11/10/01 20:39:52.81
『ヒトラーの最期~ソ連軍女性通訳の回想』(エレーナ・ルジェフスカヤ著・白水社刊)
やっと読了。
本題自体は、1964年にソ連で初版が出て、ヒトラーが1945年4月に地下壕で自殺していた
事を初めて世に知らしめた古典なのだが、その後幾度か改訂を経て、今回もソ連の崩壊で
新たに入手出来た資料、また西側の補完資料、そして、検閲で削除されたものを加えた改訂が
行われている。
勿論、ヒトラーの歯形を解析する辺りがこの本の頂点なのだが、そこに至る前に、モスクワ攻防戦
において、ルジェフで初めて著者が戦争に通訳として加わった(そして、ペンネームをルジェフスカ
ヤとした)事や、以降の戦争の様相も書かれていて興味深い。
また、戦争に派遣する通訳の為の辞書を作っていた軍司令部が、最後の最後に辞書の不備に
気がついた話も面白かった(罵倒語の辞書がなかったのだ)。
本論の他に、幽閉されていた死の直前のジューコフとの会見記もあって、興味深く読んだ。
つか、ジューコフの回想記も、日本では1970年に朝日から出されたのが最期だが、その後、検閲
解除版がソ連崩壊後に出されているので、そろそろこちらも改訂版が欲しい所だったりする。