10/09/26 22:01:37
2011年度新卒採用戦線で大量に未内定学生を積み残したまま、2012年度新卒採用
戦線がスタートする。夏季休暇中のインターンシップを実施する企業が増大しており、
実質的な採用活動はスタートしているとも言えるが、インターンシップは業界や企業の
理解を深める目的のものが多く、インターンシップでのコンタクトが内々定に直結する
ことは極めて少ない(「ない」と断言はできないが)。
2012年度新卒採用戦線にはこれまでになかった特徴がある。新卒採用の対象が日本人
学生だけでなく、外国人学生に広がっていることだ。
~中略~
■目立ち始めた外国人留学生の採用
「厳選採用」という言葉は、企業の採用活動が活発になってきた2004年ごろから
一般化した。数合わせをせず、「質」重視。いい学生が少なければ、その年の採用は
そこで終える。
この傾向はずっと続いている。しかし2012年度採用では、新しい「質」に目を向ける
企業が増えてきた。留学生だ。これまでも日本人留学生採用は行われていた。ボストンで
開催されるフォーラムには1万人もの留学生が集まるという。しかし最近目立ち始めた
のは、日本の大学に在籍する外国人留学生だ。
「日経就職ナビ」を運営するディスコが、9月9日に「外国人留学生の採用に関する調査」
を発表している。全国の主要企業1万3421社が対象で回答企業は923社。
2010年度に外国人留学生を「採用した」企業は11.7%。2011年度の採用見込みで、
「採用する」企業は21.7%。約2倍になっている。
海外拠点を持つ企業が外国人を採用するのは当たり前。2010年度は19.8%が採用し、
2011年度は36.1%に高まっている。また、海外拠点を持たない企業でも6.4%から
12.3%へ「採用」の割合が高まっており、いずれも約2倍だ。
採用した外国人留学生をどこに配属するのか。2010年度採用の外国人留学生は、
80.8%の企業で日本勤務だった。もっとも、「日本での勤務だが将来は海外」という
企業も23.2%ある。「海外での勤務」はわずか1.0%にすぎず、採用した外国人留学生
は日本人と同様の採用枠であることがわかる。
外国人留学生を採用する目的は何か? 7割以上の企業が「優秀な人材を確保するため」
と回答している。
出身国・地域については「中国」が最も多く、「東南アジア」「韓国」が続いている。
アジアを中心とした新興国でのビジネス展開を意識しているのだ。もっとも「国籍には
こだわらない」との回答も3割を超えている。
■圧倒的に多い中国人留学生は7万3000人弱
日本学生支援機構によれば2008年の外国人留学生数は12万4000人弱。内訳は中国が
もっとも多く7万3000人弱。次いで韓国が1万9000人弱。3番手は台湾だが5000人と
少なくなり、以下ベトナム、マレーシア、タイ、米国が2000人台で並ぶ。インドネシア、
バングラデシュ、ネパール、モンゴル、スリランカは1000人台だ。
圧倒的に多い中国人は、毎年2万人弱が卒業している。欧米やシンガポールではなく、
日本の大学を選んだのだから、多くの中国人留学生は日本企業(あるいは研究機関)
への就職が目的なのだろう。(※続く)
◎執筆者/佃 光博
『DODA(デューダ)』創刊を手掛ける。2010年より、「採用プロ.com」運営の
HRプロ嘱託研究員兼務
◎URLリンク(www.toyokeizai.net)