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毎日新聞
2008年5月16日 0時09分
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立命館大転部問題、経営第一の姿勢
朝日弘行
(以下抜粋)
採り過ぎた新入生を、合格したのとは別の学部に移す。しかも無試験で--。希望者だけとはいえ、そんな驚くべき措置を立
命館大学(京都市中京区)が生命科学部で実施していた。少子化社会の中で肥大し続けてきた学校法人特有の「経営第一」
の姿勢が透けて見える。
生命科学部は今春開設され、定員280人の1.48倍にも上る415人が入学した。定員超過率が1.40倍以上になると、国の
私立大学等経常費補助金は交付されない。そこで、大学は超過率が1.39倍となるように定員25人の特別転籍(転部)を急
きょ実施した。
補助金が不交付となった場合、「不名誉な事態を招く」「来年度以降の志願者確保に少なからず影響がある」と、社会的評価
が下がることを懸念する記述ばかり。受け入れ先学部の教授会は開かず、了承は「追認」とすることまで経営陣が決めて明記
していた。生命科学部の人減らしの措置としか映らないのだが、これが学生たちの教育を第一に考えた措置なのか。
立命館大が07年度に受けた経常費補助金は、526大学中6番目に多い51億6236万円。多額の税金を使っているのに、転部
問題が大きく報じられても、文部科学省に呼び出されて「説明責任を果たすよう」促されるまで丸2日間、記者会見すら開かな
かった。ようやく開いた会見で川口学長は非を認めたが、責任問題には踏み込まず、外部の有識者2人を交えた7人の検証委
員会で検討するとした。大学の試算によると、影響は九千数百万円に上る。財政負担だけでなく、結局、最も恐れていた社会的
評価の失墜まで招いてしまった。
今回の取材で、組織の肥大化、経営第一の理念が強まりすぎて足元が見えなくなっていると強く感じた。
(京都支局)