10/09/08 01:44:18
今回は、現在のデジタル・エンタテインメントの状況を、ざっくりと解説いたしましょう。
一言で言いますと、2010年9月現在は、「オンラインが、本格的に儲かるようになった!」ことが、
とてつもない地殻変動を呼び起こしている真っ最中にある、と考えてください。
◆ソーシャルゲームの爆発的な普及
え? ビジネスなんだから、儲かるのは当たり前でしょ?
ケータイで遊べるゲームのテレビコマーシャルが山のように流れ、ケータイのゲームを遊ぶ人を
電車内で頻繁に見かけるようになった昨今、そう思っている人も多いでしょう。
でも、これはデジタル・エンタテインメントの歴史を知っている者にとっては、極めて革命的な出来事なんですよ。
「インターネットのサービスは、無料が基本。有料にすると潮が引くように顧客が去ってしまい、
だからビジネスとして儲けるのは難しい」というのが、ほんの数年前までの常識だったのです。
いや、今でも苦戦している企業は、たくさんあります。
でも、2008年辺りから、風向きが変わりました。
ちょうどそれは、日本においてケータイでのインターネットへのアクセス数が、
パソコンによるアクセス数を逆転した時期と重なります。ケータイを介するようになってから、
多くの人が「ネットでも、便利なものなら、ちゃんとお金を払う」という、
ごく当たり前の状況になってきた、と考えていいかもしれません。
だから、この時期を境に、ネット上で交流しながら遊ぶゲーム―いわゆるソーシャルゲームと呼ばれる
ゲームが隆盛になってきたのです。そしていま、ケータイやスマートフォン、あるいはパソコンの
ブラウザー上で遊べるようなゲームが、ゲームビジネスの主力商品のひとつに成長してきました。
その勢いは、既に家庭用ゲーム機を超えているんですね。
◆薄利多売、という新しい形
ソーシャルゲームの躍進は、デジタル・エンタテインメントのビジネスモデルを、大きく変えつつあります。
従来のゲームビジネスは、極論するならば「高価なものを少数に売る」というビジネスです。
ゲーム機によって差はありますが、ゲームソフトの価格は、だいたい4000~7000円くらい。
書籍やDVDなどに比べると割高な商品ですよね。それを数万~数十万人に買ってもらって
利益を上げる、というビジネスだったわけですね。
しかしソーシャルゲームは違います。ユーザーが払う金額は低いし、ユーザー全体からすると
一部しかお金を払いません。しかし、それでも利益が出ます。なぜなら、
とにかくユーザー数がケタ違いだからですね。国内には数百万人のユーザーを持つ
ソーシャルゲームは数多くありますし、世界レべルでは数千万人のユーザーを持つソーシャルゲームもある。
だから、こちらは「多くの人から、ちょっとずつお金をいただく」ことにより莫大な利益を上げる、
いわば薄利多売ビジネスとして成功しているのだ、と考えればいい。
このような、従来は存在しなかった形のピシネスが、デジタル・エンタテインメントの世界で成立するようになり、
一気に注目されるようになった、というのが2010年現在のゲームビジネスの天気図なのですね。(>>2以降に続く)
▼ソース
≪日経ビジネスオンライン≫ URLリンク(business.nikkeibp.co.jp)