10/08/28 13:54:18
'10年3月期から始まった1億円超の役員報酬の個別開示。東京商工リサーチの
調査では、個別開示した企業は117社、役員数は233人に達した。
だが、ほとんどの企業は平均年収が下がっていたのだ。社員の本音に迫った。
「'08年冬から賞与の3割カットが続いて、この2年で年収が100万円減りました。
小遣いも半額の月3万円です。はっきり言って、役員との格差に愕然としますね」
日産自動車社員(30代後半)が嘆く。今年3月期の決算から、1億円を超える役員
報酬の開示が始まった。その結果、一部企業の、役員への"大盤振る舞い"が話題
となった。中でも、日産のカルロス・ゴーン社長(56)は、8億9100万円もの高額
報酬を得ていた。
社長の給料がそんなに高いのなら、社員の給料もさぞいいのだろうと思いきや、
冒頭の証言のように、実は大幅に下がっているのだ。
これは日産に限らない。本誌は、東京商工リサーチの調査による「高額報酬ラン
キング」上位企業のうち、社員の平均年収が'09年3月期から'10 年3月期にかけて
減った企業数を確認した。すると、ランキング上位34社(トップ50人から重複企業
を除いた数)のうち24社が、前年よりも社員の平均年収が下がっていたのだ。持株
会社を除いたその20社をまとめたのが4ページの表だ。
社員の平均年収は、日産で101万円、ソニーで116万円、三井物産に至っては
182万円も下がっていた。東京商工リサーチの情報本部・関雅史課長が指摘する。
「リーマンショック以来の業績悪化で、社員の年収は下降傾向にあります。特に、
業績に連動する賞与を採用している企業では、年収の減少に直接響いています。
一方、役員報酬は、多くの企業が業績にリンクしない安定的な『基本報酬』として
支払っています。開示された233人の役員報酬総額の約65%はそうした基本報酬
でした。役員は業績にかかわらず、高額の報酬がもらえるケースが多いんです」
前出・日産社員もこう話す。
「ウチの役員は業績悪化を受けて、報酬が34%減額になりました。それでも、
1億超の役員が7人もいるんです。結局、大株主であるルノーの基準で報酬が決まる
ということです。
ゴーン社長も『グローバル基準で見ると報酬は平均的だ』と言っていましたからね。
我々は、ルノーに助けてもらったという"負い目"があるので、『もらいすぎだ』と
思っても口に出して言えないんですよ」
ハワード・ストリンガー社長兼会長(68)が8億円超の報酬を得たソニーはどうか。
30代後半の社員が実情を明かす。
「ウチは社員の給与、賞与が業績連動です。'09年3月期は2278億円の赤字を出す
くらいだったので、年収が大幅にダウンしました。私の場合、約950万円の年収が
1年で100万円以上減りましたよ」
ソニーは、早期退職などにより'08年末から正社員8000人を含む約1万6000人を
削減した。同時に、複数の不採算部門から撤退し、国内外工場の約1割を閉鎖。
さらに、半導体などの増産投資を見送り、設備投資も抑えた。こうした徹底的な
削減の甲斐あって、'10年3月期は、赤字から一転318 億円の黒字に転換した。
※続く
●表/社員の年収が下がった"高額役員報酬"企業20社
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