10/10/31 23:17:37
夫「自分のだらしなさ、至らなさは人に言われなくても良く自覚してるつもりです。
何を言われても仕方が無いし、一生自分を責め続けると思います。
でも、今更僕が何を言っても弁解になる。僕は態度で示していくしかないんです」
態度で示す?その言葉を聞いて、私はつい熱くなってしまった。あなたが示すというその態度を
もっと具体的に教えてほしい。事件後は知子さんに対してどんな謝罪の言葉を口にしたのか。
これから示すその態度とは、どういう内容なのか。
しかし、その日、裕さんが私に話したのは先のコメントだけだった。
奥「主人を全て許したわけじゃありません、でもあの人は変わりました。強くなりました。
自分の事を話そうとすると言葉に詰まってしまう。基本的には優しくて、真面目な人なんです」
(略)
ーあなたを責めるつもりはない。だが、どうしてそこまでしてあの人を庇いだてしようとするのか。
成長した子供たちが本当にそれで納得すると思うのか。
「子供を殺された親の気持ちは、誰にも理解してもらえない。結局その痛みを共有できるのは
主人だけなんです。主人しかいなかったんです。もし主人と別れてしまったら、亡くなったあの子たち
になんと言えばいいんですか。アタマが変になったと思われるでしょうが、私は麻美と祐太朗にいつか
会えると信じています。別れたらあの子たちの戻る場所がなくなっちゃうじゃないですか」
ー(事件後に子供をもうけたことについて)
「........子供をいとおしおしめない生活なんて、私には想像できません。出産したとき、
亡くなったあの子達が戻ったんだ、そんな気がしました」
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「その時、殺しの手が動く」 中村うさぎの解説
悪いのは男だ、といいたい人の気持ちはわかる。妻がヒステリックに糾弾したからだ、
と考える人がいるのもわかる。が、殺されたのは「男」でも「妻」でもなく、
何の罪もない子どもたちだったのだ。それを忘れると、この事件の核心は曖昧になる。
そして、それを一番忘れているのは、この犯人である。
自分は犠牲者だ、と、犯人は言う。しかし、相手に妻も子もいることを承知で
恋愛を始めたのは、自分の責任でもあるではないか。恋愛にも殺人にも自己責任が
取れず、他者を責めるばかりの人間。それは同時に、自分の世界から徹底的に
他者を排除する、もっとも孤独な人間ではあると言えまいか。
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中村は北村含めて本書に掲載された他人のせいにしたがる犯罪者に対して
「自分に甘く他者に厳しい人間は、 独善という菜の闇に取り込まれて盲目となる。」と激しく糾弾。