10/09/23 13:40:12
携帯電話の王者は、かつての栄光を取り戻すことができるのか。ここシリコンバレーは
今、フィンランドの携帯電話メーカー、ノキアの動向を注意深く見守っている。
ノキアが世界の携帯電話市場を席巻したのは、10年以上前のこと。重工業から出発した
北欧の伝統的企業が、現代のコミュニケーション機器である携帯電話市場に彗星の如く
現われ、人びとの話題をさらった。次々と発表される新製品に、消費者は飛びついた
のだった。
しかし、栄華は長続きしなかった。世界の携帯電話販売台数では今でも38%と、
世界トップシェアを維持しているが、移動体通信市場を牽引する米国市場ではシェアは
わずか8%。特にアンドロイド携帯やアップルのiPhoneが人々の関心を独占している
スマートフォン市場では、ノキアの存在感はさっぱり感じられないと言ってもいい。
そのノキアが最近、経営トップ刷新を断行した。
第一に、ノキア復権のために、マイクロソフトのビジネスソフトウェア部門を率いて
きたステファン・エロップ氏をCEOに招聘した。
じつはノキアがフィンランド人以外のトップを雇い入れるのはこれが初めてのことだ。
エロップ氏は、マイクロソフト以前にも通信機器メーカーのジュニパー・ネット
ワークスや、アドビに買収されたマクロメディアで経営幹部を務めていた経験を持つ。
ハードウェアとソフトウェアの双方に関する豊富な知識が評価された、と関係者は
口をそろえる。いずれにせよ、米国市場での巻き返しへの意気込み、そして何より
携帯電話市場における過去の成功体験から変化を嫌うようになった企業体質の抜本的
刷新に賭ける決意が伝わってくる。
経営トップ刷新の第二のポイントは、スマートフォン担当トップ(上級副社長)の
アンシ・ヴァンヨキ氏の辞任だ。同氏は現在、ノキア製品のOSとなっているシンビアン
を推進してきた中心人物である。
業界内では、ヴァンヨキ氏の退任はノキアが今後マイクロソフトと提携したり、グーグル
のアンドロイドOSを利用したりするための下準備ではないかとの見方が強い。アンドロ
イド携帯は現在、スマートフォン市場でアップルのiPhoneをはるかに上回る勢いで伸び
ている。その陣営に合流する可能性が高いと見られているのだ。
三つ目に注目すべきは、ノキアの象徴的存在だったヨルマ・オリラ会長の退場である。
オリラ氏こそ、2006年まで14年間にわたって同社CEOとして、古くさい企業だった
ノキアを世界で最も注目される携帯電話メーカーに変身させた中心人物だ。そのオリラ
氏が、2012年をもって会長職を辞任すると明らかにした。
オリラ氏は前CEOであるオリペッカ・カラスブオ氏を後任として任命した人物でも
あるが、両氏ともにノキア在籍期間が長く、社内の隅々にまで信奉者がいる。その
オリラ氏が去ることによって、硬直した社内官僚主義と決別して人材をシャッフルし、
風通しをよくするという効果が出てくるだろうというのが、業界ウォッチャーの
もっぱらの見方である。(※続く)
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