10/09/04 11:51:29
日本企業のご多分に漏れず、この国の防衛企業は守勢に立たされている。この業界にとって
唯一の顧客である日本政府が問題の大きな部分だ。
三菱重工業、東芝、日本製鋼所といった企業の防衛産業部門は、多数のメーカーがひしめく
市場で買い手は防衛省のみ、という状況に直面している。
日本の防衛予算は世界で6番目に多いが、縮小している。2010年度(10 年4月~11年3月)
の主要装備品契約額は81億ドル(約6700億円)と、約20年で3分の2に減った。発注額は痛々
しいほどに少ない。最近の日本のジェット戦闘機の建造ペースは年間2機である。
事実上武器輸出を禁止した1967年の武器輸出3原則のため、米国以外の国に武器を売却する
ことはできない。そのため日本企業は、史上最大の軍事プログラムF35統合攻撃戦闘機計画
など、多国間プロジェクトに参加できない状態だ。
その結果、両者とも痛手を受けている。メーカーの利幅は薄いが、日本政府が支払う代金は
依然として非常に高い。米商工会議所によると、日本の支払う価格は調達方法を改革した国の
3~10倍だ。
防衛企業の経営統合によって痛みは幾分和らぐだろうが、これまでの統合の規模は米欧企業
の統合の規模には及ばない。日本が参考にできるとすれば、2000年に仏独スペインの防衛企業
と商用機メーカーを統合したEADSに近い形態だろう。
ただ、これ以上の大きな変化が起こるとすれば、日本政府の調達プロセスの改革が必要だ
ろう。政府は通常、研究開発費や(必要になった場合の)米企業へのライセンス料を前払い
しない。一方、製造契約の予算は年間ベースでしかない。つまり、企業は、少なくとも正式に
は、最終的に購入にいくら使われるのか知ることができない。
これは、企業の計画がリスクをはらむことを意味する。たとえば富士重工業は、アパッチ
攻撃ヘリコプター62機のボーイングに対するライセンス料と製造設備費を支払った後で、
政府がそれほど大量に購入する意向でないことを知った。そのため、このコストを回収すべく
日本政府を提訴している。
こうした問題は政府も認識している。「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」
は27日、日本の防衛産業は市場が国内に限定されていることによって、「厳しい財政状況下
、高コストが調達数量の減少を招き、それが単価増を招く、そういう負のスパイラルに」
陥ることは望ましくない、と結論づけた。その上で、政府が装備品の国際共同開発・共同生産
に参加できるようにする必要があるとしている。
政府が自らの欠点を把握していることには確かに期待が持てる。しかし、この種の懇談会の
結論は、日本の防衛業界が必要としている「攻撃的」な改革の間には大きな隔たりがある。
ソース:ウォール・ストリート・ジャーナル日本語版
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