11/09/13 22:09:53.43
>>485
グーテンベルグ以前の書籍がどんだけ立派な装丁をされてるんだと…
あれは量ではなくて質の書籍だからw
骨董金側懐中時計 小野稔著 1989年新潮社
数奇な運命を経て、著者の所に集まった金の懐中時計の物語。
大なり小なり先の大戦に関わった人たちから譲り受けた懐中時計を
郷愁を交えて淡々と語る文章は、読んでいてかなり感情移入させられるものである。
「この時計は悲しい運命を背負っている、何も言わずに買ってもらえないだろうか…」と
デュプレ氏より受け取った、シーメンス事件の日本海軍高官への贈答品だった「ル・ロア」
「一旦戦いに敗れたものは、誰かが勝利に導いてくれても再び栄光の座に戻れないものです…」と
戦後すぐに退役し、バーミンガムの自宅でバイロンの「シオン城の虜囚」を読みながら、
鬱々と暮らしていたというパーシバルの「ウィリアム・ベンソン」
「かつてイタリアは日本と同盟国でした。私はまだあったことの無いあなたがたに通い合う心を感じるのです」と
著者にベースボール用品を送ってくれるように頼み続けたボルゲーゼ。(多分ボルゲーゼ美術館を築いた人、現地では最後のローマ人と言われていた)
ハラキリの現場を見てしまい、精神を病んでしまった25師団のGHQ情報部付き参謀ヴァンダプール中佐の懐中時計「ラッセル」
後にルバングから帰国した小野田少尉に贈呈したなどなど…
著者が新聞記者だったからこそ、体験できたエピソードが満載であった。
というか、これだけの人間と交友をもっていた著者の人生にも驚きであった。
どうすればこんなパイプが築けるのかと…。
…人間関係って大切なのね。。。日本で引きこもってちゃ無理な話。