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「マクロ経済学とスコラ哲学」
海外市場では、本日から発表が続く米住宅統計と週末に開催されるカンザス
シティでのシンポジウムでの要職発言に注目が集まっているという。偶然でも
ないが同地区連銀のホーニグ総裁は昨日の公聴会で、米住宅市場は供給過剰と
明確に断定した上で、住宅金融問題が解消されなければ商業用不動産問題にも
圧迫されている地方金融にマイナスの影響を与え続けることになる、と警告し
ている。同総裁は何でも金融問題で解決できると考えるのは大間違い、という
持論を何度も繰り返してきた。
米国でもマネーを増やしても効果が薄いという論調が明確になりつつある。
デフレがマネー問題でないことも明らかになってきた。だが日本では依然と
して日銀に圧力を掛けようとする *政治家* がおり、
これをけしかける評論家がいる。
ある友人に教えて貰ったのだが、勝間という最近売れ筋らしい評論家が
「デフレ脱却国民会議」という組織を設立したそうだ。問題はそれ自体でなく、
そこに賛同している人々の顔ぶれである。
森永・山崎・宮崎・田原といったメディア軍団とともに、浜田宏一教授の
名前がある。岩田規久男、若田部昌澄、高橋洋一、飯田泰之といった経済学
者も呼び掛け人に名を連ねている。趣旨書に拠れば、いまの日本はマネーが
足りないので、もっとマネーを増やせということらしい。こうしてみるとマ
クロ経済学という存在が、教会の権威とともに崩れゆく運命を受け容れられ
ず哀れな最期を遂げる中世のスコラ哲学のように思えてくる。だがこれらの
イデアを抑制するのは単なる反論ではなく史実でしかない。時間が掛かるの
もやむをえないことではある。