10/09/23 17:22:05
「ミスター年金」こと長妻昭・前厚生労働相(50)は大きな課題を残していった。
2011年度予算の概算要求で、「年金記録問題対策費」として1344億円も
要求していたが、これに対し、永田町周辺や霞が関の官僚から「理解に苦しむ
過大な予算要求」と反発の声が上がっている。消えた年金問題への対応は大事な
ことだが、これだけの血税投入が必要になるなら、別の手段もあったのではと
疑問視する向きは多い。
消えた年金記録問題は07年の発覚からはや3年が経過した。が、いまだにすべての
国民の年金記録が確認されていないばかりか、膨大な確認作業が残されたままの状態に
なっている。
記録の確認作業を進めている特殊法人、日本年金機構から「ねんきん特別便」や
「ねんきん定期便」が次々と送られてくるものの、肝心の統合作業は遅々として
進んでいないのが実情だ。
それでも年金記録問題に恋々とした長妻前厚労相は「10-13年度の4年間で
全記録をチェックする」とぶち上げたが、「完ぺきにやろうとすれば高くつくし、
もっと無理なくゆっくりやってもよいはずだ」(官庁幹部)と、長妻氏の姿勢に
疑問を投げかける官僚は少なくなかった。
「そもそも年金記録をズサン管理していた社会保険庁が、こんな大プロジェクトを
無理なく管理できるはずがない。現実に10年度の委託先を決める入札で問題が起き、
作業開始が大幅に遅れた」(別の官庁幹部)
年金記録の統合作業を委託する業者選定で、厚労省か日本年金機構の職員が入札情報を
漏洩した疑惑が発生。その調査のために作業開始が遅れたというのだ。
実際の記録の確認作業は単純で退屈なもの。でかいコンピューターシステムで管理
されている年金記録が正しいかどうかを確認するために、6億枚も残っている古い
紙記録と突き合わせる。
具体的には、まず紙記録を画像としてパソコンに取り込み、それぞれの画像化ファイル
に名前をつけ、検索できるようにする。そしてパソコンの画面上に、紙記録の画像化
ファイルと、コンピューターシステムで管理されている年金記録を並べて表示し、
比較・確認するというものだ。
この作業の大半は外部に委託され、人海戦術で行われている。厚労省は400億
~500億円もの資金を投じて突合システムを構築したことになっているが、実際は
手作業の域を出ない。
さらに、「厚労省では今後、全国30カ所近くの会場に最大1万8000人を動員して、
指差し確認作業をやる計画になっている」(関係者)ともいわれる。その委託費用や
パソコン端末の貸借料などで予算は1000億円を超えるという。
これに付属する対策費を含め、厚労省が年金記録問題で求める来年度予算額が1344
億円に上るというわけだ。
国民にとって、老後の生活を支える年金は大切な資産。その情報をズサンに管理して
いた社保庁(厚労省)の罪は重い。しかも、その修復・確認作業のために、どこまで
血税が投入されるのかいまだに底は見えない。
年金記録問題の解決は大事なことだが、社保庁の不手際のためにジャブジャブと血税が
投入されていくのは、どうもすっきりしない。後任の細川律夫厚労相(67)のもと
野放図な税金投入が“爆弾”と化す可能性もある。
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