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あえていいます。人は叱るのでなく、褒めて育てるべきです。褒めることで、
自発的に仕事をするように仕向けるのです。ただ、どこかで叱るという行為を
差し挟まないと、方向性を定めることができません。叱ることで、あんたの
範囲はここからここまでだよ、ということをわからせるのです。
「叱る」という行為は、最も難しいコミュニケーションの一つです。核家族化が
進み、子供の数が減り、社会に揉まれていない人が増えています。家族が少ない
のでお爺ちゃんやお婆ちゃん、お兄さん、お姉さんとのコミュニケーションが
取れていない。そのせいか、うちの若い子(従業員)を見ていても、部下を叱る
のが下手ですね。
ぴしりと叱る前に「こんな叱り方をしたらリーダーとして嫌われてしまうんじゃ
ないか」と不安になる。それを含めて、叱る前にいろいろと考えすぎてしまう
のではないかと思います。
一方で、いまの子は叱られることにも慣れていません。「ごめんなさい」と言え
ない子が多いんです。謝るところから次の自分のステップが始まるのに、ごめん
なさいを言わずに自分を守ろうとするから、次のステップに移れない。その意味で、
彼らは損をしていると思いますよ。会社にとっても大きなマイナスです。
サービス業は「人材教育がすべて」といわれる。渡邉美樹氏は徒手空拳から居酒屋
経営を始め、従業員4000人のワタミグループを築き上げた。最も重要な「叱る」
局面では、どのような極意を発揮したのか。
僕は叱ることについて2つの原則を持っています。一つは「心のままに」。その場で
きちんと、思ったことを表現するということです。
もう一つは「冷静に」。感情で怒ることはありません。「この人、感情で言って
いるだけじゃん」と思えば、相手は心の扉を閉ざしてしまいます。だから叱る理由を
きちんと伝えるのです。
これらは矛盾しているようですが、この2つを同時に満たさなければ、叱ることは
できないと思います。
■好きでなければ叱る資格なし
たとえばビルの8階とか9階で会議をしているとき、「いますぐ、ここから飛び
降りろ!」と平気で言います。本当に飛び降りたやつがいなくてよかったなと
思いますけれど(笑)、これはその場で、心のままに叱るからです。
それと同時に、叱る理由をきちんと言葉にしなければいけません。たとえば「お客様
のクレームから逃げた」「徹底して原因追求をしていない」とか。これを僕は許し
ません。
最近もこんなことがありました。ワタミグループはつねに、地域の方々に必要と
される店をつくりたいと考えています。にもかかわらず、地域の方からのクレームが
増えているのです。
我々はチェーン店なので店長が交代します。そのときに、商店会の取り決めだとか
お祭りへの協賛といったことを、新しい店長がきちんと引き継いでいないというのです。
※続く
●ワタミ会長 渡邉美樹
URLリンク(president.jp.reuters.com)
◎ソース プレジデント 2010年9.13号
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