10/10/17 21:12:55
今月1日の大幅値上げで売り上げが激減しているたばこ。しかし、富山、石川の
空港免税店は好調な販売を維持しているようだ。経済成長で購買力を増した
中国客が日本製をまとめ買いする例が多く、空港内という立ち寄りやすさから
売り上げを伸ばしている店もあるというのだ。
「マイルドセブンがお気に入り。刺激の強い中国製には、もう戻れない」。16日、
仕事で富山空港を訪れたハルビン市出身の通訳李向輝さん(32)は、1箱410円に
値上がりしたことも意に介さず、喫煙所で紫煙をくゆらせた。
富山空港ターミナルビル業務部販売課によると、同空港では値上げ前から毎月たばこが
1700カートンほど売れ、日本製銘柄が約7割を占める。今月からは販売減を見込んで
いたが、今月は15日までで日本製632カートン、外国製257カートンが売れ、
ほぼ値上げ前の水準を維持している。
同空港は上海、大連の直行便があり、行き来の多い中国人が日本たばこ販売のけん引役
となっている。どうやら中国人は、日本製たばこは高品質で安全とのイメージが強い
ようなのだ。
富山空港免税店の売り場担当松瀬貴子さんは「中国人はたばこの箱に日本語が書かれて
あることを確かめ、安心した様子で手にとっている」とし、日本製に寄せられる信頼が
厚いと説明する。
最近になって中国製たばこの安全性をめぐり気になる研究発表があった。今月初め、
各国代表がオーストラリアで開いたアジア太平洋たばこ対策会議は「一部の中国製
たばこは他国産より多くのカドミウムや鉛など重金属を含む」との研究発表ががなされ、
一部の中国人の間で自国のたばこの安全性に疑問を持つ人が急速に増えたとされる。
富山空港を利用する中国人には日本製の味も好評のようで、3年間の研修生活を終えて
16日に同空港から帰国した遼寧省出身の于雪秋さん(35)も富山で覚えた「エコー」
の味が忘れられないと、免税店を探し回っていた。
小松空港では、免税店の今月の売り上げが13日時点で、前年比17・6%増となった。
たばこは免税店の売り上げの6、7割を占めており、担当者は「上海万博で行き来する
中国人や日本人が、たばこをよく買っていく」と話す。
もちろん今回の大幅値上げは商店街などのたばこ店には大打撃を与えている。富山市
総曲輪の東別院前で半世紀近く営業してきた桝谷茂さん(74)の店では1日に40
~60箱だった売り上げが、値上げ後は5、6箱にとどまっている。売り上げが
10分の1になった計算で桝谷さんは、「常連の多くが不景気で禁煙し、もう商売に
ならない」と嘆く。
富山空港によると、街で買うと1カートン4100円のマイルドセブンが、同所では
免税され2500円。もちろん搭乗券なしで免税店に入ることは不可能だが、安く
買おうと「なんとか免税店に入り、たばこを買う方法はないのか」との問い合わせが
相次いでいる。(※続く)
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