10/11/04 22:44:45
パニックを起こすほどの問題ではないと思うが、中国は来年から「マイナーメタル」
の輸出規制に踏み切る意向のようだ。
中国によるマグネサイトなどの資源の輸出規制は、セリウムの輸出規制を実施した
ときのように周囲を困惑させる可能性がある。地質学者でもなければ、両者の詳しい
違いは分からないかもしれないが、前者は「マイナー(少数)」、後者は「レア
(希少)」と区別されている。
つまり、マイナーメタルは多くの国が産出しているが、レアアース(希土類)を含む
レアメタルは現在ほぼすべてを中国が産出している。したがって、マイナーメタルの
輸出を制限したからといって、それが中国にとって国際社会における外交上の火種と
なる可能性は少ない。
中国商務省のウェブサイトに掲載された発表文によると、中国は来年から一部の
マグネサイトの輸出割当枠を前年比7.5%減らすほか、アルミナとスズの輸出枠に
ついてもそれぞれ11%、10%削減するとしている。
中国政府は、主に電力使用量の削減と公害の抑制を目的に、金属・資源産出セクター
の再編に取り組んでいると言われているが、今回の発表はそうした動きを裏付ける
ものだ。
輸出規制が及ぼす影響の1つとして考えられるのは、輸出品目の価格下落の抑制と
最終製品の中国での生産の増加だ。中国政府は、長期的な産業基盤構築の手段として、
こうした政策を積極的に活用しようとしている。それには、資源が採掘された後に
サプライチェーンで発生する利益の囲い込みも含まれる。
中国は世界で使用される金属の多くを生産しているため、たとえ国内向けの政策で
あっても、それを利用して全世界に影響を及ぼすことが可能な立場にある。
米地質調査所によると、中国の2009年のアルミナとボーキサイトの産出量は全世界
の産出量の17%で世界第2位、すずは37%で世界第1位だ。
だが、レアメタルと異なり、マイナーメタルは代替資源がほかにもたくさんある。
中国政府によるレアアースの輸出規制による影響は世界中に波及した。世界的な
レアアースの供給のほとんどを中国が管理しているためだ。レアアースの輸出制限は
少なくとも来年いっぱい継続しそうな気配だ。
「中国の来年のレアアースの輸出枠は、大幅に上下することはないだろう」と、
商務省の報道官は今週述べた。
レアアースの輸出枠は、2010年は前年比40%削減されたが、2011年は3~10%の
削減にとどまる可能性がある、と豪探鉱・生産会社ライナスの戦略担当、マシュー
・ジェームズ氏は本紙に述べた。同氏によると、中国は国内レアアース産業再編の
一環として、輸出枠を減らしている。
同氏は、来年のレアアースの輸出規制は2回に分けて実施されると予想しており、
そのため輸出枠が具体的にどの程度になるかが明確になるのは、2011年半ば以降
だとしている。(※続く)
●アルミロッドを棚から取り出す労働者(中国・上海)
URLリンク(jp.wsj.com)
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