10/11/03 22:52:03
>>1乙
最近読み終わった本
『太平洋戦争、七つの謎―官僚と軍隊と日本人』 保坂正康著 角川書店
URLリンク(www.amazon.co.jp)
太平洋戦争に関して、あまり取り上げられてこなかった項目を、
日本軍関係のノンフィクションで著名な著者が取り上げてトピックごとに講演録をまとめた本。
概説書ではないので注意が必要。
その通り今までなかなか取り上げられてこなかった論点、
例えばシベリア抑留者による集団訴訟の経過や特攻隊員が突入時恨み事を言っていた、
といったようなことが取り上げられており、恥ずかしながらこうした事を知らなかった身としては大変興味深い。
また著者の経験に即した官僚論にも一見の価値はある。
しかし一方で感情がやや先走ってしまっている部分もある。
例えば著者は終戦時における開戦の認識を東條首相兼陸相兼内相、東郷外相、嶋田海相で比較しているが、
引用されている記述が東條のみ終戦直前(1945年8月初頭)で他の2人は終戦後数年して書かれたものであるというのは不公平であろう。
また講演録の編集なので非常に読みやすいが、一方で章ごとに少々齟齬がある部分もある。
あと高射砲は地上を射撃するものではない…。
しかし全体としてみれば新書らしく大変読みやすく、
太平洋戦争の概要を知った上でもう少し突っ込んだ議論を読みたいという場合には最適だろう。