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警視庁資料 ネット流出1カ月 文書入手1万人超に
毎日新聞 12月3日(金)7時4分配信
国際テロに関する警視庁資料とみられる文書流出を巡る波紋は、発覚から1カ月過ぎた今も収束する気配はない。
資料を掲載した本の出版を巡り、東京地裁は11月29日に販売差し止めの仮処分決定を出したが、出版社は差し止めを求めた2人に関する部分を削除したうえで、改訂版を出す方針だ。
インターネット上からの全データのダウンロードは世界で1万件を超えた。警視庁が「調査中」だとして資料の真偽を明らかにしない中、プライバシーの拡散状態が続く。【内藤陽、村上尊一、臺宏士】
◇第三書館、改訂版出版の方針
警視庁が流出を把握したのは10月29日夜。今も「内部文書かどうか調査中」との立場だが、内部からの意図的流出の可能性が高いとみて調査を続けている。
内部資料とみられるにもかかわらず調査が続く理由を警察幹部は「資料を現物とつき合わせ作成時期を絞り、そのうえで的を絞った聴取をしなければならない」と説明する。
仮に内部資料と判明しても、公式に認めにくいとの指摘もある。
「インテリジェンス(情報活動)」で収集した情報の秘匿は世界共通のルールで、認めることは海外の治安・情報機関からの信頼を失う懸念があるからだ。
こうした中で起きたのが第三書館(東京都新宿区)による「流出『公安テロ情報』全データ」(469ページ)の出版
出版差し止め決定後、同社は、地裁が問題視した宗教活動など(4ページ半分)を削除し改訂版として12月上旬に販売再開する。
北川明社長は毎日新聞の取材に「イスラム教徒をテロリスト扱いするのはおかしい。警視庁は流出を認めていない。提示することで読者に判断を任せようと思う」と話した。
しかし、改訂版でも差し止めを求めた人以外のプライバシー情報は残されたままだ。
仮処分申請の代理人・河崎健一郎弁護士は「決定の趣旨を踏まえて公人ではない人の個人情報については、包括的に削除するなどプライバシーに配慮した出版方法があるのではないか」と指摘する。