10/10/11 11:46:18
「『日本の財政は破綻(はたん)寸前』とよく言われますが、本当ですか? 『債務残高
がGDP(国内総生産)の1・8倍に達していて財政は破綻前夜だ』という専門家がいれば、
『身内(国民)からの借金がほとんどで、国債発行の余力はまだある』という専門家もいます
。どちらが真実でしょうか?」=埼玉県熊谷市の自営業、市原裕司さん(43)
■膨張する債務残高
戦後ニッポンの高度経済成長を象徴する東京タワー(東京都港区)。平成17年11月に
内閣府が開設した「感どうする経済館」はにぎわっていた。来場者たちの目をひいたのは、
あるデジタル時計だった。その名も「日本経済の足音時計」。日本の借金が刻一刻と更新され
、来場者たちに驚きを与えた。
同館の狙いは来場者に日本経済の豊かさを感じながらも、増え続ける借金に危機感を持って
もらうことだったが、昨年3月に閉館した。
それから約1年半後の今月1日。菅直人首相が行った所信表明演説は危機感に満ちていた。
「重要政策課題は、財政健全化です。現在の財政状況を放置すれば、どこかで持続できなく
なります」
財務省などによると、今年度末に国債残高は約771兆円となり、国債に借入金、政府短期
証券を合わせた国の債務残高(借金)は973兆円になる見込みだ。また政府短期証券などを
含まない長期債務残高と地方の長期債務残高の合計は同年度に約862兆円となり、GDP比
で約180%となる見通しだ。
国債の95%は日本国民が保有している。デフレ不況により、民間企業に設備投資などの
資金需要が低迷して、金融機関では企業に融資できず、貯金の運用先として国債の購入を安定
的に続けているとされる。長期金利の指標とされる新発10年物国債利回りが1%を割れる
展開を見せている。
国際通貨基金(IMF)は今月5日発表した世界金融安定報告で、日本の債務残高に触れた
。「短期的に問題が起きる可能性は考えにくい」と指摘したが、長期的に見れば、高齢化で
労働人口が減り、国債を買い支えている民間貯蓄が弱まっていくという懸念を示した。
■「合法的徳政令」
経済評論家の三橋貴明氏は「財政破綻」を「国債の償還期に金を返済できなかったり、金利
の支払いが滞ったりするデフォルト(債務不履行)を起こすこと」と定義した上で、「日本
銀行が国債を引き受ければ、デフォルトはあり得ない」と断言する。
日銀が直接国債を買い取ることは財政法で禁止されているが、特別の事由がある場合には
国会の議決を経て行うことができる。
三橋氏は「民間企業の資金需要が低いため、需要を冷え込ませる増税や緊縮財政ではなく、
国債を発行して財政出動を行うべきだ。景気が回復してから国債の返済に力をいれたらいい」
と主張。その結果、国債への需要が低下し、金利が高くなったときに「日銀が国債を買って
抑制できる」と持論を展開する。
だがこの場合、日本円の流通量が増えていき、物に対する価値が下がり、インフレが起きる
。インフレは国債など借金の価値を下げるが、同時に国民の現金預金の価値も下げる。
「高齢者のお金持ちは損するかもしれないが、労働世代の給料は上がり、職がなくて困って
いる若者が就職できる」(三橋氏)
ソース:MSN産経ニュース
URLリンク(sankei.jp.msn.com)