10/09/15 09:41:14
「ソニーとかがいいです」
夏休みが終わると、大学3年生はいよいよ就活に突入します。ほとんど世の中に
関心を持たなかった学生も、にわかにさまざまな業界や企業について情報を
集め始めることになります。
この春、ある理工系の国立大学で、大学院生を対象にした「模擬面接」に協力しま
した。およそ20人の大学院生と面談したのですが、「どんな会社を志望しますか?」
という質問に対して、多くの学生が「ソニーとかがいいです」と答えるのです。
志望先としてソニーを挙げたのは、8割以上。これには驚きました。
なかには、「専門性を生かしてゲーム会社でプログラマーになりたい」とか、
理系ながら「出版に興味がある」などと、自分の意見を持っている学生もいましたが、
それはごく少数でした。
「ソニーとか」という学生たちは、よく聞いてみると、ほぼソニーとパナソニック
(旧松下電器産業)しか知らないのです。「とか」というのはソニーと松下を指す
のです。
理工系学生だから企業のことをよく知らない、ということだけでもないようです。
先週ご紹介した就職人気企業ランキングを、もう一度見てみましょう。
●ランキング表
URLリンク(diamond.jp)
この理工系国立大学の教員によれば、入学における難易度の極めて高いこの大学で、
連休明け時点での4年生の内定率は6割程度だったといいます。
なぜかというと、「ソニーとか」しか知らないからです。
「技術力の高い中小企業はたくさんあるし、視野を広げれば就職が決まらないという
ことはあり得ない」と教員は言います。
新卒求人倍率は下がったとはいえ1.28倍。これを「就職氷河期」と言うなら、本当の
氷河期世代に首を絞められます。欲を言わなければ就職はできるのです。しかし、
現実には10万人があぶれている。
きわめて大きなミスマッチが、そこにはあります。
■「今夜の店」を選ぶのに似た就職先選び
「ソニーとか」などと言っていた学生たちも、秋から冬にかけて急激に知識量を
増やします。これにはインターネット上の就職サイトが大いに貢献しているようです。
ひところ「ネット就職」という言葉が使われていましたが、いまはそれが当たり前に
なったために死語と化しました。
私たちの世代は、就職期になると、前触れもなく電話帳のようなリクルートブックが
箱に入って5、6冊送りつけられてきました。「世の中にはたくさんの会社があるの
だなあ」と感心した記憶は多くの人が持っているはずです。
いまはリクルートブックが、そっくりネットの情報になりました。業界ごと、企業
規模ごとなど検索も自由自在で、便利なことこの上ありません。人事部からのメッ
セージや、若手社員へのインタビューによる働き方情報など、コンテンツは盛り
だくさんです。
企業の側から言っても、就職サイトはとても便利です。不特定多数への企業情報の
発信が容易ですし、効率的に志願者を集めることができるからです。(※続く)
◎ソース URLリンク(diamond.jp)