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多国籍企業:米国に回帰する製造業 2011.05.20(Fri) The Economist(英エコノミスト誌 2011年5月14日号)
●海外に工場を建てる魅力が薄れつつある。
「クライアントが中国に工場をもう1つ建設しようと考えている時、私は別の候補地を検討することを勧めるようになった」。ボス
トンコンサルティンググループ(BCG)のハル・サーキン氏はこう言う。「例えばベトナムは検討したか。あるいは、メード・イン・
USAを試してもいいのではないか、と」クライアントが米国企業で、米国の顧客向けに商品を供給するために工場建設を考えている
場合は特に、サーキン氏は国内にとどまることを勧める。それは愛国心のためではなく、グローバル化の経済学が急速に変わってい
るからだ。
労働力のアービトラージ(海外、特に貧しい国の安い賃金を利用すること)は決して、多国籍企業に海外進出を促す唯一の原動力で
はなかったが、大きな要因であったことは間違いない。しかし今では、新興国経済が活況を呈するようになり、そうした国の賃金が
上昇している。
例えば、中国の工場労働者の給料は、2005年から2010年にかけて69%も高騰した。そのため労働力のアービトラージによって得られ
る利益が圧縮され、中には意味がないほど小さくなったケースさえある、とBCGは新しい研究結果で報告している。
●米国で作っても中国で作っても変わらない?
「2015年頃には、メーカー各社は米国で消費される商品の生産を米国と中国のどちらで行うかなど、気にもしなくなるだろう」とサ
ーキン氏は述べる。この試算は、中国で賃金が年間17%程度上がり続ける一方、米国では比較的緩やかな上昇にとどまり、生産性の
伸び率は両国ともに現在のトレンドのまま推移する、との予測に基づいている。また、人民元の対ドル相場が緩やかに上昇すること
も前提としている。2015年はそう遠くない。工場は建設するのに時間がかかるうえ、何年にもわたって製品を量産し続ける。それゆ
え、将来の生産のために現在工場の建設計画を立てている企業は、次第に近場に目を向けるようになった。
●製造業のルネサンス
BCGは米国における「製造業のルネサンス」を予想している。これには疑いを抱く理由がいくつかある。ここ1年ほどの製造業生産高
の急増は、多分に景気下降期に失われた分を取り戻すものだった。また、新たに米国に建設された一部の工場は、まもなく枯渇する
可能性がある助成金に引かれて建てられたものだ。だが、それでも、労働力のアービトラージの新たな経済学は影響を及ぼすだろう。