10/10/27 20:26:17
米国戦略国際問題研究所(CSIS)と日本経済新聞の共同シンポジウムで、前原誠司
外務大臣は大言壮語しました。「国内総生産(GDP)の1.5%しか占めていない
1次産業の農業を守る為に、残り98.5%のかなりの部分が犠牲になっている」と。
いよっ、”口先番長”の面目躍如です。
何故って、米国の農業がGDPに占める割合は僅(わず)か0.9%。その米国では
「1次産業の農業を守る為に」、生産者への手厚い「直接支払い」制度を堅持。
EUとて同じです。即ちGDPなる数値の多寡で産業を取捨選択するのでなく、
如何なる国家戦略の下に如何なる農業を護り・育むか、が問題なのです。
彼我(ひが)の違いは、この点です。65歳以上の農業者の比率が今や7割近い
日本の農業の衰退を防ぐ為には、質量充実を目指す有為な専業農家の規模拡大を
育成すべきです。にも拘らず、偉才・小沢一郎氏が思い描いた農業者の自立支援とは
裏腹な、第2 種兼業農家への不労所得へと、農業者戸別所得補償制度は変容して
しまいました。
一例を挙げれば、夫が県庁職員、妻が学校教諭の第2種兼業農家は、給与所得のみ
でも2人合算で、県民所得の4倍近い年収。米、野菜等の耕作物の殆どは自家消費。
申し訳程度に出荷するだけ。週末に小一時間、ガートラ、ガーデントラクターを
動かすだけの彼らは、豈図(あにはか)らんや、所得補償金の対象。販売価格よりも
生産コストが高いからです。”片手間農家”の公務員世帯が”ヤミ手当”を得る
本末転倒です。
既に9カ国が参加表明したTPP=環太平洋戦略的経済連携協定の「外圧」を
”攘夷(じょうい)”し続けるのは至難の業。その冷徹なる認識に立って、
であればこそ、2大農業輸出国の米国、豪州とFTA=自由貿易協定を同時に
結ぶが如き”黒船”襲来を乗り切る為にも、日本農業の構造改革を如何に敢行し、
安全保障としての食糧を確保するか。攘夷・開国の不毛な二項対立を超えた、
「改国の在り方」を具体的に示してこそ、「有言実行内閣」の面目躍如です。
「私が議長を務めるAPEC首脳会議」と所信表明演説でも高らかに謳った場での
諸外国への”お土産”としてのTPPが、「一将功成りて万骨枯る」状態へと
ミツグ君ニッポンを陥らせぬ様、願うや切です。
◎執筆者/田中康夫(新党日本代表 衆議院議員 前長野県知事 作家)
◎URLリンク(news.livedoor.com)
◎関連(他にもあり)
【経済連携】中国もTPP参加に関心、日本「置き去り」懸念 [10/27]
スレリンク(bizplus板)
【経済連携】TPP参加とGDP : 農水省「7.9兆円減」、経産省「不参加なら10.5兆円減」、内閣府「3.2兆円増」 [10/27]
スレリンク(bizplus板)
【経済連携】経団連会長「TPPに参加しないと日本は世界の孤児になる」「政府、国会議員は国益を考えて」 [10/26]
スレリンク(bizplus板)