南雲忠一中将を再評価するスレ(流)at ARMY
南雲忠一中将を再評価するスレ(流) - 暇つぶし2ch1:GF長官
10/06/16 20:38:13
南雲長官はもっと評価されるべき(12代目)

(初代)南雲忠一中将を再評価するスレ(改)
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(2代)南雲忠一中将を再評価するスレ(伊)
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(3代)南雲忠一中将を再評価するスレ(呂)
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(4代)南雲忠一中将を再評価するスレ(波)
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(5代)南雲忠一中将を再評価するスレ(仁)
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(6代)南雲忠一中将を再評価するスレ(保)
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(7代)南雲忠一中将を再評価するスレ(部)
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(8代)南雲忠一中将を再評価するスレ(止)
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(9代)南雲忠一中将を再評価するスレ(千)
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(10代)南雲忠一中将を再評価するスレ(利)
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2:GF長官
10/06/16 20:39:12
(11代)南雲忠一中将を再評価するスレ(奴)
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3:GF長官
10/06/16 20:40:54
[支隊スレ]
南雲忠一中将を再評価するスレ(仁)(5代目とは同名別スレ)
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【長官は】本日の南雲部隊司令部 1AF【無能だよ】
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4:GF長官
10/06/16 20:42:26
初めての方へ

ここは炎上する赤城を何とか助け出すスレです。

本編(発言者:GF長官)の構成は、

(改)スレの>>1~   真珠湾攻撃編
       >>478~  印度洋機動作戦編
(伊)スレの>>109~  コロンボ攻撃の章
       >>497~  兵装転換の章
(呂)スレの>>90~  仮想戦記の章
       >>528~  ツリンコマリ攻撃の章
       >>780~  艦隊防空の章
(波)スレの>>358~  人事考察の章
       >>588~  珊瑚海海戦編
(仁)スレの>>53~  MO作戦発動の章
       >>355~  祥鳳沈没の章
       >>726~  第五空襲部隊の章
(保)スレの>>172~  夜間攻撃隊の章
       >>445~  索敵考察の章
       >>709~  空母決戦の章
(部)スレの>>397~  筑摩一号機検証の章
       >>653~  零戦最強伝説の章
(止)スレの>>157~  サッチウィーブ誕生の章
       >>350~  帰って来た!空母決戦の章


5:GF長官
10/06/16 20:43:26
(千)スレの>>205~  敵情不明の章
       >>613~  翔鶴被弾の章
(利)スレの>>92~  <回想>印度洋機動作戦の章
       >>464~  長波輻射の章
(奴)スレの>>313~  翔鶴また被弾の章
       >>527~  翔鶴復旧の章

戦史検証が中心なので、雑談は支隊スレへどうぞ。


6:GF長官
10/06/16 20:46:30
[MI作戦の作戦目的]

「ミッドウェー」島作戦に関する陸海軍中央協定
一、作戦目的
「ミッドウェー」島ヲ攻略シ、同方面ヨリ来襲スル敵国艦隊ノ機動ヲ封止シ、兼ネテ我ガ作戦基地ヲ推進スルニ在リ
二 略
三、作戦方針(1~3は略)
 4、海軍ハ有力ナル部隊ヲ以テ攻略作戦ヲ支援擁護スルト共ニ、反撃ノ為出撃シ来ルコトアルベキ敵艦隊ヲ捕捉撃滅ス

第一機動部隊の任務は「ミッドウェー島航空兵力の無力化」と「米空母部隊の捕捉撃滅」です。


7:↑ 
10/06/16 20:47:48 NffbjHtm
悲劇の将軍ではあった、でも重大な作戦を数多く落としすぎた
だれがやれば、勝つと言う物でもないが。
日本海軍の運命(負け)を決めた人、最後に57才で突撃したのは立派。

8:GF長官
10/06/16 20:47:49
[MI作戦の作戦日程]

6月4日(N-3日)第二機動部隊、ダッチハーバー空襲
            ミッドウェー島攻略部隊、敵哨戒圏(600浬)内に突入
6月5日(N-2日)第一機動部隊、ミッドウェー島空襲
6月6日(N-1日)第一機動部隊、情勢に変化なければ敵艦隊出撃に備えつつ、
            ミッドウェー島攻撃を続行
6月7日(N日)   ミッドウェー島攻略部隊上陸
            第一機動部隊、上陸支援

(註)第一機動部隊のミッドウェー島空襲は、当初N-3日の予定だったが、出撃が遅れたためN-2日となった。


9:GF長官
10/06/16 20:48:37
[ミッドウェー海戦戦闘経過](6月5日三空母被弾まで)日本時間
(日出0152時・日没1543時)

0130 第一次攻撃隊発艦(指揮:友永丈市大尉)零戦36・艦爆36・艦攻36(計108機)
     上空警戒機・索敵機も発進(利根四号機は遅延し、0200発進)
0220「敵情特ニ変化ナケレバ第二次攻撃隊ハ第四編成(指揮官加賀飛行隊長)ヲ以テ本日実施ノ予定」
     (南雲長官・第二次攻撃隊のミッドウェー再空襲を予令)
0234 PBY、南雲機動部隊を発見、触接開始
0334 第一次攻撃隊、ミッドウェー島攻撃開始
0400 「第二次攻撃ノ要アリ」(友永隊長、再攻撃要請)
0405 ミッドウェー島基地からの敵機第一波来襲(TBF6機・B-26 4機) 0415に終了
0415「第二次攻撃隊本日実施、待機攻撃機爆装ニ換ヘ」(南雲長官・雷装から爆装への兵装転換を下令)
0440「敵ラシキモノ一○隻見ユ」(利根四号機から0428時の報告・敵艦隊発見)
0445「敵艦隊攻撃準備、攻撃機雷装其ノ儘(ソノママ)」(南雲長官・雷装復旧を命令)
0453 ミッドウェー基地からの敵機第二波来襲 (SBD16機・B-17 15機・SB2U11機)0540に終了
0506 第一次攻撃隊帰投開始(対空戦闘中のため上空待機)
0509「敵ノ兵力ハ巡洋艦五隻・駆逐艦五隻ナリ」(利根機・続報)
0520「敵ハソノ後方ニ空母ラシキモノ一隻ヲ伴ウ」(利根機・敵空母発見)


10:GF長官
10/06/16 20:49:07
0530「直チニ発進ノ要アリト認ム」(山口少将・即時発進の意見具申)
0537 第一次攻撃隊収容開始(0617終了)
0555「収容終ワラバ一旦北ニ向ヒ、敵機動部隊ヲ捕捉撃滅セントス」
    (南雲長官、第二次攻撃隊をもって敵空母を攻撃することを明示)
0618 敵空母から敵機来襲(ホーネット第8雷撃中隊 TBD15機)0637終了
0640 同(エンタープライズ第6雷撃中隊 TBD14機)0700終了
0713 同(ヨークタウン第3雷撃中隊 TBD12機)
0722 同(エンタープライズ第6爆撃中隊 SBD31機)
0723 加賀被弾
0724 赤城被弾
0725 同(ヨークタウン第3爆撃中隊 SBD15機)
     蒼龍被弾


11:GF長官
10/06/16 20:49:33
Q1.事前の索敵計画(七線一段索敵)は、索敵軽視ではないのか(その1)
A1.当時の日本海軍では、重視でも軽視でもなく、標準である。

(註)「当時の聨合艦隊戦策では、索敵は一段索敵とすることが定められており、二段索敵を実施することに
   改められたのは、昭和18年5月のことである」    (『歴史群像(55)日米空母決戦ミッドウェー』)

Q2.事前の索敵計画は、索敵軽視ではないのか(その2)
A2.真珠湾でもインド洋でも珊瑚海でも、二段索敵は実施されていない。
   そもそも、二段索敵そのものがミッドウェー海戦の戦訓から生まれたものである。

(註)二段(多段)索敵という方法自体は、開戦前から考えられていた。
  「偵察が大事であるということは私自身もこれを痛感し、昭和2,3年ころ、初めて航空界に身を投じた時、
  第一に選んだ研究課題が"航空機による敵情偵知"であって、各種索敵法というものを考え出した元祖が
  私であったといっても過言ではないと思う」                  (『聨合艦隊』草鹿龍之介/著)


12:GF長官
10/06/16 20:50:03
Q3.事前の索敵計画は、索敵軽視ではないのか(その3)
A3.索敵機の数を増やすことは万能の解決策ではない(収容の手間)

(註1)艦上機(九七艦攻・二式艦偵等)の場合、収容の際、風上に立たなければならない。
    珊瑚海海戦一日目(昭和17年5月7日)、艦隊針路と風向が逆だったために、攻撃隊収容時に
    反転しなければならず、 その結果敵空母との距離を詰められず、薄暮攻撃になってしまった。

(註2)水上機(九四水偵・零式水偵等)の場合、着水した機体を揚収しなければならない。
    艦隊の行動が止まってしまい、敵潜水艦の格好の標的となる。

(註3)母艦が対空戦闘中の場合、帰艦した索敵機は上空待機を強いられる。
    ミッドウェー海戦では、利根四号機が0730頃に自艦上空に帰投したが、防空戦闘及び三空母
    被弾の混乱から、収容したのは0847時になった。

(註4)索敵機の中には、機位を失い不時着する機体が出るおそれもある。
   「インド洋作戦で起きたある不運な出来事のため、偵察に必要最小限度以上の兵力を割くことを、
   南雲およびその幕僚はためらうようになっていた。索敵機が機位を失し、そのために母艦が無線
   封止を破って電波を出し、艦隊の位置を敵に暴露することになったからである」 
                           (『ミッドウェーの奇跡』GordonPrange/著・千早正隆/訳)


13:GF長官
10/06/16 20:50:24
Q4.事前の索敵計画は、索敵軽視ではないのか(その4)
A4.索敵機の数を増やすことは万能の解決策ではない(誤報の増加)
   索敵機を増やせば、敵情報告も増加するが、同時に誤報が含まれる恐れも大きくなる。

(註)珊瑚海海戦一日目(昭和17年5月7日)では、20機以上の索敵機を出したが、最初に
   入ったのが誤報(油槽船を空母と誤認)だったため、攻撃隊が空振りに終わった。
   同海戦二日目では、わずか7機の索敵機だったのにも関わらず、正確な敵情報告のため、
   攻撃隊は会敵に成功した。


14:GF長官
10/06/16 20:50:47
Q5.0415時、南雲長官が兵装転換を命じたのは何故か(その1)
A5.0400時、友永大尉より「第二次攻撃ノ要アリ」と要請があった。第一次攻撃隊長が「効果不十分」
   と判断したのだから、再攻撃が必要なのは当然である。

(参考)「日本海軍には、第一線下級指揮官の判断を尊重する伝統があった」
                                 (『太平洋戦争航空史話』秦郁彦/著)

Q6.0415時、南雲長官が兵装転換を命じたのは何故か(その2)
A6.0405時から、南雲機動部隊はミッドウェー基地航空隊の攻撃を受けている。同島航空兵力は未だ
   健在であり、速やかにこれを壊滅させなければならない。

(註)「この攻撃によって、ミッドウェーに対する第二次攻撃の必要性についてのすべての疑問が解消した。
   いったいこれらの飛行機はどこから飛来したのか。南雲にとっては、もはや確認する必要はなかった。
   ミッドウェーから来たことは明らかだった」             (『逆転』WalterLord/著・実松譲/訳)


15:GF長官
10/06/16 20:51:42
Q7.0415時、南雲長官が兵装転換を命じたのは何故か(その3)
A7.味方攻略部隊は、すでに前日からミッドウェー島の敵哨戒圏(600浬)内を進撃中である。
   輸送船団に損害が生じては作戦全体に大きな支障をきたす。敵基地制圧が急務である。

 (註)「聨合艦隊命令は敵艦隊撃滅を第一順位としていたが、同命令はまた機動部隊によるミッドウェー空襲を
    6月5日と特に指令していた。もし我が機動部隊が計画通りミッドウェーの航空兵力を無力化しなかった場合
    には、空襲の二日後に予定されている上陸作戦は猛反撃を受け、全攻略作戦は重大な支障を受けるであろう」                         
                                            (第一航空艦隊先任参謀・大石保中佐)


16:GF長官
10/06/16 20:53:08
Q8.0415時、南雲長官が兵装転換を命じたのは何故か(その4)
A8.0130時から発進した索敵機(巡航速度120節・進出距離300浬)は、2時間半あれば索敵線先端に到達する。
   (最も遅い利根四号機でも0430頃)
   0415の時点で報告がないということは、南雲機動部隊の半径300浬内に敵艦隊は存在しない可能性が高い。
   よって、ミッドウェー島再空襲を優先すべきである。

(参考1)昭和19年6月19日マリアナ沖海戦1日目について。
「0730第一段索敵機、概ネ端末ニ達シタル時機、攻撃距離内ニ他ノ母艦群ヲ 認メザリシヲ以テ、
一航戦第一次攻撃隊ヲ発進セリ」               (『戦史叢書(12)マリアナ沖海戦』)

小沢長官もまた、索敵機が索敵線先端に到達した時点をもって、「他に敵空母群は居ない」と判断している。
南雲長官の兵装転換下令は、決して「航空戦の素人」だからではない。

(参考2)昭和17年5月8日珊瑚海海戦2日目について。
索敵機が米機動部隊発見を報告したのは、側程に入ってから約20分経過した時点に相当。
よって、南雲長官の決断は「時期尚早」という評価も成立する。


17:GF長官
10/06/16 20:53:55
[補足1]兵装転換評(国内)

(1)『戦史叢書(43)ミッドウェー海戦』(防衛庁防衛研修所戦史室)

「第一機動部隊は0405ころから防空戦闘を開始した。この戦闘中南雲長官はミッドウェー島再攻撃を決意し、
艦内で雷装して待機していた艦攻の兵装を爆装に換えるよう命じた。
ところが敵水上部隊発見に伴い、南雲長官はこれが攻撃を企図し、0445『敵艦隊攻撃準備、攻撃機雷装其ノ儘』
と下令した。

この命令に『其ノ儘』(そのまま)という字句を使っているところでも判るとおり、同長官は兵装転換に長時間を要する
ことや、30分前兵装転換を下令してから防空戦闘が続いたことなどから、爆装への転換作業はほとんど進んでおらず、
簡単に雷装に復旧できると判断したのである」


18:GF長官
10/06/16 20:54:18
(2)『ミッドウェー』(淵田美津雄・奥宮正武/共著)

「第二次攻撃隊をミッドウェー基地に向けるって、もう命令が出たのか?」
「イヤ、いま司令部で話し合っているのを艦橋で聞いてきました」
「だって、またインド洋のときみたいに、出たあとで偵察機から"敵艦見ユ"と来るかも知れんぜ」
「イヤ、しかし偵察機は、もう全部、とうに索敵線の前端まで行きついた時刻なのに、報告がありませんから、
 攻撃圏内には敵艦隊はおらんと判断されていますよ」
「そうか、しかし魚雷を抱いているんじゃないか?基地攻撃はちょっと困るね」
「ええ、それでいまから、陸用爆弾に積みかえろって命令が出るんですよ」
「いやあ、それは大変な騒ぎだ。それに、もうそろそろ敵の陸上機が来るころだぜ」
このとき司令部はすでに、第二次攻撃隊をミッドウェー攻撃に振り向けることに一決していた。


19:GF長官
10/06/16 20:54:40
(3)『写真太平洋戦争』(第3巻) (光人社NF文庫)

「南雲長官は、最初に兵装転換を下令してからまだ30分しか経っていないので、艦攻の大部分はまだ雷装のまま
だろうと考えた。しかし兵装転換というのは、外すのは簡単なもので、たちまちカタンと外してしまう。問題は装着に
時間がかかるのだ。したがって全機の魚雷がすでに外されて、格納庫内で爆装作業が始まっていた」


20:GF長官
10/06/16 20:54:59
(4)『歴史群像(55)日米空母決戦ミッドウェー』(学研)

「第一機動部隊司令部にとっては、これはミッドウェー島の航空戦闘能力は未だ健在で、今なお脅威となり得ることを
示しており、15分前に友永大尉機から送られてきた報告が正しいことを裏付けるものとなった。

この時点では、敵艦隊出現の兆候は聨合艦隊及び軍令部の対敵情報でももたらされていない。
また、発進させた索敵機はまもなく索敵線の先端にたどり着く頃だが、いまだに敵発見の情報がないということは、
敵空母の攻撃圏内に第一機動部隊が存在しないことを示してもいた」


21:GF長官
10/06/16 20:55:21
[補足2]兵装転換評(海外)

(1)『ニミッツの太平洋海戦史』(ChesterWilliamNimiz/著・実松譲 冨永謙吾/共訳)

「この時機(米空母の攻撃隊発進)までの南雲提督の作戦は、見事な慎重さで実施された。
彼の得た敵情報告からは、海上兵力による抵抗は予期されなかったが、ミッドウェー攻撃には使用可能な飛行機の
半分だけを発進させ、その残りは魚雷を装備、万一米艦隊が出現した場合の戦闘に備え、飛行甲板上に待機させて
いた。

午前7時、ミッドウェー攻撃から帰艦した攻撃隊指揮官は、ミッドウェーに対し第二次攻撃の要ありと進言した。
その直後に行われたミッドウェー基地機による雷撃は、この意見具申を裏書きするように思われた。
このときまでに、南雲部隊の巡洋艦搭載機はすでに二時間から二時間半の索敵を続けており、少なくとも200浬の
索敵線に達しているように考えられた。いまや米艦体に対する警戒を緩めても、安全であるように見えた。
いずれにせよ、ミッドウェー攻撃隊は間もなく帰投し、補給を必要とするであろう」

(註)「午前7時」は、日本時間0400時。
「ミッドウェー攻撃から帰艦した攻撃隊指揮官」は、友永大尉の無電を指す(戦闘経過参照)


22:GF長官
10/06/16 20:55:55
(2)『太平洋戦争アメリカ海軍作戦史』(SammuelEliotMorison/著・中野五郎/訳)

午前7時(0400時)、彼(南雲長官)はミッドウェー島空襲を終わったばかりの攻撃機隊指揮官友永大尉から
「ミッドウェー島に対しては第二次攻撃の要あり」という電報を受け取った。
その十分後に、ミッドウェー島から出たアメリカ軍爆撃機の来襲があったが、これは友永海軍大尉の具申した
意見を裏書きするものであった。

これに基づいて日本機動部隊指揮官南雲海軍中将は、7時15分(0415時)に彼にとって致命的となった決定をした。
すなわち彼は敵軍の水上部隊に対して即時待機の姿勢にあった攻撃機隊93機の「準備を解いた」のである。

すると7時28分(0428時)に至り、遅れて発進した巡洋艦利根の飛行機から電報が受領され、これで情勢は忽ち
一変した。この電報を受けた当初、南雲海軍中将はこの敵艦隊を処理しなければならぬと考えた。しかしこの報告は、
敵の航空母艦に関して何らの暗示もない漠然としたものであったから、同中将は彼の麾下の攻撃飛行隊の急速兵装
転換を取り消すことを至当とは考えなかった。

15分間熟慮して7時45分(0445時)決心を変えた。すなわち彼は直率部隊に対して、
「敵の艦隊に対する攻撃実施を準備せよ。爆弾装備に変更未済の攻撃機に搭載の魚雷はそのままに残せ」と信号した。
恐らくは当時、彼は珊瑚海海戦における原忠一海軍少将の大失策、すなわち航空攻撃隊の大部分を油槽艦に向けて
無駄に費やしたことを想起したのであろう。
そのため2分後に、利根機に対して「艦種知らせ。触接を持続せよ」と無電で指令した。

利根機の操縦士は、8時20分(0520時)に「敵ハ航空母艦ラシキモノ一隻ヲ伴フ」と報告した。
彼の計画していた攻撃隊はすでに編成を解かれていたし、その麾下の各航空母艦の飛行甲板は、ミッドウェー島から
刻々帰還してくる飛行機のために取り片付けておかねばならなかった。
彼は航空母艦間の戦闘において達成すべきものを、与える側ではなく、受ける側に立たねばならなかったのである。
これは何たる重大な運命の破局であったろう!

(註)( )内は日本時間。戦闘経過参照。


23:GF長官
10/06/16 20:56:17
(3)『空母ヨークタウン』(PatFrank/著・谷浦英男/訳)

「多くの著述家が、これ(兵装転換)を取り返しのつかない大失策であり、 おそらく日本に敗戦をもたらした
大錯誤だったと強調している。
そういうことにつながるとしても、その時点においては、これは妥当な決断 だったと言える。

ミッドウェーを再攻撃しなければならないのは明白だった。
現にたった今、 ミッドウェーからやってきた飛行機隊が、南雲自身の乗艦を攻撃したばかりである。
一方、索敵機が付近の海域に敵水上艦隊を発見したという徴候は全くない。

南雲長官は、正当な決断である、と判断した。
ミッドウェーに第二次攻撃をかけることは決して賭けではない。
第一波は間もなく帰投して、発進して行く飛行機と交替する。 第一波は着艦するやいなや爆弾と魚雷を
搭載して、 索敵機が敵の艦隊を 発見したなら、いつでも発進できるように待機するだろう。
客観的に見れば、これは論理的な決断だったと言える」


24:GF長官
10/06/16 20:56:39
(4)『ミッドウェーの奇跡』(GordonPrange/著・千早正隆/訳)

「南雲のこの決定は、その後に激しい批判の的となった。高い外野席からの結果論からみれば、南雲のこの決定は
重大なミステークであったと思う読者は、きわめて多いかもしれない。が、著者は草鹿や源田と同じく、当時の情況
からして南雲の決定は妥当なものであったと信ずる者である。

ミッドウェーを攻撃した友永が再攻撃の必要があると意見を具申したこと、
ミッドウェー基地の航空部隊がまだ攻撃を続けていること、
彼がもっとも信頼している源田が同意したこと、
南雲は彼自身の常識に基づいて決定を下したからである。
しかも、その前日に東京から『わが企図が敵に察知された兆候全くなし』という電報を受信していたのである

南雲のこの重大な決定の是非を判断するには、彼が赤城の艦橋でその決定をした当時の状況を見なければならない。
その決定は少なくとも、敵艦隊の配備および能力を知ることなくして為されたものであった。とすれば、それは指揮上の
失策ではなく、情報上の失策と看なすべきであった。
『知っていれば怪我はない』との古諺とは逆に、南雲は知らなかったために大怪我をした、と言ってよいであろう」


25:GF長官
10/06/16 20:57:01
Q9.0530時、南雲長官が山口少将の意見具申を採用しなかったのは何故か(その1)
A9.0530頃B-17が二航戦を撮影した写真がある。それによれば甲板上には攻撃隊は整列していない。
   この状態から発艦準備を完了させるには40分は必要。現実的に即時発進は不可能である。

 (註1)写真については、『歴史群像(55)日米空母決戦ミッドウェー』(学研)p64、p136 
                『写真太平洋戦争第3巻』(光人社NF文庫)p190を参照のこと。
 (註2)よく見ると、蒼龍飛行甲板艦尾付近に1機・飛龍飛行甲板中央付近に1機確認できる。
     おそらく直衛の零戦と思われる。
 (註3)「攻撃機などの兵装が完備していても、これを格納庫から飛行甲板に揚げ、攻撃隊の発進準備を完成する
     のにはまず40分は必要であろう」                    (『戦史叢書(43)ミッドウェー海戦』)

蒼龍(0521~0524時におけるB-17の攻撃。艦尾に1機確認できる)
URLリンク(ja.wikipedia.org)

飛龍(後部甲板に「ヒ」の識別記号。飛行甲板中央に1機確認できる)
URLリンク(ja.wikipedia.org)


26:GF長官
10/06/16 20:58:03
Q10.0530時、南雲長官が山口少将の意見具申を採用しなかったのは何故か(その2)
A10.第二次攻撃隊の制空隊(零戦)のほとんどは、母艦直衛に上がって対空戦闘中である。
    護衛なしの艦爆隊で敵空母を攻撃しても、戦果は期待できない。

時間帯別直衛戦闘機数
URLリンク(www.uploda.tv)

(参考1)珊瑚海海戦一日目には、護衛なしの薄暮攻撃を実施した。(編成は艦爆12・艦攻15の計27機)
     しかし、米戦闘機の奇襲に遭い、未帰還機9(艦爆1・艦攻8)の損害を出した。
     薄暮ですら、この大損害なのだから、昼間攻撃では到底有効な打撃は与えられないだろう。

During these battles, it became clear that attacks without fighter escort amounted to suicide.
これらの戦闘(珊瑚海海戦)を通して、護衛なしの攻撃隊は結局自殺行為になることが明らかになった。
                                        (『Grumman F4F Wildcat』Coral Sea)
URLリンク(users.skynet.be)
米側の認識も同じである。

(参考2)ミッドウェー海戦において、単独で南雲機動部隊に攻撃してきた米空母雷撃隊は壊滅した。
     護衛なしの攻撃に躊躇したのは、間違ってはいない。
 (註)VT-8(ホーネット)    15機中全機撃墜
    VT-6(エンタープライズ)14機中10機撃墜
    VT-3(ヨークタウン)   12機中10機撃墜(2機未帰還)
    計41機中35機撃墜。

(参考3)0530時点での米空母情報は、利根四号機の「ミッドウェーヨリノ方位10度・240浬」(0428時発信)のみ
     であり、 実際の位置より北へ100浬近くずれている。よって、即時発進しても会敵できない恐れが大である。


27:GF長官
10/06/16 20:59:41
[補足3]第二次攻撃隊の兵装状態(推定)作業はすべて格納庫内

      一航戦(艦攻隊) 二航戦(艦爆隊)        備考
0130      雷装        空装?      第一次攻撃隊発進
0415   転換作業開始    爆装開始     兵装転換命令(一航戦は雷装から爆装へ)
                                        (二航戦は陸用爆弾装備開始)
0445   復旧作業開始   転換作業開始   一航戦は未換装機の爆装作業中止
                               爆装転換済みの機体は雷装復旧開始
                               二航戦は陸用爆弾を通常爆弾へ換装開始
0530   復旧作業途中   転換作業途中?  二航戦は陸用爆弾と通常爆弾の混載状態?
                               山口少将、即時発進の意見具申
0723   復旧作業途中   転換作業完了   三空母被弾


28:GF長官
10/06/16 21:00:00
(1)「空装」とは、魚雷も爆弾も装備していない状態。

(2)一航戦が雷装待機なのは、事前のGFの指示によるもの([補足4]参照)

(3)二航戦が空装なのは、インド洋作戦時の戦訓によるもの。

「(第二次攻撃隊の)二航戦の艦爆は、一航戦同様に対艦装備で待機していたとも言われているが、最近の米側の
研究では爆装がなされていない状態で格納庫内にあったともされる。これはインド洋で攻撃準備中に敵艦隊を発見
して雷爆換装に追われた戦訓を踏まえて、状況を見極めた上で敵情がはっきりするまでは、あえて艦爆隊の準備を
しなかったのではないかと考えられる」                 (『歴史群像(55)日米空母決戦ミッドウェー』)


29:GF長官
10/06/16 21:00:25
Q11.第一次攻撃隊収容より、第二次攻撃隊発進を優先させるべきだったのでは(その1)
A11.第一次攻撃隊は0500時過ぎから帰投を始めていたが、母艦が対空戦闘中であったため、上空待機を
    強いられていた。速やかに収容しなければ、燃料切れで不時着する機体が生じる恐れがあった。

Q12.第一次攻撃隊収容より、第二次攻撃隊発進を優先させるべきだったのでは(その2)
A12.第一機動部隊の任務は「ミッドウェー島航空兵力の無力化」である。
    この後のミッドウェー島再空襲、及び攻略部隊の上陸支援のためにも、母艦兵力を減少させる
    わけにはいかない。


30:GF長官
10/06/16 21:00:55
Q13.第一次攻撃隊収容より、第二次攻撃隊発進を優先させるべきだったのでは(その3)
A13.第一機動部隊の任務は「米空母部隊の捕捉撃滅」である。
    0530時点で、発見した敵空母は一隻のみ。新たな空母が別の場所で発見された場合、第三次攻撃隊を
    編成する上でも、母艦兵力を少しでも確保しておきたい。

(参考)海外の評価
「南雲としてはそのような意見具申(山口少将の即時発進)を必要としていなかった。真珠湾の勝利者である彼(南雲)
以上に航空攻撃の奇襲性と迅速性の価値を認識している者はなかったと言ってよい。が、彼は山本に対し、天皇に対し、
更に祖先の神霊に対して責任を負っている幾千の将兵の生命をその手中に預かっていた」

「南雲は理論的には、非難の余地のない作戦決定をしたのであったが、それが皮肉なことに裏目に出たのであった。
南雲は彼が戦闘の主導権を失っていたことに気づかなかったが、彼が入手していた情報を見る限り、彼がそのことに
気が付かなかったことを非難する理由は見出し難い。
だからこそ、彼にはパニックに陥り、中途半端の兵力で敵艦隊の攻撃に向かわす必要性がなかったのであった」
                                                       (『ミッドウェーの奇跡』)


31:GF長官
10/06/16 21:01:18
Q14.南雲長官は米空母が付近に居る可能性を考えていなかったのか。油断し過ぎではないか。
A14.考えてはいたが、A7の理由から、敵空母所在の「確証」がない限り動けない事情があった。
    敵空母所在の「兆候」のみでは、ミッドウェー島再空襲の方を優先したいという考えだった。

「このとき南雲長官は大した逡巡もなく(ミッドウェー島再空襲の)決断を下している。
が、ここで読者諸氏は疑問を浮かべられるであろう。米空母部隊の所在に、ここまできても気を遣わなかったのか
という当然の疑問である。

敵機動部隊に対する配慮は、当たり前のことながらあった。ただ何度も書くように
『味方の輸送船団は休むことなく前進を続け、ミッドウェー島に近づいているであろう』
という焦慮が、絶えず南雲長官以下各幕僚の頭から離れず、思考の弾力を奪っていた。
草鹿参謀長の言う『二兎を追うわずらわしさ』である。

もし、それなりの処置をとって敵空母部隊に出合えばよい。が、遭遇することなく無駄な時間と兵力を費やし、
空からの援護なしに味方輸送船団を裸でミッドウェー島に近づけ、作戦を根底から崩してしまうようなことが
あってはならない。
そういう思いが片時も離れない。責任の重圧から来るその感情は、恐怖にさえ似ていた」
                                      (『ミッドウェー戦記』亀井宏/著)


32:GF長官
10/06/16 21:01:39
Q15.山本GF長官は敵空母撃滅優先を指示していたはずだが、南雲長官に伝わってなかったのか。
   (その1)
A15.南雲長官は、GFの作戦方針を正しく理解していたと思われる。
    現に、0520時の敵空母発見の報告を受けて、0530時には敵艦隊に対する第二波準備を下令し、
    0555時には「敵機動部隊ヲ捕捉撃滅セントス」と敵空母撃滅を優先することを明示している。

(参考)
(1)珊瑚海海戦1日目には、索敵機が油槽船を空母と誤認し、攻撃隊が空振りに終わり、その後の作戦に
   大きな支障をきたした。
(2)珊瑚海海戦では、敵空母2隻を撃沈破したにも関わらず、MO作戦は失敗に終わった。
  「敵空母を全滅させても、味方攻略部隊が上陸できなければ、作戦は失敗である」
(3)0530の発令とは、
   「発:機動部隊指揮官」「宛:機動部隊」「本文:艦爆隊二次攻撃準備 二五○粁爆弾揚弾」
   収容した友永隊(第一次攻撃隊)の艦爆隊(一航戦)に対艦装備を施し、第二次攻撃隊発進後、
   すぐさま第二波として敵空母に向かわせることを企図したもの。


33:GF長官
10/06/16 21:02:03
Q16.山本GF長官は敵空母撃滅優先を指示していたはずだが、南雲長官に伝わってなかったのか。(その2)
A16.雷装待機中の第二次攻撃隊は「最強編成」である(板谷制空隊・江草艦爆隊・村田雷撃隊)
    新任の友永大尉に基地制圧を任せ、真珠湾以来の熟練指揮官を敵空母撃滅用に残していたというところから、
    南雲長官が米空母撃滅の方を重視していたことがうかがえる。

(註)板谷茂少佐(赤城)真珠湾攻撃では第一次攻撃隊制空隊長。
   江草隆繁少佐(蒼龍)真珠湾攻撃では第二次攻撃隊艦爆隊長。「艦爆の神様」インド洋作戦で8割超の命中率。
   村田重治少佐(赤城)真珠湾攻撃では第一次攻撃隊雷撃隊長。「雷撃の神様」

「まことにこの三人の指揮官は、この舞台ではベストワンのトリオである。そして彼らに続く
搭乗員は、すべて一騎当千の精鋭で、かけ値なしに当時日本海軍のベストワンの編成である。
もしこれでスポーツのように国際競技が行われるものとしたら、金メダルは確実である。
南雲中将は、米空母群は近くに居ないと一応は判断しているが、それでも万一に備えて、このように
敵空母群攻撃の最良編成で待機させたのである」      (『ミッドウェー』淵田・奥宮/共著)

「(第二次攻撃隊の)パイロットたちはぶらぶら歩きながらくつろぎ、待機していた。こんなに数多くの
優秀なパイロットをこのように待機させておくのは、なんだか無駄遣いのように見えた。
しかし、南雲は艦隊の安全を希望していた。
誰でも動かない島を攻撃できるが、動きまわる艦船を攻撃するには伎倆が必要である。だが、見込み
がなくても米艦隊の出現の恐れがある限り、南雲は使用できる優秀な搭乗員を待機させておきたかったのだ」
                                         (『逆転』WalterLord/著・実松譲/訳)


34:GF長官
10/06/16 21:03:04
[補足4]第二次攻撃隊雷装待機について

(1)雷装待機は事前にGFより厳命されていた。
「ミッドウェー攻撃ノ間、母艦搭載機ノ半数ハ、敵艦隊ノ出現ニ備ヘテ艦上待機ヲ行フ
 対敵艦隊攻撃待機ハ、第一編制(指揮官 赤城飛行隊長)トスル」(『戦史叢書』MI作戦要領)

(2)雷装待機に対する反論(『ミッドウェーの奇跡』より)
「山本長官が兵力の半数を、敵の空母部隊に備えるよう望んでおられることは、南雲長官もその幕僚も
よく承知していた。事実、情況の許す限りそうしていた。
が、敵のミッドウェー基地の航空兵力が我々に対して攻撃を開始し、敵の空母部隊がまだ発見されない
情況では、居るのか居ないのか分からない敵に対して、その兵力の半数を無期限に放置しておくのは、
前線の指揮官としてほとんど耐えられないことであった」       (草鹿龍之介少将・一航艦参謀長)

「そのような考えにこだわると、適当な敵が発見されない限り、攻撃兵力の半数が有効に使われないこと
になる。情況によって決定はなされなければならない」         (源田実中佐・一航艦航空甲参謀)


35:GF長官
10/06/16 21:03:32
Q17.『第一航空艦隊戦闘詳報』の「経過概要」では、0428時送信の利根機敵艦隊発見電は
    0500時受信となっているが、戦闘経過では0440時受信としているのは何故か。
A17.0445時の換装中止命令と矛盾するから。
    0500時受信の場合、情勢に何の変化もないのに、いきなり換装中止命令を出したことになる。
    兵装転換の中止を命ずる限りは、その前に何らかの敵情の変化が入ったはず。
    0445時の発令自体が虚偽とする説もあるが、0447時の無電を米側が傍受した記録が残されている。
                                               (『歴史群像ミッドウェー』より)

(註1)『戦闘詳報』の出典は、『記録ミッドウェー海戦』(澤地久枝/著)
    または、「国立公文書館 アジア歴史資料センター」のホームページより
    URLリンク(www.jacar.go.jp)
    【レファレンスコード】C08030023900(11/54)
(註2)0447時の無電とは、
   「発:機動部隊指揮官」
   「宛:利根四号機」
   「本文:タナ一、艦種確メ触接セヨ」
   つまり、南雲長官が利根四号機に「艦種を確認せよ」と命ずる以上、0447時以前に利根機からの
   敵艦隊情報を赤城が受信していたことになる。


36:GF長官
10/06/16 21:03:59
以降は珊瑚海海戦編テンプレ

[珊瑚海海戦要図] 日出は0420時、日没は1614時(日本時間)

      □■ラバウル
     □□□
□□□□□□□     □□      ソロモン諸島
             □□  □□
□□□□              □□   □□
□□■ラエ                   □□   □□   □□
□□□□□                         □□   ■ツラギ
□□□□□□□   ジョマード水道                □□□ガダルカナル島
□□□■□□□□    ↓  ルイジアード諸島
 ポート □□□□■ □ □■ □ ■ロッセル島          □
 モレスビー  サマライ  デボイネ




□□               珊 瑚 海
□□
□□■クックタウン
豪□□
州□□                                ニューカレドニア
□□□■タウンスビル                          □□
□□□□                                   □■ヌーメア
□□□□□□


37:GF長官
10/06/16 21:04:20
[MO作戦日本側編成]

<南洋部隊>第四艦隊司令長官・井上成美中将

(1)MO機動部隊(第五戦隊司令官・高木武雄中将)
[主隊](高木中将直率)
 第五戦隊   重巡「妙高」「羽黒」
 第七駆逐隊  駆逐艦「曙」「潮」
[航空部隊](第五航空戦隊司令官・原忠一少将)
 第五航空戦隊 空母「瑞鶴」「翔鶴」
 第二十七駆逐隊  駆逐艦「有明」「夕暮」「白露」「時雨」
[補給隊]     給油艦「東邦丸」


38:GF長官
10/06/16 21:04:40
(2)MO攻略部隊(第六戦隊・五藤存知少将)
[MO主隊](五藤少将直率)
 第六戦隊 重巡「青葉」「衣笠」「加古」「古鷹」
        空母「祥鳳」
        駆逐艦「漣」
[ポートモレスビー攻略部隊](第六水雷戦隊司令官・梶岡定道少将)
 第六水雷戦隊 軽巡「夕張」
           駆逐艦「追風」「朝風」「睦月」「望月」「弥生」「卯月」
           敷設艦「津軽」
           掃海艇「第二○号」
           輸送船12隻
[掩護部隊](第十八戦隊司令官・丸茂邦則少将)
 第十八戦隊 軽巡「天龍」「龍田」
         水上機母艦「神川丸」「聖川丸」
         特設砲艦「日海丸」「京城丸」「勝泳丸」
         特設掃海艇2隻

(3)ツラギ攻略部隊(第十九戦隊司令官・志摩清英少将)
 第十九戦隊 敷設艦「沖島」
         駆逐艦「菊月」「夕月」
         特設掃海艇2隻
         特設特務艇2隻
         特設駆潜艇2隻
         輸送船2隻


39:GF長官
10/06/16 21:05:04
[珊瑚海海戦米側編成]

第17任務部隊(フランク・フレッチャー少将)

[第2群]攻撃隊(トーマス・キンケード少将)
 重巡「ミネアポリス」「ニューオリンズ」「アストリア」「チェスター」「ポートランド」
 駆逐艦「フェルプス」「デューイ」「ファラガット」「エールウィン」「モナガン」

[第3群]支援隊(ジョン・クレース英少将)
 重巡「オーストラリア」(豪)「シカゴ」
 軽巡「ホバート」
 駆逐艦「パーキンス」「ウォーク」

[第5群]航空部隊(オーブレイ・フィッチ少将)
 空母「ヨークタウン」「レキシントン」
 駆逐艦「モリス」「アンダーソン」「ハマン」「ラッセル」

[第6群]補給隊(ジョン・フィリップス大佐)
 油槽船「ネオショー」「ティッペカヌー」
 駆逐艦「シムス」「ウォーデン」

[第9群]索敵隊(ジョージ・デーボン中佐)
 水上機母艦「タンジール」(PBY12機)

(註)フレッチャー少将はヨークタウン坐乗、フィッチ少将はレキシントン坐乗
   この他に、ポートモレスビー及び豪州の陸軍航空隊が加わる。


40:GF長官
10/06/16 21:05:41
こちらは士官用テンプレ。過去スレの内容をまとめたものです。

<索敵>
Q18.ミッドウェー海戦における第五索敵線(77度)の筑摩一号機の行動について、
   (甲)米機動部隊の航路上を通過しながら、雲上飛行だったため発見出来なかった。
   (乙)途中で米艦爆(SBD)と遭遇し、交戦しがら報告しなかった。
A18.筑摩一号機(機長・都間信大尉・筑摩飛行長)の行動は謎が多く、断定は出来ないが、  
(甲)について、
索敵計画線を見れば、筑摩一号機は米機動部隊(TF16)航路上を通過している。
スレリンク(army板:437番)
雲上飛行は、都間大尉自らが認めている。
スレリンク(army板:398番)
予定通りに飛行していれば、同機は0320頃、左手方向・約23浬に米空母を発見できたはず。
スレリンク(army板:437-439番)
米側の記録によれば、当時米空母上空の天候は良かった。
スレリンク(army板:454番)
この状況で索敵機から視認できないのは不自然と思われる。

仮に雲上飛行をして、雲下の米艦隊を発見できなかったとしても、米海軍のレーダーが筑摩一号機
を捕捉するはず。史実でもエンタープライズのレーダーが利根四号機を発見している。
スレリンク(army板:534番)
米戦史にその記録が見られないことからも、筑摩一号機は規定の索敵線を外れて飛行していたのでは
ないかとも考えられる。


41:GF長官
10/06/16 21:06:07
(乙)について、
日米双方の公刊戦史に該当の記録は見られない。
スレリンク(army板:456-457番)
日本側では『実録太平洋戦争』(秦郁彦/著)に、
スレリンク(army板:400番)
米側では『空母ヨークタウン』(PatFrank/著・谷浦英男/訳)に見られる。
スレリンク(army板:458番)
秦氏の著述は『空母ヨークタウン』を出典としているのだろう。
しかし同書の記述だけでは、筑摩一号機と交戦したとは断定できない。
スレリンク(army板:459番)
更にヨークタウンSBDの索敵圏から考えると、仮に筑摩一号機と接触したとしても、
それは復路(0430時以降)になり、0415時の兵装転換下令には影響しない。
スレリンク(army板:466-468番)
また、筑摩四号機(第六索敵線・54度)と遭遇した可能性もある。
スレリンク(army板:469番)
よって、都間大尉の責任にすることは過早であると考えられる。


42:GF長官
10/06/16 21:08:09
<攻撃前日の敵情判断>
Q19.6月4日に輸送船団が攻撃を受けながら、なお奇襲が成立すると見込んでいた南雲司令部
    の判断は甘かったのではないか。
A19.企図漏洩をうかがわせる情況は以下の三点。
①第二機動部隊による、ダッチハーバー空襲(0040時)
スレリンク(army板:259番)
②攻略船団の被発見(0615時)と被攻撃(1330・2354時)
スレリンク(army板:258番)
③南雲機動部隊が、敵哨戒艇による触接を受ける(1630・2354時)
スレリンク(army板:230-231番)(敵信傍受)
スレリンク(army板:251-252番)(1630時)
スレリンク(army板:254番)(2354時)
スレリンク(army板:256-257番)
6月5日0000時点での情勢判断
スレリンク(army板:260番)
①~③によりハワイから米空母が出撃してきても間に合わないと思われる。
スレリンク(army板:274番)
6月5日0130時に友永隊を発進させても、基地が空の公算大である。
スレリンク(army板:275番)
しかし発進時間や編制を変更する時間の余裕はない。
スレリンク(army板:276番)
スレリンク(army板:306番)
奇襲成功の見込みは甘かったが、現実問題として他に方法はなかったのではなかろうか。
スレリンク(army板:279-280番)


43:GF長官
10/06/16 21:09:25
テンプレ終了。

先任参謀殿の提言により、[MI作戦の作戦目的]変更しました。
士官用テンプレQ19追加しました。


44:名無し三等兵
10/06/16 21:12:40
>>1

45:名無し三等兵
10/06/17 17:56:58
大将だろ

46:GF長官
10/06/22 21:29:58
スレリンク(army板:731番)
さすがに我が麾下部隊の行動は迅速だな!
>両方とも四捨五入すれば1000キロ
つ、つまり日本からハワイまでは5500キロだから、四捨五入すれば1万キロ。
往復2万キロで地球半周したわけか。南雲機動部隊恐るべし。

スレリンク(army板:738番) 
スレ移行したので心配ないかと。


47:GF長官
10/06/22 21:36:31
>>7 ようこそ南雲スレへ!
>悲劇の将軍ではあった、でも重大な作戦を数多く落としすぎた
南雲長官は批判されて然るべきだと思います。
ミッドウェーでは空母を全滅させているわけですから。
しかし、南雲が無能だから決断を誤ったのか?
それを検証するのが当スレの趣旨であります。どうぞご贔屓に。

>>45 こちらへ
スレリンク(army板:762番)


48:GF長官
10/06/22 21:37:52
>>46リンク訂正
スレリンク(army板:731番)
スレリンク(army板:737番)


49:GF長官
10/06/22 22:14:04
前スレ埋まりました。
引き続き宜しくお願いします。

スレリンク(army板:730番)の続き

飛龍に取り残された機関科員たちの消息は・・・

「飛龍左舷前機室の萬代少尉は、突然の大爆発で身体が宙に飛んだ。
やがて耳をすますと、舷側の波音が聞こえてきた。
機械部員たちは敵のとどめの魚雷だと思い、すべてを諦めた。

すると天井の昇降口のハッチが開き、日高豊三等機関兵が声をかけてきた。
全員は”助かるぞ”と歓声をあげた」         (『勇断提督山口多聞』)

まさか”味方からの魚雷”だとは思わなかったでしょうね。
彼らは通路をつたって、他の缶室・機械室の生存者を確認。
更に機械室倉庫の隔壁の鋲が抜けており、光が漏れている箇所を発見した。
もしかしたら、巻雲からの魚雷命中の衝撃で鋲が飛んだのかもしれない。


50:GF長官
10/06/22 22:16:06
>>49の続き

さっそく大ハンマーとタガネをふるって脱出口確保に全力を尽くし、その結果、
約一時間後に一人が抜けられる程度の穴が開いた。
相宗機関長は全員脱出を下令。

「飛行甲板に上がった時、駆逐艦が現場を離れて行くところであった。
これを呼び戻そうとしてマストに昇って灯火で信号したが、モールス符号を
知らないので遂に目的を達しなかった。
のちに飛龍航海長であった長少佐の語るところによると、山口司令官や
加来艦長がお別れの信号をしているものと思ったそうである」(『戦史叢書』)

ここでも「意思疎通の欠如」が見られますね。
思い込みというのは他人から指摘されない限り、なかなか気づかないものですから。
本職もスレ内で思い知らされてばかりですよ。


51:GF長官
10/06/22 22:17:23
>>50の続き

飛行甲板に脱出できたのは相宗機関長以下、約70名にもなった。
夜明け後(0330頃)には、鳳翔からの九六艦攻が飛龍上空に飛来。
付近の味方艦艇が助けに来てくれるはずと思った彼らは、カッターでの脱出を決意。

早速準備にとりかかったが、作業完了しないうちに飛龍が沈み始めた。
時間は、6月6日0606時と記録されています。
全員は飛行甲板から海に飛び込んだが、沈没の渦に巻き込まれて残ったのは39名。
15日間の漂流の後、5名が死亡。残り34名は米水上機母艦バラードに収容され、
ミッドウェー島で捕虜となり、最終的には米本土へ送られた。

皮肉にも、彼ら34名だけが「ミッドウェー島上陸」に成功したことになる。


52:前スレ>>734
10/06/22 23:08:27
前スレ>>739
>南雲長官カワイソス・・・でもあの航跡図を見ると、そりゃ憔悴もするわなぁ。

ただ前スレ>>734の末国中佐証言「GF命令握り潰し」には個人的には疑問もありまして。
当時、3F機動部隊の艦隊行動は2F前進部隊と事実上連動していて、航空戦以外の総指揮官は2F近藤長官です。
よって、
・2F司令部の了解無しに、3F司令部(除く南雲長官)単独でそんな判断実行が可能なのか?
・仮に2Fと3Fがグルだったとしても、電波封止下でGFに気づかずにそのような意思疎通が“迅速に”可能なのか?
・同証言を3F内に限定しても、機動部隊前衛や補給部隊への行動指示に著しい支障が発生するのでは?
等々。

ちなみに同証言が事実な場合、逆に言えば、
「少なくともこの時の南雲長官は、参謀意見に単純にめくらばんを押すだけの指揮官ではなかった」
ということになるかと。

53:名無し三等兵
10/06/23 10:02:16
>>52
厳密には、南太平洋海戦(というか、そこにいたる10日近い機動戦)の機動部隊は無線封鎖してないよん。

54:GF長官
10/06/23 21:07:33
>>52 結論を出すのはもう少し待った方がいいかな。
>「少なくともこの時の南雲長官は、参謀意見に単純にめくらばんを押すだけの指揮官ではなかった」
なるほど! メモメモっと。

>>53 そうだったのか。「南太平洋海戦編」が楽しみだ。


55:GF長官
10/06/23 21:39:58
>>51の続き

以上、いくつかの戦例を通して「指揮系統の崩壊」をみてきました。

何もこれは日本海軍に限ったことではなく、第三次ソロモン海戦(第一夜戦)では、
重巡サンフランシスコに砲弾が命中し、統一指揮官のキャラガン少将が戦死、
また軽巡アトランタも艦橋に命中弾を受け、スコット少将以下司令部全滅。
こうなると指揮も統制もあったものではなく、同士討ち等の混乱が生じている。

もともと軍隊においては、指揮系統の維持は想定内の案件であり、最高指揮官が
倒れた場合は次席指揮官が継承することになっている。

「戦隊指揮官ノ乗艦ガ列ヨリ離レ、指揮ヲ執リ難キニ至ラバ、次席指揮官ハ直チニ
指揮ヲ継承スルモノトス」                       (『海戦要務令』)

ミッドウェーでは赤城被弾後、一時的に八戦隊司令官・阿部弘毅少将が指揮代行
していますし、同一艦内においては、生存者の中で最先任の将校が指揮を執る。
これは加賀・天谷飛行長の話の通りです。


56:GF長官
10/06/23 21:42:17
>>55の続き

これ以上の措置を求めることは、空母という軍艦の性質上難しいのではないかと
思います。つまり「どうか艦橋には当たらないでくれ」と祈るしかない。

ただ「通信系統の途絶」に関しては、色々と改良の余地が残されているでしょう。

先に紹介した飛龍機関室の問題でも、艦内電話が通じなくなっても、通風筒を利用して
艦橋まで上がってきたり、また伝送管(圧縮空気を利用して通信文をやりとりできる)を
利用して状況を確認し合ったりと、懸命の努力が為されている。

平時から、艦内電源が落ちた場合、電話線が断線した場合等を想定して、複数の予備
系統を準備しておくことは可能だったかもしれませんね。


57:GF長官
10/06/23 21:44:06
>>56の続き

それと艦橋の近くには、たいてい煙突があるもので、煙突は防禦の「穴」。
スレリンク(army板:63番)
煙路が塞がれば排煙が逆流して、またもや機関室は焦熱地獄になってしまう。

再度翔鶴の命中箇所を確認すると、
スレリンク(army板:459番)
ちょうど、艦橋と煙突の中間ですね。

もし、航海長・塚本朋一郎少佐が”狙って”この位置に命中させたのなら、
それこそ「神操艦」ですが、やはり偶然の産物でしょう。
冒頭で言及した通り、「どこに命中したかによって艦の運命が左右 される」
ということになるかと。


58:名無し三等兵
10/06/23 23:21:59
>>54
楽しみて、「南太平洋海戦編」もやるのは長官ですやん。

無線封止に関しては、確かに命令は出されてますが、機動部隊の現在地の報告や前衛への指示に何度も無電を使っとります。
ただ、毎回どうやって無電を打っていたかは不明ですが、内一回に関しては駆逐艦を分派して打たせてますな。

>>52
もう少し補足しときましょうか。

>・2F司令部の了解無しに、3F司令部(除く南雲長官)単独でそんな判断実行が可能なのか?
少なくとも、現場の総指揮官たる支援部隊指揮官による事前の了解無しで動いてはいますな。
機動部隊の北進に支援部隊指揮官は危機感を抱いていたと戦後に回想しており、前進部隊にも合わせて北上を命じていますから。
GF参謀長も「機動部隊の独断での北進は、前進部隊の孤立を招く」と不満を述べておりますし。

>・仮に2Fと3Fがグルだったとしても、電波封止下でGFに気づかずにそのような意思疎通が“迅速に”可能なのか?
>・同証言を3F内に限定しても、機動部隊前衛や補給部隊への行動指示に著しい支障が発生するのでは?
これは>>53でも述べたとおりに、無電でやりとりしています。
ただし、この海域では無電の大幅な遅延が発生しており(最大で6時間弱)、必ずしも“迅速に”出来ていたわけではありませんが。

まあ>>54で長官が安易に結論を出すことを忌ましておられますが、
あれこれ他の記録と付き合わせると、末国中佐の証言はかなり眉唾ものに見えますわ。

59:名無し三等兵
10/06/23 23:24:02
前スレ>719
スレリンク(army板:719番)
こういうアニメキャラが会話して色々解説するサイト一頃流行ったなあ
テキストサイトに絵が付いただけだから簡単だったのかな

ま、どうでもいいけど

60:GF長官
10/06/24 21:21:45
>>58 「南太平洋海戦編」なんて、あまりにも遠すぎて、いったい誰がやるんだよといった感じ
なんですよねぇ。

>>59 すみません。例の惣流・・・じゃなかった蒼龍の写真がここしか見つからなかったもので・・・
まぁ、なんでも、いいですけれど。
 

61:GF長官
10/06/24 21:35:12
>>57の続き

続いては二発目「飛行甲板右舷後方」
スレリンク(army板:463番)の②

三発の命中弾のうち、これが最も軽微な被害だったと思われる。
短艇の炎上ですから、木造家屋の火災とそう大差はない。
また、短艇格納庫は開放型格納庫と構造が同じなので、燃え移った備品類は
どんどん海上に投棄すれば良い。

命中箇所を確認すると、いずれも飛行甲板の端っこです。
これが艦中央部だった場合、艦の応急機能そのものが前後に分断されてしまい、
例えば、「前方の応急班を後方に向かわせ、消火作業を支援する」といった対応が
出来なくなる。


62:GF長官
10/06/24 21:36:56
>>61の続き

ミッドウェーで赤城がたった一発の命中弾で沈んでしまったのも、中央部に命中した
からという見方も成り立つでしょう。
スレリンク(army板:597番)

もちろん誘爆の影響が一番大きいですが、艦中央で発生した火災は両側に拡大して
しまうのに対し、端部なら応急班で周りを取り囲んでの消火作業が出来る。
ちょうど両翼包囲と片翼包囲との違いみたいなものかな。
どちらが「消火戦力」を集中できるかは明らかかと。

そして、大前提である電源・消火系統に故障が生じなかったため、”訓練通り”に
消火作業に従事して、鎮火に成功した。


63:GF長官
10/06/24 22:13:14
明日は飲み会のため休業。次回は土曜日ということで。

『海軍反省会』を読み終わりました。
敗戦の原因を何に求めるかは、色々あって良いと思いますが、感想としては、
「負けた理由を挙げれば、いくらでも出て来る」ですね。

「負けた理由」=「出来ない理由」です。
同書の中にも「なぜ無謀な戦争を止められなかったのか」という項目がある。
仮にハルノートを受諾していたら、日本はどうなっていたか。

様々な未来を描けるでしょうが、一つだけ断言できることがあります。それは、
60年後の”並行世界”の軍板では「日米もし戦わば」スレが乱立しているはず。


64:GF長官
10/06/24 22:15:24
>>63の続き

スレ立て当初は戦前の想定通り、漸減邀撃作戦の上で話が進んでいきますが、
やがてある一言により、議論が紛糾。
「漸減邀撃作戦ではどのみち勝てないんだから、開戦と同時に真珠湾を奇襲すれば
勝てるんじゃね?」

たちまち反論の嵐が巻き起こる。
「素人の妄想乙」
「そんな作戦を許可するなんて、軍令部総長はどんだけ楽天家なんだよw」
「ハワイの航空戦力をなめすぎ」

更に支隊長官のような理論派が登場しまして、資料を駆使して、いかに
無謀な作戦であるかを丁寧に論破していく。
「企図秘匿が困難」「航続力不足・洋上補給の問題」「浅沈度魚雷の開発」等々・・・
そして、
「考えられる最高の幸運にでも恵まれない限り、成功は望めないでしょう」
と結論づける。

かくて、今日における「ハワイ太郎」(真珠湾奇襲と同時にハワイを占領して
しまえば勝てた)と同じ扱いになるかと。


65:GF長官
10/06/24 22:20:01
>>64の続き

戦史を深く学べば学ぶほど、真珠湾奇襲を採用した理由が分からなくなる。
どう考えても、うまくいくはずのない作戦です。
冒頭の通り「出来ない理由」を考えれば、いくらでも挙げられますから。

偏に、「真珠湾攻撃は私の信念である」と吐露した山本長官の力によるもの。
前代未聞の大奇襲作戦の最高指揮官に選ばれたのが南雲忠一中将。
いやぁ、漢の中の漢、船乗りの中の船乗りですね!カッコイイ。

私見ではありますが、
誰が指揮したとしても、史実のミッドウェーより悪い結果は考えられない。
同時に、
誰が指揮したとしても、史実の真珠湾奇襲より良い結果は考えられない。

『龍馬がゆく』の中で、司馬遼太郎氏は、
「人と生まれしその甲斐は、一時を為すにあり」と言っている。
本職もこれに同意で、先人に対して完璧を望んではおりません。
たった一度で良い。事を成せばそれで十分と思います。

真珠湾奇襲成功。
この一時をもって、海軍軍人・南雲忠一の使命は果たされた。
こう確信するものであります。


66:GF長官
10/06/24 22:37:24
>>65訂正
この一時をもって、海軍軍人・南雲忠一の使命は果たされた。
→この一事をもって、海軍軍人・南雲忠一の使命は果たされた。


67:GF長官
10/06/26 19:45:10
>>62の続き

むしろ運用長・福地少佐にとって想定外だったのは、こちらだったかもしれません。
それは「塗料の引火」です。

塗装には欠かせない有機溶剤ですが、

「有機溶剤は一般に揮発性が大きく、蒸気の比重が空気より大きく拡散しにくいために
通気不十分な場所で取り扱うと高濃度で滞留しやすい。
またほとんどのものは引火性があり、溶剤の表面から揮発した蒸気が空気と一定の
割合で混合すると、爆発性混合ガスをつくる。

したがって有機溶剤を取り扱う際には、火災危険性に対しても特別の配慮を払わなけ
ればならない」                    (『有機溶剤作業主任者テキスト』)


68:GF長官
10/06/26 19:46:38
>>67の続き

昨年関門海峡にて、護衛艦くらまと韓国コンテナ船との衝突事故がありましたが、
あの時くらまの方が派手に炎上したのは、艦首倉庫に保管していた塗料に引火
したのが原因だと聞いています。

そう、塗料は燃え易いのです。
試しに、手近な塗料缶の注意書きを読んでみて下さい。なければプラモデル用の
タミヤカラーでも結構、必ず「火気厳禁」とあるはず。

今更そんな当たり前のことを・・・と思われるかもしれません。
当時の人も塗料が危険であることは十分認識していたでしょうが、塗装した壁や
天井が燃え易いという事実は、意外な盲点だったのではないかと。


69:GF長官
10/06/26 19:48:09
>>68の続き

まさか「鋼鉄製の壁」が、あんなに容易く燃え広がるとは・・・

「(ミッドウェーでの)四空母沈没の原因が火災であることを知らされた技術者たちは、
どのような気持ちに捉われたであろうか。恥ずかしさに体がふるえたであろうか。
たしかに炭酸ガス放出装置や移動式ポンプは一応装備していた。しかし、そのような
ものは役に立たなかった。

めらめらと燃え上がり、艦内を焔に包んだのは、艦自体の塗料であった。
四空母沈没の責任は、用兵者以上に技術者にあったのである。
従来塗料の研究は呉工廠造船実験部が主体になって行っていた。艦には至る所に
防錆剤が塗られる。それは不燃性のものでなくてはならない。けれども、防錆力と
接着力の完全な不燃性塗料を、まだ開発することが出来ないでいた」
                                   (『艦と人』飯尾憲士/著)


70:GF長官
10/06/26 19:50:11
>>69の続き

そもそも何の為に、軍艦に塗装を施すのかと言えば、
「金属の多くは大気中の酸素に触れることで酸化し錆を発生させるが、こと鉄の場合は
表面の錆が内部に向かって浸蝕する性質が強く、多くの鉄製品では塗装が必須である」(wiki)

常に海上で行動する軍艦にとっては、不可欠の装備と言えますね。
そして耐火性・難燃性を有する塗料を日本海軍は持たなかった。まさに両刃の剣。

では、どちらか一方を選択しなければならないとなったら、道は一つしかない。
ミッドウェー以後、空母以下の各艦艇では徹底的な「可燃物の除去」がなされた。
具体的には、塗装を全部剥がしてしまった。

「四空母の大火災を耳にした時、技術者たちは一ヶ月前の珊瑚海海戦で傷つき
帰って来た翔鶴のことを、きっと思い出していたはずである。帰投後、艦長は
有馬正文大佐に替わっていた。有馬は運用長・福地周夫少佐の意見を容れて、
2万5千トン級の空母翔鶴の塗料を、乗組員に剥がさせ始めたのである。
技術者たちは愕然とし、消え入りたい気持ちであったろう」


71:GF長官
10/06/26 19:51:20
>>70の続き

ここに印象的な映像がある。
よく引用する『日本海軍艦艇集』の中に、ミッドウェー出撃直前、柱島において
赤城のペンキ塗り作業の場面が出てくる。
飛行甲板を支える支柱や外壁など、艦全体を丁寧に塗り直している。

動画は見つからなかったので、ナレーションだけ。
「この空母赤城の映像が、昭和18年の『海軍戦記』という記録映画で公開された時、
赤城はすでにミッドウェーの海に没していた」

出撃前の”お色直し”のつもりだったかもしれませんが、史実を知る我々からすると、
空しさばかりが漂ってしまいますね。


72:名無し三等兵
10/06/26 22:26:44
>>63
負けた理由→それが改善されれば勝てる
と考えるべきだと思うけどな。
よく言われる負けた理由は、それらが改善されたところで戦争に負ける事には変わりないってパターンが大半だわな。
そもそも、それは本当に改善すべき点として挙げるべきものだったのかという事すらも怪しいと最近感じる事もあるけど。

73:名無し三等兵
10/06/28 13:49:10
>>67-71
丸スペ131「戦時中の日本空母Ⅲ」や学研「空母大鳳・信濃」には
・防火策の一環として油性塗料を剥離しアートメタルペイントに塗り替える
・信濃の艦内は薄い水色の「防火塗料」で塗られていた
とかある辺り最終的には耐火性の塗料を採用したみたいだけど時期が…

74:GF長官
10/06/28 21:17:12
>>72 そうですよね。
>負けた理由→それが改善されれば勝てる

全く同意なのですが、この手の話になると「最終的に完敗したから、何もかもダメ」
といった感じになるんですよ。
教育も人事も用兵も・・・とにかく日本人が何やっても勝てないと。
極端なのだと、日本海海戦で完勝したのが慢心を生んだとか、
果ては元寇で神風が吹いたから(ry

反省すべきところは反省し、評価すべきところは評価する。それだけの話であって、
民族性にまで敗因を求めるのは日本人の悪いクセ・・・(おっと)

同書の最後に出席者の経歴がありますが、前線で戦った経験があるのは、野元少将
(瑞鶴艦長)と末国大佐(3F参謀)くらい。
例によって真珠湾の第二撃、ミッドウェーの兵装転換、第一次ソロモン海戦での反転、
レイテの栗ターンなどが叩かれているのですが、それを教育制度や人事と結びつける
のはどうかなと。


75:GF長官
10/06/28 21:18:58
>>74の続き

「戦闘というものは事が終わった後ならいくらでも理路整然と語れるが、戦った当事者
から言わせてもらうと事前はまるで闇の中を手探りで進むような気持ちのものだ」
スレリンク(army板:148番)

フレッチャー少将が回想しているように、実戦では想定外のことが起こるもの。
暗中模索こそ、指揮官の心情を的確に表す言葉と言えるでしょう。

江田島が「型にはめ込む教育」で、アナポリスが「思考型人間を育てる」って、
それで失敗したのが、ゆとり教育じゃないのか?
「独創性を育くむ」と導入した結果、生まれたのは怠け者ばかり・・・
そう言いながら、次席の多聞を持ち上げてるし。

だいたい米海軍にも年功序列やハンモックナンバーはあったし、「実力主義」
とやらも、結局はキングの好き嫌いに振り回されてるだけだろw

・・・すみません。ちょっと脱線し過ぎましたね。
スレ違いになるので、このへんにて。


76:GF長官
10/06/28 21:19:28
>>73 有難うございます。
引用した箇所はミッドウェー直後の話ですので、念の為。
本職も耐火塗料とはどういうものなのか、あまり知識がありませんので・・・

ただミッドウェーに間に合ったとしても、沈没から救えたかは微妙かな。


77:GF長官
10/06/28 21:41:48
>>71の続き

もう一つ幸運だったのは、「至近弾ではなく、命中弾だったこと」。

逆説的に聞こえるかもしれませんが、艦尾付近の至近弾は危ない。
至近弾が侮れないことは、過去スレでも確認しましたけれども、
スレリンク(army板:109番)
空母としての機能を奪うだけでなく、推進・操舵系統に影響を及ぼし、致命傷にも
つながりかねない。

ミッドウェーで飛龍が被弾した時、護衛の榛名にもSBDは投弾している。叢書によれば
「二弾灯火したが命中せず」となっているが、実はこれだけでは済まなかった。

「榛名はミッドウェー海戦で敵の爆撃至近弾により推進器軸(シャフト)に損傷を受け、
その一本を折断し、幾分速力が落ちていた」              (『栗田艦隊』)


78:GF長官
10/06/28 21:44:11
>>77の続き

建艦工事において推進軸の設置は、難度の高い作業のようで、

「瑞鶴の推進軸は四本あるが、これが非常に長い。このシャフトのラインを
いかに真っ直ぐ通すかが最大のポイントであり、一つのノウハウであった。

シャフトラインの決定は昼間は出来ない。夜、太陽熱が冷えて船の動きが少なく
なった時に決めるのである。
すなわち機械室の前端に灯火をつけ、中間に何箇所かスリットを設けて、この
スリットの小さな孔に光を通しながら位置を決めていく。

今ならレーザーで簡単に出来るが、当時は一番苦心したのではなかろうか」
                                (『歴史群像 翔鶴型空母』)

いったん折れてしまったシャフトを再び通すのは、無理だったのかもしれませんね。


79:GF長官
10/06/28 21:45:22
>>78の続き

とはいえ、推進軸が一本折れたくらいなら航行に支障はない。

問題は舵の方です。
至近弾により操舵系統に故障が生じると、艦の運命を左右しかねない。
軍艦にとって、戦闘海域での「操舵不能」は死刑宣告に等しい。

そして、これまた戦史の中で現実化している。
それは「日本海軍初の戦艦喪失」の汚名を着せられた”彼女”の事です。


80:名無し三等兵
10/06/30 00:21:09
>それは「日本海軍初の戦艦喪失」の汚名を着せられた”彼女”の事です。
初瀬さんの事ですね。わかります。
ただ、二度目の触雷沈没が無ければもって帰れたと思うけどなあ。

81:名無し三等兵
10/06/30 00:47:00
軍艦の代名詞が彼女か…
英語はアホとしかいいようがない言語だな

82:名無し三等兵
10/06/30 13:31:28
愛しのサラ金

83:GF長官
10/06/30 21:10:09
>>80 ひえー (≧▲≦;)

>>81 そりゃあ、昔から男が乗るものは女と決ま(ry
ハットン「てめぇら、女房(かみさん)に乗るように優しく着艦するんだぞ!」

>>82 降参です・・・


84:GF長官
10/06/30 21:57:13
>>79の続き

彼女の名は「比叡」。
比叡の由来はもちろん比叡山。戦艦なのに山岳名なのは巡洋戦艦の名残りです。

以前、日本海軍艦艇の命名基準について触れたことがありましたが、
スレリンク(army板:424番)

「少年の日、わたしが軍艦にあこがれを抱いたきっかけは、我が国の艨艟たちの
名前の美しさであった。
そこに見出される国土の山河、古い歴史を物語る国名、ゆかしい大自然の姿、
日本の艦名には詩があった。夢があった。

戦艦の国名は海を圧して進む威風堂々の主力艦にふさわしく、重巡の山岳名は
あの浮城とも言いたい構造美の艦橋司令塔に似つかわしく、軽巡の河川名また、
流麗軽快の艦容をしのばせた。

さらに駆逐艦の天象地象名は優美な中に激しい動きを思わせ、水雷艇の鳥の名、
航空母艦の龍・鶴・鳳・鷹、潜水母艦の鯨、砲艦の名勝旧跡名ーどれもが、それ
ぞれの艦種にふさわしい名であった」 (『聨合艦隊軍艦銘銘伝』片桐大自/著)

美しい文章ですねぇ・・・全く同意であります。
ちなみに、高校時代の英文法の授業で、
最上級→もがみクラス
比較級→比叡級
に脳内変換されていたのはここだけの話。


85:GF長官
10/06/30 21:59:23
>>84の続き

比叡が死闘を演じた舞台は、船の墓場として名高い「鉄底海峡」。

昭和17年11月12日第三次ソロモン海戦(第一夜戦)
第十一戦隊司令官・阿部弘毅中将(比叡坐乗)率いる挺身攻撃隊は、ヘンダーソン
飛行場砲撃のためサボ島沖に進入。
迎え撃つ米艦隊はダニエル・キャラガン少将(重巡サンフランシスコ坐乗)麾下の
重巡二隻を基幹とする部隊。

種々の錯誤から不意の遭遇戦となり、双方の距離は3千メートルまで接近したとか。
日清戦争かよと驚きですが、こうなると測距不要、目視照準の水平撃ち!
さすがに水上砲戦ともなれば戦艦は海の王者、巡洋艦など鎧袖一触。
36センチ砲弾命中により、キャラガン・スコット両司令官は戦死(>>55

ところが比叡は探照灯照射のため敵の集中砲火を浴び、不幸にもその中の一弾が
致命傷となった。重巡の20センチ砲弾(盲弾)が艦尾を貫通し、舵機室上方(右舷
喫水線付近)に直径2.5メートルの破孔を生じさせた。

浸水により舵機室・舵柄室上方区画が満水となり、直接操舵・人力操舵とも不能。
サボ島東方4キロ沖の海面にて、面舵一杯に舵が固定されてしまった比叡は、
ぐるぐると回頭を続けていた。


86:GF長官
10/06/30 22:02:19
>>85の続き

十一戦隊司令部では、このまま夜が明ければ米軍機の攻撃により艦の喪失は
避けられない。いっそガ島に乗り上げて”浮き砲台”にしようとの意見も出たが、
比叡艦長・西田正雄大佐は拒否。

当時の心境について、公刊戦史にはこう回想しています。
「比叡は我が海軍に四隻しかない高速戦艦の一隻であり、開戦後はこの四隻しか
役に立たないと言われる貴重な艦であったため、軽々しく棄てるべきではないと思い
直し、手段を尽くして避退することとした。
当時主機は健全で、問題は舵機室の排水のみにあると判断していた」
                       (『戦史叢書(83)南東方面海軍作戦(2)』)

西田艦長の証言にある通り、上部構造物にはかなりの被害を生じていたが、
主砲や機関室など艦の主要部は健在であり、航行にも支障はなかった。
問題は舵だけです。応急操舵さえ完成すればなんとか攻撃圏外に脱することは
可能だと思われていた。

更には駆逐艦による曳航も検討されています。
通常、駆逐艦で戦艦を曳航することは不可能ですが、今回の場合機関は無傷
なので、駆逐艦を比叡の前後に配置し、曳航索を引っ張ることにより舵の役目を
果たさせようと試みたが、うまくいかなかったようです。

やがてソロモン海は夜明けを迎える・・・


87:GF長官
10/07/01 21:48:51
>>86の続き

これより先、阿部中将は将旗を駆逐艦雪風に移した。
円滑な指揮を継続するための対処だと思われます。
それにしても雪風か・・・
護衛に雪風が付くというのは、軍艦にとってある意味”死刑宣告”かもしれんな。

黎明と共に、目と鼻の先にあるヘンダーソン飛行場から飛び立ったカクタス空軍が、
比叡上空を乱舞する。

舵機室浸水以来、比叡艦内では防水マットで破孔を塞ぎ、ポンプによる排水に努めて
いたが、空襲下で高速で運動するとマットが外れてしまい、再び浸水するを繰り返した。

雪風坐乗の阿部中将は「舵故障復旧の見込み無し」と判断し、0820時にガ島座礁を
命じたが、もとより舵が利かないので実行不可能。
続いて1035時には「空襲ノ合間ヲ見テ停止セヨ、人員ヲ収容シ処分ス」と命令。
しかし、西田艦長が「まだ舵復旧の見込みはある」と報告したので、これを取りやめた。


88:GF長官
10/07/01 21:50:54
>>87の続き

西田艦長は1105時、前進部隊指揮官(近藤信竹中将)宛に打電。
「本艦舵故障、機関全力発揮可能ナルモ、只今速力16節、中央航路ヲ取リショートランドニ向フ」
ところが、1225時の空襲で右舷一番砲塔下付近に魚雷一本命中、艦は右に傾斜。

これを見て、阿部中将は比叡沈没は目前と判断し、1330時再び下令。
「総短艇ヲ卸シ、比叡乗員ヲ収容セヨ」
「比叡ヲ処分シ、総員退去セヨ」
「比叡処分ノ為、各艦魚雷二本ヲ準備シオケ」

実際のところ比叡の状況はそれほど悪いものではなく、士気も依然高かった。
その後も阿部中将から再三の督促があるも、比叡は行動を起こさず。

その時、偶然にもある報告が艦橋に届いたー「主機械使用不能」
それまで「舵さえ復旧できれば・・・」と力を尽くしていた西田艦長も機関が動かないと
なれば、もはや手の施しようがない。ついに「総員退去準備」を下令した。


89:GF長官
10/07/01 21:52:53
>>88の続き

乗員たちは「まだまだ比叡は助かる見込みがある」と信じていただけに、司令部の
処置に不満を唱えながらも準備を進め、キングストン弁開放、万歳三唱、御真影を
先頭に退艦を始めた。

この段階になって、先程の「「主機械使用不能」は誤報であったと判明するも、
時すでに遅し・・・
1600時に至って、比叡乗員収容を完了した。
当時比叡は右舷に15度傾斜し、艦尾が沈下していたと言う。

山本長官は比叡は雷撃処分せずに、そのままにして避退するよう命令。
これは敵機の空襲を吸収し、撤退を容易にするためと言われています。
同日2300頃、再度現場に向ったところ、比叡の姿はなく沈没と断定された。


90:GF長官
10/07/01 21:54:39
>>89の続き

この経過を見ると、飛龍の喪失の驚くほど似通っていますね。
誤報により過早に艦の放棄を決断してしまったー
「意思疎通の欠如」がここでも見られます。

比叡の沈没は、開戦後の戦艦喪失第一号であり、日露戦争で触雷沈没した
初瀬・八島以来じつに38年ぶりの戦艦喪失であった(>>80

西田艦長は内地に帰還した後、予備役編入、即日召集、閑職を転々とする。
ミッドウェーで生還した赤城艦長・青木泰二郎大佐と同じく「同期の面汚し」と
陰口を叩かれたと聞きますから、何ともやりきれない思いです。


91:名無し三等兵
10/07/02 01:46:41
雪風に翻る阿部司令座乗の印である少将の将旗。
米パイロット達は駆逐艦にしてはデカい旗を翻す、この雪風に攻撃をやるようになった。

雪風艦長「司令官、将旗を一時下ろさせて頂きます」

信号旗はともかく、少将旗を格納していたわけではないので
恐らく比叡から退艦時に下ろして持ってきたと思われるが、
やはり、大きかったのかな。

92:GF長官
10/07/03 19:35:50
>>91 将旗はやはり狙われるのか・・・
>米パイロット達は駆逐艦にしてはデカい旗を翻す、この雪風に攻撃をやるようになった。
参考になるか分かりませんが、デアゴの250分の1大和模型では、
伊藤長官坐乗を示す中将旗は戦闘旗の4分の1くらいです。


93:GF長官
10/07/03 19:53:01
今週の立ち読み情報
『近代未満の軍人たち』(兵頭二十八/著)

南雲長官登場であります。どこが”近代未満”なのか、読んでもよく分かりませんでしたが、
真珠湾攻撃の指揮官に選ばれた理由について。

(1)南雲は寄せ集めの高速艦隊の夜間運用に関しては現役提督随一の熟達者で、
  往路でつまらぬしくじり等をやらかさないと信じられていた。
(2)もし途中で対米避戦の方針が決定した場合、小澤では参謀達の攻撃熱意に
  引きずられる恐れがある。南雲は枯れているのでそのような危惧はない。
(3)艦隊派の南雲を指揮官において、成功すれば山本の下に全海軍を結束出来る。
  失敗すれば彼らを抑え付けることが可能になる。

誰が「枯れている」じゃー!!  南雲提督は生涯現役だぞ。

それはさておき、(1)は納得ですね。
実際のところ南雲長官自身も、冬の北太平洋を艦隊航行させた経験はないから、
やってみないと分からない。
しかし指揮官の人選に当たって、「誰々が司令長官なら大丈夫だろう」と一兵卒に
至るまで思わせる説得力があったのは、南雲提督をおいて他にはない。

それを8ヶ月前の一航艦編制時に予期して南雲を選んだとするならば、山本長官の
先見性は卓越したものだと思いますね。
20隻の艦隊を率いてハワイまで往復するのは、誰でも出来ることじゃないですから。


94:GF長官
10/07/03 20:13:16
>>90の続き

比叡の場合、至近弾ではなく命中弾です。
しかし「喫水線付近の盲弾」というのは、至近弾と性質が似ている。
命中弾では船腹に穴が開くことはないですしね。

通常は小破孔からの浸水が、艦にとって致命傷になるとは考えられない。
そういう場合に備えて艦内は細かい防水区画に区切られており、浸水を最小限に
とどめるよう設計されているのだから。

比叡にとって不運だったのは、その破孔が舵機室と直結していたこと。

「船体の一部に海水が浸入してきて、それが直接の致命傷になるなど、むしろ
稀な例であった。浸水した箇所を覆い、まるごと持ち帰れば良い。
損傷箇所が艦内で機関と共に最も重要な、舵を操作する空間であったところに
比叡の不幸があった」           (『歴史群像(6)死闘ガダルカナル』)


95:GF長官
10/07/03 20:14:53
>>94の続き

今回は舵機室の浸水が原因となりましたが、もともと舵は船体外にむき出し
状態で設置され、防禦を施すことが出来ない。
至近弾の弾片程度でも十分に損傷を受ける危険性を秘めている。

ミッドウェーで赤城が受けた命中弾(左舷艦尾)も至近弾だったとの説もあり、
スレリンク(army板:597番)

「赤城は左舷後部の至近弾による浸水で左舷の舵機が異常を来たして
艦の自由が利かなくなったため、0742時に青木艦長は機関停止を命じた」
                 (『歴史群像(55)日米空母決戦ミッドウェー』)


96:GF長官
10/07/03 20:16:20
>>95の続き

模型等で確認するとよく分かるのですが、大抵の空母は短艇格納庫のちょうど
真下に舵があります。
塚本航海長がわざと外さずに命中させた?のには、拍手を送らねばなりません。
ま、命中弾の衝撃で操舵系統が故障することも考えられますがね。

ここでも冒頭に戻って、
「どこに命中したかによって艦の運命が左右 される」と言えるでしょう。


97:名無し三等兵
10/07/03 21:09:46
>>93
南雲中将の1AF長官就任に山本長官は影響力を行使した、もしくは行使できたんですかねえ?
一応、艦隊司令長官は新補職ですし、人事は海軍省のお仕事ですし。

98:名無し三等兵
10/07/03 23:41:34
>どこが”近代未満”なのか、読んでもよく分かりませんでしたが、
というか”近代未満””近代の軍人”とやらはどういうものなのだろうか。
浅学なものでどうもこういう用語の意味がわかりかねない、きっとその本の中で説明されているのだろう。

ぶっちゃけ、題名と著者からして「いい加減な事書いてある臭」がプンプン臭ってくるけど、とりあえず今から本屋言ってくる。

99:GF長官
10/07/05 21:35:53
>>98 まぁ、先の大戦を客観的に振り返るには、まだ時間が必要なのかも。

「第二次世界大戦から早くも半世紀を越えた。この間に大戦についての資料は、
世界各国から厖大な量にのぼり、もはや出尽くした観がある。

従って、その中から自己の基準で選んだものを配列し、評論する安易な書物が
氾濫しているが、私は、少なくともこの年表では紙面の許す限り、あらゆる国々の
あらゆる航空に関する資料を”公平に”収録したつもりである。
(ある項目での、いささかの意見開陳は赦して頂きたい。筆者も一日本人なのだから)

まだまだ我々は、第二次世界大戦を『歴史』として論評する状態には達していないのだ」
                               (『年表世界航空史』横森周信/著)

全く同意であります。というか当スレの方針そのものですね。
とはいえ「公平」というのは難しいんですよねぇ、ほんとに。
本職もまた、南雲びいきの一日本人ですから。


100:GF長官
10/07/05 21:38:38
>>97 そうですね。もちろん海軍省人事局の管轄ですが、人事局長も山本長官の
意見を参考にするでしょうし。強硬に反対してまで別の提督を据えるなんてことには
ならないんじゃないかな。


101:GF長官
10/07/05 21:58:56
>>96の続き

最後は、一発目の「飛行甲板左舷前方」
スレリンク(army板:463番)の①
ガソリン(軽質油)庫の炎上です。

三発の被弾の中で最も深刻だったのは、間違いなくこれでしょう。
言うまでもなく、ミッドウェーで空母全滅したのは火災によるものであり、その原因は
格納庫内の弾頭及び搭載燃料の誘爆に求められるからです。

陸海空あらゆる兵器において、内燃機関・外燃機関の差はあっても、燃料を燃焼させて
動力を得ることにかわりはない。”オール電化”でも実現すれば話は別ですが、兵器に
とって被弾による火災とは密接不離の関係にある。


102:GF長官
10/07/05 21:59:59
>>101の続き

当時、軍艦の機関は蒸気タービンが主流で、燃料は重油。
重油に比べてガソリンの取扱いに慎重さを求められるのは、同じ石油でも
両者の性質の違いに起因することを知らねばなりません。

      沸点  比重  引火点 着火温度  蒸気比重  燃焼範囲
ガソリン 40℃  0.7 -40℃  300℃    3     1,4~7.6%
C重油 300℃  0.9  70℃  380℃    -        -


103:GF長官
10/07/05 22:02:10
>>102の続き

[ガソリンの性質]
(1)原油により分留された石油製品の中で沸点が最も低い
(2)比重は約0.7で水に浮き、水に溶けない
(3)引火点はー40℃で、常温ではもちろん、液温が0℃以下でも引火する
(4)燃焼範囲の下限値が低い
(5)揮発油と呼ばれ、揮発性が大きく、引火しやすい
(6)蒸気比重は約3のため、地面に沿って低所に滞留したり、低く遠くへ流れやすい
  無風状態のときは特に危険である
(7)パイプ内の流れ・移送中・攪拌などによる流体摩擦で静電気を発生し、引火することがある

[重油の性質]
(1)比重は約0.9で、水に浮き、水に溶けない
(2)引火点が高く、常温では引火しない。
  加熱により液温が高温になっていなければ、引火する危険性は少ない
(3)引火する時は、液中の水分が蒸発、沸騰して噴きこぼれる恐れがある
(4)大量の重油が燃焼した場合、冷却が困難であり、ガソリン火災よりも消火が難しい
                         (『乙種第四類危険物取扱者テキスト』)

ガソリンの取扱いには特に注意を要することが分かります。


104:GF長官
10/07/06 21:16:36
今日は南雲長官の命日。

現在NHKの朝ドラで『ゲゲゲの女房』が放映中ですが、水木しげる氏の作品の中に
『コミック昭和史』があり、サイパンでの南雲中将が描かれています。

コミック昭和史(南雲忠一編)
URLリンク(www.nicovideo.jp)

[7:15]~南雲提督自ら担架を提げて傷病兵を移送する場面が出て来る。
「老提督は、一人でも多くの重傷者を安全な所に運ぼうと副官以下に担送を命じ、
自らもスコールの中を力無い足を踏みしめるのだった」

これ以外にも、
「ミッドウェーの敗戦さえなかったら、君達にこんな苦労を掛けずにすんだのです」
似たような台詞が繰り返される。

南太平洋海戦でホーネットを沈め、仇討ちを果たしたといっても、最期まで心の傷が
癒されることはなかったのでしょう。
スレリンク(army板:251番)

謹んで哀悼の意を表します。


105:GF長官
10/07/06 21:35:24
>>103の続き

重油とガソリンの違いを最もよく表すのは、そのタンクの設置位置です。
戦艦や空母などの大型艦には、魚雷防禦用にバルジが設けられている。

「大型艦の水線下防禦は、直撃または至近弾の水中爆発に対し、艦の致命部となる区画
(機関関係・弾薬庫)を出来るだけ爆発の中心から離すため、艦の長さの約3分の2に及ぶ
水中舷側外部にバルジまたはブリスターと名付ける膨れた区画を取り付け、舷側外板の
内側には数列の水密縦通隔壁を配置し、これを適宜な水密横隔壁で仕切り、多数の区画を
設ける」                                     (『艦艇工学入門』)

そのバルジの中には何が入っているのか。
「これらの区画は、電線または諸管通路、燃料タンク、注排水区画、水防区画に配分される」

”燃料タンク”に注目して下さい。
『歴史群像』他の資料頁で「艦内断面図」を御覧になったことがあると思います。

戦艦の話
URLリンク(www2.ttcn.ne.jp)
上から二番目の画像です。


106:GF長官
10/07/06 21:51:29
>>105の続き

前掲書には長門の図が掲載されている。

[戦艦長門中央構造切断図]

       上甲板
━━━━━━━━┫
                       ┃
       中甲板           ┣━┓
━━━━━━━━┫   ┃      吃水線
                      ┣━┫──────
                      ┃WTC┃
       缶室            ┣━┫
                      ┃FOT┃
                      ┣━┫
                      ┃FOT┃
━┳━━━┳━━━╋━┫
WTC┃  FOT    ┃  FOT   ┃FOT┃
━┻━━━┻━━━┻━┛

(註)
WTC(Watertight Transverse Compartment)水防区画(注排水区画)
FOT(Fuel Oil Tank)燃料タンク
Fuel Oil=重油


107:GF長官
10/07/06 22:02:38
>>106の続き

これで明らかなように、魚雷が命中しても重油タンクが炎上することはない。
逆にその爆発力を吸収する役割を果たすくらい”燃えにくい”ものなのです。

米海軍でも全く同様で、レキシントンのアクションレポートによると、

PORT SIDE
Outboard layer of F.O. tanks (emergency tanks) filled with oil.
「左舷外側の重油タンク(非常用)は満載状態だった」

米戦艦も多層式液層防禦が採用されている。

ここまで重油が燃えにくいものだとすると、ボイラーを焚く時にどうやってるんだ
と疑問に思われる方があるかもしれませんが、缶室ではバーナーにより霧状に
して燃焼させています。

「重油などの液体燃料はそのままの状態で完全燃焼させることは不可能である。
少ない過剰空気量で燃料を完全燃焼させるためには、バーナーで微細な噴霧と
して供給する必要がある」            (『ターボ動力工学』刑部真弘/著)

さて問題はガソリンタンクの方です。
空母を設計する際、軽質油庫はどこに設置すれば良いのでしょうか。


108:GF長官
10/07/11 20:19:43
遅ればせながら出典を確認しましたので報告を。
スレリンク(army板:430番)

「レジスター少尉は重力のため血が頭から下へ引くような急上昇反転の方向転換を
二度行って、ゼロ戦とメッサーシュミット109(訳注:これは何かの間違いであろう)を
撃ち落とした。このドイツ製の戦闘機はきりもみして落ちていくゼロ戦の後から、炎を
上げながら落ちて行った」
      (『空母エンタープライズ』エドワード・P・スタッフォード/著、井原裕司/訳)

だから太平洋戦線では航続距離が1000km以上はないと役に立たんと何度言え(ry
一応エンタープライズのアクションレポートをざっと見てみましたが、ありませんでしたね。

まだ上巻を読み終わったばかりですが、第二次ソロモン海戦や南太平洋海戦の戦闘が
詳細に描かれていて、とても楽しめました。


109:GF長官
10/07/11 20:23:39
>>108の続き

米側視点は英文の資料を引用していますが、軍事用語は難しいんですよ。例えば、
general quarters=戦闘配置
flank speed=最大戦速
こんなのは辞書には載ってませんから。

ちなみに「general quarters」は洋画の戦争映画にはよく出て来ます。
『ミッドウェイ』や『東京上空30秒』など字幕に気を付けて鑑賞すると楽しめると思います。

そんな時に利用するのが『暁の珊瑚海』。
本文を読んでると、「この箇所はアクションレポートのあの部分を訳したものだな」
となんとなく分かります。それで少しずつ照合していくわけです。
ソロモン編では、この『THE BIG E』を基本資料にしようかな。


110:GF長官
10/07/11 20:28:10
>>109の続き

これは戦史叢書にも記述されていませんが、

第二次ソロモン海戦において、日本軍第一次攻撃隊の至近弾(艦尾)により、
エンタープライズは舵機室浸水、約40分ほど面舵固定で操舵不能になったとか。
ちょうど比叡(>>85)と全く同じ状況です。

もし第二次攻撃隊が会敵に成功していれば、今度こそあの忌々しいビッグEを
沈めることが出来たのに・・・!
かえすがえすも残念ですなぁ。


111:名無しさん@そうだ選挙に行こう
10/07/11 21:14:15
>だから太平洋戦線では航続距離が1000km以上はないと役に立たんと何度言え(ry
緒戦において爆撃や哨戒任務で活躍した九六水偵は1000kmないし、二式水戦以上の高い評価を受けたとされる零観は正規状態では1000km無いけど。
これらは役立たないとな。

112:名無しさん@そうだ選挙に行こう
10/07/11 21:17:28
× 九六水偵
○ 九五水偵
どうみても九五水偵です。本当に(ry

113:名無し三等兵
10/07/13 06:25:50
MI作戦で、利根・筑摩、霧島・榛名に搭載された水偵を、もっと有効活用できなかったかな?
仮に、九五水偵を各艦1機/零式水偵を戦艦各1+重巡各3/零観を戦艦各1+重巡各2、計18機と仮定する。
対潜哨戒は、九五水偵に全部任せる。
零観の格闘能力なら、米雷撃機の妨害には役立つし、通信士が搭乗、つまり母艦や旗艦と交信可能だから
艦隊上空警戒任務には最適な機体かも。
(SBD隊の接近を交信できれば、急降下爆撃を交せるよう見張りが真剣になったかも???)

零式水偵は25番の水平爆撃も可能、九七艦攻-20節の巡航速度だから、友永隊九七艦攻の補助として使用可能。
となると、友永隊から九七艦攻2コ小隊6機を引っこ抜き、九七艦攻7機による索敵が可能。
(=零式水偵に25番積んで友永隊に参加させる)
第2射法(速度100ノット、高度10m で飛行しての雷撃)を、鹿児島湾で1941年8月の終わりまで
猛訓練していた九七艦攻のパイロットだったら、脚を出し、フラップを下ろしての飛行らしいけど、
雲が低いからといって、安易に雲上飛行に逃げずに、雲の下をキチンと飛べる力量がありそうなもの。
索敵のときには重い800kgの魚雷は搭載していないし、第2射法雷撃よりはラクなハズ。

こんな運用でも、触敵用には二式艦偵が1機、友永隊から引っこ抜いた九七艦攻2コ小隊から1機、
仮定した零式水偵の数は8機だから友永隊に6機参加したとしても2機、合計4機が残ってる。


114:名無し三等兵
10/07/13 11:59:59
>>113
>仮に、九五水偵を各艦1機/零式水偵を戦艦各1+重巡各3/零観を戦艦各1+重巡各2、計18機と仮定する。
まあ仮定の数字を元にしてるということなんで、ツッコミをいれるのは野暮な気もしますが、
MI作戦時の機動部隊に零観はございやせん。

【母艦以外の搭載機数】
第三戦隊:九五式水偵3機×2
第八戦隊:九五式水偵2機×2 零式水偵3機×2
第十戦隊:九四式水偵1機
・計17機

>対潜哨戒は、九五水偵に全部任せる。
元々の作戦計画からして九五式の任務ですんで。

>零式水偵は25番の水平爆撃も可能、九七艦攻-20節の巡航速度だから、友永隊九七艦攻の補助として使用可能。
ただでさえ、一撃で撃破が難しいと考えられていたミ島攻撃隊の戦力をさらに減らすと?

>猛訓練していた九七艦攻のパイロットだったら、脚を出し、フラップを下ろしての飛行らしいけど、
>雲が低いからといって、安易に雲上飛行に逃げずに、雲の下をキチンと飛べる力量がありそうなもの。
散々既出な話ですが、搭乗員入れ替えと訓練時間の少なさのせいで、艦攻隊にも真珠湾時の錬度はありませんぜ。
いや、もちろん腕のいいベテランも残ってますが、それを索敵に割くってことは、
水偵参加の攻撃隊の戦果がさらに怪しいことになりそうなんですが…。

そして水偵と艦攻のどちらにも当てはまる話ですが、餅は餅屋といいますか、
索敵になれた水偵の搭乗員に索敵を行わせ、水平爆撃になれた艦攻に水平爆撃をやらせたほうが、
下手になれない任務に投入するよりも、よほど有効活用になると思いますがね。

115:名無し三等兵
10/07/13 14:46:40
第16任務部隊の水偵をもっと有効に活用できなかったのd(ry
OS2Uによる迎撃を行えば日本艦爆攻の妨害には役だt(ry

なんていう人は誰もいないだろうな。
俺も言わないし。

116:名無し三等兵
10/07/13 15:02:50
>>114
艦攻が三座なのは長距離策敵を期待されてのことだし、艦攻による策敵・哨戒はMI作戦以前にも普通に実施している。
MI作戦は水偵で爆撃して艦攻で偵察やるべきと言う気はないが、艦攻による偵察がなれない任務とかはありえない。

117:名無しさん
10/07/13 15:24:53
って書いたはいいけど、艦攻による偵察は慣れてないとは一言も書いてないことに今気が付いたことはきっと俺のきのせいでありたい。

118:GF長官
10/07/13 21:30:26
>>111 これは失礼。
空母戦のつもりだったのですが・・・>太平洋戦線
言葉足らずでしたね。

>>112 九五水偵もいいですねぇ。
「本来の偵察はもとより、小型爆弾による艦爆まがいの正確無比な降下爆撃、
戦闘機顔負けの空中戦など、その八面六臂ぶりは枚挙にいとまがない。
のちに世界に例のない実用水上戦闘機を擁することになった日本海軍の構想は、
まさにこの時の九五水偵の活躍がヒントになった」
                     (『世界の傑作機(47)日本海軍水上偵察機』)

珊瑚海海戦でも妙高・羽黒に2機ずつ搭載されています。
スレリンク(army板:270番)


119:GF長官
10/07/13 21:31:10
>>113 おもしろいかも。
>MI作戦で、利根・筑摩、霧島・榛名に搭載された水偵を、もっと有効活用できなかったかな?
米空母もSBDを雷撃機阻止用に配置していますしね。
ただ水上機は収容に手間がかかりますからなぁ・・・

>>114 有難うございます。
こちらが優勢なんだから、奇策に頼らなくても正攻法でいいじゃないか!ですね。

>>115 ミッドウェーの話は、どうも「帽子に合わせて頭を削る」になるような。

>>116-117 気のせいでしょう。


120:GF長官
10/07/13 21:53:57
>>110の続き

珊瑚海海戦関連では、祥鳳撃沈について。

「これ以上素晴らしいニュースはなかったであろう。何ヶ月もの間、日本の機動部隊は
太平洋と南方の海を暴れ周り、出会ったものは全て撃破していた。この日まで失った
軍艦のうち、一番大きいの駆逐艦だった。
それがとうとう”ビッグE”の姉妹艦の飛行隊の爆弾と魚雷により、日本の空母が沈んだ
のである。敵が宣伝している無敵神話は祥鳳と共に死んだのである」

少し自画自賛の風も感じますが、モリソン戦史を始めとしてアメリカの戦記を読んでると、
祥鳳撃沈の場面は気合が入ってるんですよね。よほど嬉しかったのか。

日本人の場合、まず「祥鳳」の名前を知らないだろうし、軍板の住人でも特別な思い入れが
ある方は稀でしょう。
アメリカ人にとっての”SHYOHO”は、日本人にとっての”大和”くらい親しまれているのかも。


121:GF長官
10/07/13 21:55:36
>>120の続き

もう一つは、レキシントン沈没。

「この日(5月8日)の夜、ワシントン、パールハーバー、南太平洋の洋上では
たくさんの頭脳が簡単な算数の問題を考えていた。

5隻の空母からレキシントンを引けば4隻になる。
そこからサラトガ(修理中)を引けば3隻になる。
すなわちエンタープライズ、ホーネット、ヨークタウンである。

誰もその次の問題の答えを出したくなかった。
3隻マイナス1隻はどうなる?
ヨークタウンの被害はどれくらいで、修理にどれだけ掛かるのか。
果たして2隻の空母だけで日本軍から太平洋を守れるのだろうか」

日本側と考えていることは一緒ですねぇ。
スレリンク(army板:192番)

”誰もその次の問題の答えを出したくなかった”
当時の米軍将兵の気持ちがよく表れていると思います。
南太平洋海戦まで、着実に一隻ずつ減って行っていますから。


122:GF長官
10/07/13 21:56:32
>>121の続き

おまけ

本文には明記されていませんが、マクラスキー隊長は、ミッドウェーまでは
戦闘機隊の隊長だったようです。SBDに機種変更しての初陣であの大戦果とは。

日本海軍には小野了少尉のように、艦爆から月光に乗り換えて撃墜王になった
搭乗員も居ますが、逆の例はあまり聞きませんね。
満足な訓練の余裕もないのに、急降下爆撃なんて出来るんだろうか。


123:GF長官
10/07/13 22:26:25
ずいぶんとご無沙汰であります。
仕事の方もようやく落ち着いてきたので、そろそろ定時哨戒に戻れると思います。
これからも何卒よしなに。

>>107の続き

設計上、空母とそれ以外の艦艇で大きく異なるのは、ガソリンタンクでしょう。
戦艦や巡洋艦にも水偵を搭載しているので不要なわけではないが、空母とは
その容量は比較にならない。

ちなみに、翔鶴型の航空機燃料搭載量は496トン。
ヨークタウン級は540トン、エセックス級は610トン。
『歴史群像 アメリカの空母』によると、エセックス級はF6F満載110機分だとか。
定数が36機だから3回は出撃できるということかな。

ちょっと少ないような気もしますが・・・
何しろ、ガソリンの無くなった空母なんて、ただの箱ですからねぇ。
出来るだけたくさん積んでおきたいもの。


124:GF長官
10/07/13 22:28:20
>>123の続き

では、そのガソリンタンクをどこに設置すれば良いのか。

そりゃあ、やっぱり重油タンクと一緒にバルジの中へ・・・ちょっと待てい!
インテグラルタンクを採用した一式陸攻が何と皮肉られたかをよく思い出して
みるべきでしょう。

上下方向で考えれば、艦底近くであることは間違いない。
急降下爆撃による被弾の影響が及ばないように、出来るだけ飛行甲板から遠くに
設置する。まさか飛行甲板のすぐ下に設けるようなことはしないですよね。


125:GF長官
10/07/13 22:29:35
>>124の続き

次に前後(首尾線)方向ではどうか。
日本海軍の場合、明確な方針が定まっていました。

「一番問題になったのは、大鳳の爆沈原因になったガソリンタンクであった。
米国でもレキシントン・ワスプなど、ガソリン庫の大爆発が命取りになっている。
飛行機を搭載している以上、その燃料のガソリンを大量に積むのは空母の
特徴だが、これが最も危険な存在であることは充分に承知していた。

日本海軍では、赤城を空母に改造するとき、この問題について様々に実験
した結果、ガソリン庫は弾火薬庫から出来るだけ遠くに置くことが採用されて
おり、独立して防禦する方針が採られていた。従って、艦の前部および後部の
水線下最下位をガソリン庫にしていた」            (『空母入門』)

理に適っていますね。
弾薬庫から極力遠ざけて設置し、万一引火した場合でも火が回らないようにする。
翔鶴の被弾位置(>>101)からも、軽質油庫が艦首付近にあったことが分かります。


126:名無し三等兵
10/07/14 01:05:46
>>123
よくよく原文を読むとF6F満載110機分の意味がわかりますよ。
あれは、45年時点でのエセックス級の航空燃料搭載量610トン=F6F満載110機分ではなく、
ヨークタウン級からの増加分70トンでF6F満載110機分ということです。

まず航空ガソリンの比重は0.70~0.72らしいので、0.71と仮定しておきましょう。
F6Fの燃料搭載量は増槽なしで889リットル、増槽混みで1457リットルということは、
重量換算で増槽なしで631キロと増槽混みで1034キロってところですね。

ということは、110機のF6Fに必要な燃料はそれぞれ69.41トンと113トンとなりますから、
ヨークタウン級から増載した70トン分は、増槽なしのF6Fを110機を動かす燃料とほぼ一致します。

面倒くさいので、F6Fの数値で計算しますが、610トンの航空燃料があれば、
エセックスの航空機搭載数を『歴史群像 アメリカの空母』に記載の90機で計算すると、
全力出撃でも増槽なしで約9.7回分、増槽ありで約6.0回分にはなりますから、搭載量としては充分じゃないですかね?

やはり『歴史群像 アメリカの空母』に航空部隊が10日間連続して作戦行動を実施できる量が要求されたと書かれており、
戦訓による改設計で燃料搭載量が結構削られたようですが、それでもほぼ要求通りの燃料搭載量は確保できたようで。


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