10/07/20 18:26:22
今後、数十年にわたって、日本と世界にとって、最も深刻な問題は何でしょうか?
環境? 経済? エネルギー? 戦争?
異論はあるでしょうが、今週の「日経ビジネス」では、こういい切ります。
もっとも恐ろしい問題は、「食料」である、と。
ここ数年、「食料自給率が40%を切っている!だから自給率を上げましょう」という話が、
農水省を中心に政府から上がっています。一方で、「いやいや食料自給率なんて気にしても
意味がない、経済がしっかりしていれば食料は輸入できるんだから」という意見もあります。
けれども、食料問題は、日本国内のこんな牧歌的議論をふっとばす「危険水域」に来ている
のです。2009年時点で68億人の世界人口は、2050年には91億人になる予想です。
その最上位を占めるであろうインドと中国は、今の経済成長の勢いだとそれぞれの国民の
生活水準が大幅に上がります。つまり、より多くの人がより豊かな食生活を求める。
すると、どうなるか。
国連食糧農業機関によると、今より1.7倍食料生産量を増やさないと、この人口増大には
対応できない、というのです。すでに世界の食料供給は限界まで来ています。現時点でも、
アフリカなどでは深刻な食料不足を解消できていない地域がたくさんある。これ以上、
人口が増え、経済成長を遂げた新興国の食料需要が増大したら、人類みんなの胃袋を満た
ことはどう考えても不可能です。
では、どうすればいいのか?
「日経ビジネス」では、今回大々的に食料問題を特集することにしました。この特集の
主役は、残念ながら日本企業でも農協でもありません。
世界の食料問題解決のカギを握る、いや、世界の食料問題の首根っこを押さえられる
技術を持った、アメリカの巨大企業です。
その名は「モンサント」。
おそらく多くの日本人は名前すら知らないでしょう。「食料メジャー」といえば、
「カーギル」のような穀物メジャーを連想するひとが大半のはずです。
このモンサントとは、何者でしょう?
創業は1901年。化学メーカーとして誕生しました。食料や穀物とは無縁の会社です。
大きくなったのはPCBやベトナム戦争で利用された枯葉剤の開発。それだけ聞くと
実に物騒な化学製品をつくってきたかのように見えます。
そんなモンサントの武器。それは、遺伝子組み換え(GM)技術です。75年にバイオ
ビジネスに注目し、化学技術を利用しつつ、M&Aで関連企業を買収、 90年代の
遺伝子組み換え反対の消費者運動をものともせず、害虫に強い、さまざまな自然環境下で
育成できるなど、GM技術で農家の需要に最適化した穀物を次々と開発し、いまや世界の
穀物市場の、文字通りカギを握るに至ったのです。
モンサントばかりではありません。今、食料市場に打ってでているのは、こちらも
化学の世界では超大物のデュポン。モンサント同様、M&A戦略と化学技術とを掛け
合わせて、GM技術を蓄積し、新・穀物メジャーに変身しようとしています。
※続く
●図表/2025年、人口は1.3倍に
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