10/11/07 07:08:38
半年遅れで『ホース・ソルジャー』読んだ。
意外と珍しいアメリカ陸軍特殊部隊(つまりグリーンベレー)がメインの話。
911直後、CIAとともに真っ先にアフガニスタン侵入して、主要都市陥落を導いた活躍が描かれている。
物資も情報も何もない状態で、少数での敵地侵入、情報収集、民心獲得、地元勢力支援、空爆の誘導、空からの補給と、これぞまさに特殊部隊。
以前読んだ『アフガン、たった一人の生還』では、SEALsは体力だけの素人海ゴリラという印象だったけど、グリーンベレーはプロ、大人の部隊という感じがする。
戦っているのは基本的に地元勢力なので、特殊部隊員がM4振り回してドンパチするシーンは少ない。
地元にとけ込み目立たないというのも、グリーンベレーの特徴だろう。
『ブラックホーク・ダウン』みたいな火薬量を期待している人には肩すかしかもしれない。
ノンフィクションだけど文体は小説風で、登場人物の家族についてまで綿密に書かれている。ぶっちゃけ冗長で無駄に厚い。
アメリカ万歳については、ブッシュ政権のプロパガンダである『たった一人の生還』なんかよりだいぶましだろう。
他の特殊部隊では、ちょい役ながらSBS(英国海兵隊特殊部隊)、第10山岳師団が出てくる。SEALsについては将軍の目線で「宣伝が上手いだけ」とチクリ(やはり陸軍からの評価は低い模様)。
作中で一番苦労していたのが、高々度の飛行で酸素不足になっていたナイトストーカーズのヘリパイロットたちかもしれない。
この本のキーとなるのが空爆。
地上からGPS、レーザー誘導をするが意外と命中精度が低い。的を外しても米国の支持が得られた証拠ということで地元勢力の士気が上がったりする。特殊部隊員の誘導がお粗末なので専門の管制員が送られてくる。最後には誤爆で味方が吹っ飛ぶ。
「特殊部隊と空爆」という現代米軍を表現している本なのかもしれない。