10/11/03 23:00:25
栄枯盛衰は世の習いとはいえ、IT(情報通信技術)長者がまた1人経済界の
表舞台から去る。有線放送最大手、USENの宇野康秀社長(47)が11月
26日付で退任し、後任に中村史朗顧問(38)が就任する。宇野氏は新設される
「グループ会長」という役職に就くが、取締役を退き経営の第一線から外れる
ことになる。
宇野氏は、インターネット時代の花形経営者だった。有線放送から光ファイバーに
よるブロードバンドサービス、無料のインターネット動画配信事業、映画の制作
・配給まで手を広げた。
ホリエモンこと堀江貴文・元ライブドア社長(38)たちより年が一世代上である
ことから、「ヒルズ族の兄貴分」と呼ばれた。
その兄貴分がIT長者ぶりをみせつけたのは2006年3月。事件で窮地に陥った
ライブドアを救済するため、フジテレビが保有していたライブドア株(12・7%)
を宇野氏個人の名義で95億円で取得した。が、これを境に坂道を一気に転げ落ちる
ことになる。
宇野氏の経営者としての評価を映し出しているのが株価。ライブドア株を手に入れる
2カ月前の06年1月16日、USEN株は上場来最高値の3820円を記録した。
が、先月28日には45円まで下落。最高値から90分の1ほどの水準だ。
理由は明白。宇野氏が手がけた新規事業が利益を生まず、ことごとく赤字を垂れ流し
続けたからだ。赤字経営で資金難に陥ったUSENは07年5月、米投資銀行ゴール
ドマン・サックス(GS)系の投資ファンドを引受先に250億円の第三者割当増資
を実施。GSの保有比率は18・07%となり、宇野氏に次ぐ第2位の株主になった。
「GSがまとめ役になり、07年11月、USENは30金融機関との間で極度額
1200億円のシンジケートローン(協調融資)を締結した。借入金を一本化する
のが目的。この結果、GSはシンジケートローンへの150億円の出資と、第三者
割当増資分250億円を含めてUSENへの資金提供は400億円にも及んだ」
(金融関係者)
08年9月、リーマン・ブラザースの破綻をきっかけに世界的な金融危機が勃発。
足元に火がついたGSは資金回収をはかるシナリオを描いた。
「GSは、保有しているUSEN株を投資ファンドに売却しようとしたが、投資
ファンドはUSENの借入金が多いことに難色を示した。ファンド側が提示した
最低条件は、USENの有利子負債を半分の600億円台まで圧縮すること、
そして宇野氏の退陣だった」(同)
ここから有利子負債を半減させるためグループ会社の売却が始まる。09年4月、
動画配信サービスのGyaOの株式をヤフーに売却。映画制作・配給会社ギャガ
・コミュニケーション、「カラオケUGA」で知られるBMBなども売却した。
※続く
●USENの社長を退く宇野康秀氏
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