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【ある教戒師の告白】
第一章「アンチは囚人である」
『ルパン三世』(1971)の第4話「脱獄のチャンスは一度」に変わったエピソードがある。
ルパンが冒頭で銭形にまんまとしてやられて、死刑囚の監房に囚われる。
いつもならさっさと抜け出すルパンであったが、今回はいっこうに脱走しようとはしない。
不二子が脱走を手伝おうと侵入を試みるが、次元がそれを邪魔する。
次元もルパンはいつか自分で抜け出すと思っていたのだ。
しかしルパンはいっこうに独房から出てこない。外の世界からルパンを尋ねる者は教戒師だけ。
一年が過ぎ、死刑執行の日が近づく。
その死刑執行ギリギリの瞬間、銭形の鼻をあかす形でルパンはついに脱走する。
あの日銭形に傷つけられたプライドの埋め合わせをするまでは、逃げるわけにいかなかったのだ。
一年かけた捨て身の復讐だった。
独房にあえてとどまろうとする者にはそれなりの理由があるのだろう。
傷つけられたものをお返しするまでは、出て行くわけに行かない。
だが、ルパンのようにプライドをかけて傷を清算できるものがどれだけいるだろうか。
もしも自意識だけ肥大した者が、傷つけられたプライドの処理の仕方を知らぬままに、
独房に居座り続けるだとしたら、それは見た目の勇ましさにふさわしくないただの悲劇だ。
傷つけられ鬱積した感情をお返しする場所が2ちゃんねるだとすればあまりに悲しくはないか。
さながら彼ら傷つけられた者たちにとって2ちゃんねるは独房のようだ。
ただ声を発することだけが許された空間。そこでは鉄格子の隙間から外に向かって叫び続けることが出来るのだ。
外でその声を聴くものは、季節を告げる鳥や草花たちだけであった。