08/11/01 06:00:05 GSxwcVSe
ネットが「戦場」に…国境越えウイルス、大量データ攻撃
「第63回国連総会における麻生総理大臣一般討論演説(最終版)」。麻生内閣誕生直
後の9月下旬、こう題したメールが防衛省の主だった幹部に一斉に送られてきた。送信元
は「内閣広報室」。
「またか」。防衛省幹部は添付ファイルを開かないまま「ゴミ箱」へ捨てた。「これは
内閣広報室を装った『なりすましメール』。ここ数年増えてるんです」
同省の職員に外部から届くメールの4割がウイルスつき迷惑メール。その数は1日1万
通に達する時もあり、多くは実在する組織や職員、OBらの名前をかたる。仕込まれてい
るのは、開くと自動的に外部との通信を始め、情報を抜き取るウイルスだ。情報の行き先
の多くは中国だった。同省幹部は「メールの発信者が省の部内情報を狙っているのは明
白」と語る。
「情報化戦争が21世紀の主要な戦争形態となる」。中国政府の公式サイトに2006
年2月、国営新華社通信のこんな記事が掲載され、日米の防衛関係者を震撼(しんかん)さ
せた。「人民解放軍にサイバー戦の専門部隊があるのは有名」と防衛省幹部は話す。防衛
白書も今年初めて「安全保障への影響を慎重に分析する必要がある」と言及した。
「中央省庁でもっとも多く攻撃を受ける」防衛省では、24時間態勢で迷惑メールをチ
ェックする地下部隊も存在する。だが、ファイル交換ソフトによる情報流出も記憶に新し
く、危機管理能力が問われている。