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遺棄兵器処理水増し請求、PCI元社長ら詐欺容疑で立件へ
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特捜部は昨年10月に同社などを捜索した後、事業を発注した内閣府から段ボール箱
約100箱分の資料の任意提出を受けたほか、荒木元社長や先月退任した多賀正義
前社長(62)らから任意で聴取するなど捜査を進めてきた。
同事業は1999年度から始まり、2004年3月以降は、PCIの持ち株会社が設立した
「遺棄化学兵器処理機構」が随意契約で独占受注。受注額は06年度までの3年間で
計約230億円にのぼり、事業の一部をPCIなどの共同企業体に委託した。
関係者によると、機構設立にあたり、PCIは大手プラントメーカーと共同出資する予定
だったが、メーカー側が「中国での処理事業はリスクが大き過ぎる」と難色を示したため、
PCI側が全額出資することになった。ところが、機構が内閣府と結んだ基本契約は、
〈1〉経済上のリスクはすべて政府が負う
〈2〉処理事業は機構が独占受注する―などと機構側に極めて有利な内容となっていた。
この契約直後、PCIグループの実質的なトップで、関連会社「パシフィックプログラム
マネージメント」(PPM)の社長を務めていた荒木元社長は、PCI幹部に「有利な契約
で受注できたのは、自分が交渉したからだ」などと話し、PPMへの利益提供を求めた
という。
このため、PCIは、委託事業費を水増し請求して、不正利益を捻出(ねんしゅつ)する
ことを考案。PCIはPPMに架空の経費を支払い、その分を上乗せした事業費を機構
を通じて内閣府に請求した。水増し額は04~05年度で計約1億2000万円に上った。
特捜部は、PPMへの利益提供について特別背任容疑で捜査していたが、PCI側の
国への水増し請求が、荒木元社長の要求を受けて行われたグループぐるみの詐欺
に当たると判断した。