見せた平成14年
から19年までの戦後最長の好景気局面でも、株価は上昇しなかった。日本株が上がらない
のは、内需が縮んでいる国の将来が信頼されていないからで、景気が悪いせいではない」
--景気回復への手だては
「外国人観光客の誘致などいろいろあるが、まずは団塊世代の大量退職で浮く人件費を若年
層に還元し、内需を支える働き手を活性化させるべきだ。労働市場への女性の参加も促した
い。夫婦共働きの比率が高い地域の方が、子供の出生率も高いというデータもある」(大坪玲央)
■藻谷浩介(もたに・こうすけ)昭和63年東大法卒。同年、日本開発銀(現・日本政策投資
銀)入行。平成22年4月より、同行地域企画部参事役。市街地活性化などについて年400
回以上の地方講演も。近著「デフレの正体」(角川書店)はベストセラー。山口県出身。46歳。
ソース:MSN産経ニュース
URLリンク(sankei.jp.msn.com)