10/10/27 00:50:02
野田佳彦財務相にとって、無秩序な為替レートの動きに対して20カ国・地域(G20)が先週末発した警告は、
円がこの先、ドルやユーロとの「より安定した関係」を享受する可能性を示唆するものだった。
そうなる可能性は低そうだ。少なくとも、安定の定義をドルに対する円高進行の終焉とするなら、その可能性は低いだろう。
円高傾向は、先月、日本政府の巨額円売り介入を受けて一時的に止まっただけで、ほぼ間断なく続いている。
先週韓国で開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議は、この流れを加速させた可能性さえある。
市場参加者は、曖昧な表現の共同声明によって、日本の追加為替介入が難しくなると考えているからだ。
ドルは10月25日に対円で1%以上下げて1ドル=80円41銭をつけ、15年ぶりの安値を更新した。ドルは今、戦後最安値の1ドル=79円75銭を視野に入れている。
効果がなかったG20の声明、日本政府に打てる手は?
では、韓国で急ぎまとめられたG20の合意が市場をなだめられなかったとしたら、日本政府には今何ができるのだろうか?
円高が回復の足取りが鈍い日本経済に与える影響について、政策当局や経済界が懸念を抱いていることは疑いようがない。
日本鉄鋼連盟の会長は25日、1ドル=90円を超す円高は、アジアの競合企業と戦う日本メーカーの競争力を損ねていると不満を述べた。
このメッセージは、折しも輸出の伸びが鈍化したことを示す統計が発表されたことで重みを増した。
海江田万里経済財政相も25日、円相場の上昇と、円高が信頼感と株価に与える打撃のリスクを強調し、「これから年末にかけて状況は非常に厳しいものになる」と語った。
こうした懸念は、追加の為替介入が少なくとも1つの可能性であることを意味している。
一部の市場参加者は「競争的な通貨切り下げ」に対するG20の警告は財務省に、さらなる円売り介入の指示を出すのを思いとどまらせると考えている。
だが、先の会議の共同声明の表現は極めて曖昧であり、野田財務相も、必要であれば「断固たる措置」を取る姿勢は変わらないと強調している。
円高ではなくドル安との戦い
先月の介入に対する世界各国の反応の弱さからは、日本政府にはいくらか市場介入の自由があることがうかがえる。
ただし、それは、介入の主目的が特定の円相場の水準維持ではなく、振れを抑えることだということを確実に主張できる場合に限られる。
「円の上昇がなだらかであれば、そうした主張をするのは困難だ」と、JPモルガン証券のチーフエコミスト、菅野雅明氏は指摘する。
「ドル安がさらに続く可能性があるが、恐らく徐々に下がっていくだろう。そうなると、介入は非常に難しい」
介入だけで円高を食い止められることを疑ってかかる理由はいくつもある。
2兆円に上る最初の円売り介入の衝撃は薄れてしまった。
また、介入の効果は長続きしないと見られる。
根本的な問題は、日本政府は円高というよりも、むしろドル安と戦っているということだ。
日銀は今月、通貨供給によって5兆円相当の金融資産を買い入れる計画を発表し、「量的緩和」政策に回帰するシグナルを発した。
しかし、日銀の買い入れ計画の規模は、来月実施が予想されている米国の「QE2(量的緩和第2弾)」に圧倒されることになりそうだ。
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ソース:JBpress
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